2009年のIPニュース

2009年3月10日号大韓民国:早期審査制度の導入 他

  1. 大韓民国:早期審査制度の導入
  2. 台湾:識別性審査基準の改正

大韓民国:早期審査制度の導入

韓国特許庁は、2009年4月1日から、一定の要件をみたす商標出願は2カ月以内に審査を完了する優先審査制度を施行すると発表した。

現在は出願された順に審査を行っており、通常、審査結果が出るまでに6〜8カ月を要する。このため、韓国で自らの商標が第三者により無断で使用されているような場合でも、自己の商標が出願審査中であったために、目の前で商標が盗用されていても積極的に制止できる方法がとれないという弊害が起きていた。今後優先審査制度が実施されるようになれば、2カ月という短期間で審査が終わるため、早急な権利確保を通した権利保護、および侵害行為に対する制裁措置が可能になると期待できる。

優先審査の申請には、以下二つの要件が必要。

  1. 出願人が出願商標を指定商品・役務のすべてに使用中であるか、あるいは使用準備中であることが確かなこと、または
  2. 出願人でない者が出願商標を正当な理由なしに業として使用していると認められること

特許庁関係者によると、上記要件を満たせば2009年4月1日の時点で審査中のすべての出願に対して優先審査の申請が可能とのことである。

[出典:Kim & Chang]
【解説】

どこかで同じような告知を読んだ気がする…。そうだ、日本の特許庁のこのサイトだ。

韓国と日本で、ほぼ同時に、「使用している・使用の意思がある」のであれば、早期審査のリクエストが可能となった。どちらの国も指定商品・役務の「すべて」とあるところがポイントだろう。防護的な商標出願ではなく、コアな商品・役務を対象とする商標出願の実効性、即効性を高める手段として使い勝手のよい便利な制度になりそうだ。

台湾:識別性審査基準の改正

2009年1月1日付で、商標の識別性審査に関する新基準が適用されることとなった。
新審査基準では、本質的な識別性、識別力の欠如、セカンダリーミーニングをも含めた識別性の判断について述べられている。

たとえば、

  1. 省略された記述的用語は識別性が欠如していると見なされる為、登録可能性を有さない。
    "TEK"や"TECH"は"technology"の略語であるため識別性なし。
    "XTRA"は"EXTRA" の略語であるため識別性なし。
    "E"は"electronic" の略語であるため識別性なし。
  2. 書体に特徴のない欧文字1文字より構成される商標は、識別性なし。
  3. 欧文字2文字あるいは3文字構成よりなる商標は、指定商品・役務との関係において識別力が判断される。
  4. 以下の商品/役務に使用される有名な小説や物語のタイトルは、記述的であり識別性が欠けているとみなされる。ただし、著作権者の同意を得た場合は別。
    第9類:ビデオ、フィルム、記録ディスク、テレビ娯楽装置
    第28類:玩具
    第41類:オンラインゲーム
    第42類:コンピュータープログラミング
  5. 書体に特徴のないドメインネームは識別力なし。ただし、書体に特徴があるものについては、識別性欠如の部分について権利不要求をした場合には識別力ありと判断され得る。
  6. 使用による顕著性(セカンダリーミーニング)の判断は、以下の証拠を参酌する。
    1)その商標の使用様式及びその商標を指定商品/役務に使用した期間、同業者の使用状況
    2)その商標が用いられた商品/役務の販売、売上高、マーケット・シェア
    3)販促物品を含め広告量及び広告費
    4)販売対象地域、市場分布、販売店舗、展示場所
    5)同一商標の他国における登録書
    6)市場調査報告書
    7)その他セカンダリーミーニングを認定する証拠
[出典:Baker & McKenzie, Taipei Office]
【解説】

審査基準の公表は、日本の実務に慣れている人には当たり前。ところが、まだまだ公表されず、審査官の内部資料となっている国は多い。「えっ?審査基準なんか公表したらたいへんじゃない。いろいろ突っ込まれるかもしれないし。面談だってしないわよ。そんなことしてたら仕事が進まないもの。」とあっけらかんと言ってのけた某国の審査官だっていた。基準を公表している国は、ある程度、審査がきちんと行える内部体制が整っていることを自負した国だということだろう。審査基準から、その国の特性、成熟度をうかがい知ることができるといっても過言ではない。

台湾は非常に細かく基準を設けている点で、日本に近い感覚がある。他方、あまり審査基準が緻密だと、審査も基準でがんじがらめになってしまうのでないだろうかという若干危惧するも、台湾の審査傾向を知る材料としては最適だ。なお、審査基準に目を通すのは「拒絶理由を受けてから」ではなく「出願する前」がお勧めです。

さて、今回をもって、私のIP NEWSの解説は終了します。ご精読ありがとうございました。
なお、IP NEWSは次回よりパワーアップ・リニューアルします。引き続きご愛読ください。

解説:豊崎国際特許商標事務所 弁理士 豊崎 玲子

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