2009年のIPニュース

2009年5月12日号OHIM: オフィシャル費用の減少 他

  1. OHIM: オフィシャル費用の減少
  2. ベトナム商標法及びオフィシャルフィー改正
  3. 東欧3カ国の法改正等

OHIM: オフィシャル費用の減少

2008年12月号でお伝えした通り、OHIMは2009年5月1日より商標出願の登録費を廃止することを確認した。これはEU商標の権利保護についてかつてない大幅なコストダウンとなる。

CTM商標権はEU加盟国27カ国に渡り保護を与えるもので、EUにブランドを促進したい企業にとっては一度に3億5千万人、GDP15兆USドル規模のマーケットを保護できるため、重要な権利である。

登録費の廃止は5月1日以前に出願され、施行日に出願中の商標にも適用される。尚、電子出願の費用は150EURO値上がりとなる。

[出典:Marks & Clerk]
【解説】

CTMに関する手数料が2009年5月1日から改正されました。出願時の手数料は若干値上げされましたが、登録手数料が廃止されたため、CTM商標権を取得するための印紙代はトータルで約40%の減額となります。改正の主な内容は以下の通りです。

  1. 登録時の手数料(従来は3区分まで850EURO、4区分以上区分毎に150EURO)は廃止されました。
  2. 出願時の手数料(3区分まで)は、オンライン出願の場合で900EURO、 紙出願の場合で1,050EUROとなりました。(現行オンライン出願750EURO、 紙出願900EURO)
  3. マドリッドプロトコルに基づく国際出願で欧州共同体を指定したものについては、個別手数料が1,450EUROから870EUROに減額されました。
    (なお、この減額は2009年8月から適用される予定です)。

したがって、例えば、オンライン出願で3区分までを指定した場合、従来は出願時・登録時合わせて1,600EURO(約210,000円)の印紙代の支払いが必要でしたが、現在は出願時に900EURO(約120,000円)のみ支払えば良いことになり、700EURO(約90,000円)の減額となります。
今回の登録手数料の廃止は、CTM商標権の取得コストの削減という効果とともに、納付手続の廃止による登録までの期間短縮という効果もあり、ユーザーにとって非常に有意義な改正ですから、CTM制度の更なる利用拡大につながると考えられます。

ベトナム商標法及びオフィシャルフィー改正

2009年2月4日、経済省は知的財産権に関する費用と料金を規制する通知第20/2009/TT-BTC号を発行した。
本通知は2009年03月21日付で発効し、知的財産権の費用と料金の使用、管理、支払い、回収に関する規定を定める経済省が発行した2004年12月30日付通知第133/2004/TT-BTC号及び、当該通知を補充・訂正した同省発行の2006年12月29日付通知第115/2006/TT-BTC号に代わるものである。

主な変更として

  • 早期審査、再審査に関する料金が変更となり、情報提供に関する料金が追加された
  • 知的財産権に関する料金が一律で20%上がった
  • 書面出願、電子データ付書面出願、電子出願の3種の出願方法に関する料金が追加された
    商標に関しては更に登録料が区分毎となり、第1区分目とそれ以降の区分の料金が異なる
ベトナム知的財産権法改正案について

2009年2月24日午後、知的財産権法の改正について国会の常任委員会で議論が交わされた。主なテーマは著作権の保護期間、知的財産権の審査期間、知的財産権侵害に関する罰則に関する規則である。

著作権及び著作隣接権の保護期間は25年長くなり、50年から75年に拡張された。これはベトナムの自然人と法人及びWTO加盟国の自然人と法人の間の均衡を確保するためである。

知的財産権侵害の罰金に関して、その背景には、現行の侵害に対する罰則規定が極めて低く、侵害者がともすればより大きな利益を求めて罰金を支払う場合があるため、侵害品の価値と同等または5倍までの金額に定めなければならない、という考えがある。

