2005年のIPニュース

2005年9月10日号タイ−国最高裁判所が著名商標を認定

タイ−国最高裁判所が著名商標を認定

タイ国が著名商標を保護するようになったのは最近のことである。

タイ国商標法第8条11項は著名商標を保護すると明記しているが、実際は、“著名”商標の認定基準が曖昧だった。

そこで、商業省は2004年9月、商標法の著名商標に関する基準を明確にするよう、2度目の通達を出した。

しかし、多くの著名ブランドのオーナーは、真正なる所有者でない者による出願に対し、自ら異議申立をしなければならないと感じている。

申立人の大部分は、“著名”商標の認定基準が本質的に不明確かつ主観的であると考えている。これと同様の問題は世界各国で起こっている。

多くの著名ブランドのオーナーが、類似または模倣された商標の登録出願に対して、登録異議申立を行うことは当然なことであり、商標登録官が異議申立人の訴えを認めない場合には、著名ブランドのオーナーは裁判所に最終的な判断を求めなければならないというリスクを抱えている。

以下は、最近タイ国の裁判所で争われたValentino Coutureというブランドにおける事例である。

衣料品やデザイン業界で有名なValentino Globe B.V.(以後「Valentino Globe」という)は、国際商品区分第18類の旅行用大型鞄及び同第25類の衣料品を製造する日本の衣料品製造業者による2つの商標“VALENTINO COUPEAU & Dog Device”の登録に対し、自身の著名商標“VALENTINO COUTURE & V Device”と類似するとして異議を唱えた。

しかし、商標登録官は日本業者(以後「被異議申立人」という)の商標がValentino Globeの商標とさほど類似しているものではないとして、異議申立を認めなかった。

Valentino Globeは商標審議会に対し、当該決定について再審理を求めたが、審議会は登録官の決定を支持した。

Valentino Globeは知的財産国際商業裁判所(Intellectual Property and International Trade Court「以後『IP&IT裁判所』」という」)に対し、商標審議会及び知的財産局の商標登録官の決定を不服とする民事訴訟を起こした。

IT&IP裁判所は、著名商標“VALENTINO COUTURE & V Device”の使用を裏付ける数多くの証拠から、2つの商標が類似しているだけでなく、Valentino Globeには登録商標“VALENTINO COUTURE & V Device”の独占的使用権を有し、かつ、“VALENTINO”単独の権利についても、被異議申立人のそれより勝るという判決を下した。

さらに裁判所は、被異議申立人の商標の登録を認めないよう、知的財産局に命じた。

一般論として、登録商標と類似している商標であるか否かによって生じる論争について、IP&IT裁判所が類似しないと判断した場合でも、知的財産局は最高裁判所の判断の正当性を主張できる。

最高裁判所は、商標登録官の「“VALENTNO”は、一般的に使用されかつ認識されている有名な聖人の名 “Valentine”に由来する」という主張を認容し、ValentinoGlobeの“VALENTINO”についての権利を認めなかったが、「被異議申立人は“VALENTINO”というブランド力を利用する目的でValentino Globeの著名商標を故意に模倣した」と判断した。

また、裁判所は、Valentino Globe及び被異議申立人の商標に関して、ロゴが上段にあり、“VALENTINO”が中段、下段に互いに類似する単語を用いた3段構成になっていることに注目した。

裁判所は、各構成が類似している中でも特に下段において、被異議申立人がValentino Globeの“COUTURE”の外観及び称呼を似せた“COUPEAU”を意図的に使用していることを指摘し、被異議申立人の商標“VALENTINO COUPEAU & Dog Device”が“VALENTINO COUTURE & V Device”に類似していることで、Valentino Globe側には、これら2商標の出所について誤認・混同が生じ損害を被る可能性があると判断した。

よって、最高裁判所はIT&IP裁判所の判決を支持し、被異議申立人の2つの商標“VALENTINO COUPEAU & Dog Device”の登録を認めないよう命じた。

この最高裁判所の判決は、知的財産局と裁判所の見解が異なっていることを示すだけでなく、タイにおける著名商標の保護を自国の裁判所が認めたという点でも注目すべきことである。

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