審査期間に関して、改正法は以下のように定めている。

  1. 特許:方式審査2ヶ月、実体審査24ヶ月
  2. 商標、地理的表示、意匠:方式審査2ヶ月、実体審査1年

また、改正法は知的財産権の管轄国家機関が、同権の評価も行わなければならないと定めている。しかしながら、本規定に対しては妥当ではない、という評価もある。

[出典:2NGPARTNERS]
【解説】

ベトナムでは、2006年7月のマドリッドプロトコルへの加入及び2007年1月のWTO加盟を受けて、国際的なハーモナイゼーションを目的とした知的財産権の保護に関する国内法の整備が急速に進められています。
なお、ベトナムの現行法では、商標・地理的表示・意匠の審査期間について、出願受領から2ヶ月以内に出願公開され、出願公開から6ヶ月以内に実体審査が行われる、とタイトに規定されていますが、「方式審査2ヶ月、実体審査1年」という改正案が提出されているということは、ベトナムにおける商標出願件数の急増に較べて、現行法に規定された審査期間では審査官の負担が大きすぎるということでしょうか。

東欧3カ国の法改正等

アルバニア

アルバニアでは最近、商品及びサービス商標登録に関する規定が採択された。
これは2008年11月1日付で発効となった知的財産権法に基づき採択されたものである。
上記の規定は2009年02月04日付で発効された。新法のもとでは、相対的事由に基づき第三者は異議申立を請求できる。旧法において、異議申立は絶対的事由に基づく場合のみ認められていた。また、新法は異議申立の制度についての詳細についても説明している。
また、新法は以下の重要な改正も行っている。

  1. 国内出願の方法及びアルバニア特許商標局(ALPTO)による審査方法
  2. 国際出願の方法及びアルバニア特許商標局(ALPTO)による審査方法
  3. 国際出願の拡張に関する規則と手続き
  4. 更新、ライセンス、譲渡に関する規則と手続き

また、知的財産権の登録に関する料金の上昇も近々発表される予測である。

クロアチア

クロアチアでは2009年3月17日付で知的財産権法の改正が発効された。
商標法の主な改正としては、相対的・絶対的事由に基づく拒絶、手続きの継続、国際出願とCTM商標に関するものである。
新法においては、商標出願は識別性がない場合、絶対的理由に基づき拒絶され、先行する地理的表示又は原産地表示登録があった場合拒絶される。

商標出願は代表又は代理人が手続きを行い、当事者がそれに対し悪意を主張した場合、相対的事由に基づき拒絶される。

新法はもはや、当事者に対し相対的事由に基づき商標が拒絶された場合、司法機関に提訴しクロアチアにおけるCTM商標の使用を防ぐことを認めた規定を含まない。

また、新法は出願人又は権利人が、期限を超過した場合に回復を申請する権利について、その申請期限を拡張している。即ち、当該申請は当事者が期限を超過したことを知った時から2ヶ月以内となる。

モンテネグロ

モンテネグロの知的財産局は2009年3月3日から、セルビア知的財産局において取得した知的財産権が、モンテネグロ領域内で継続して有効であることを確認する登録証の発行を開始した。
セルビアにおける登録日より5年間が経過すると、商標は第三者による不使用取消請求の対象となる。

[出典:2NGPARTNERS]
【解説】

上記3ヶ国においては、それぞれが次期EU加盟の有力な候補、あるいは、潜在的な候補であることから、商標を含む知的財産権の保護に関する国内法の整備が急速に進められていると思われます。
モンテネグロについてですが、同国の知的財産局が業務を開始した2008年5月28日以前にセルビアで取得された知的財産権は、自動的にモンテネグロ領域内でも引き続き効力を有します。そして、2009年3月3日から、モンテネグロ領域内でも引き続き有効であることを証明する登録証を申請により取得することが可能になったということです。

解説:[大野総合法律事務所] 弁理士 / 中村 仁、大橋啓輔、土生真之

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