2009年のIPニュース

2009年6月9日号中国:中国商標法第3 次改正草案を公表 他

  1. 中国:中国商標法第3次改正草案を公表
  2. ベラルーシ:ライセンス、譲渡等に関する新規則採用
  3. インド:2009年4月1日より公報がオンラインで公開

中国:中国商標法第3次改正草案を公表

2009年4月28日に中国商標法第3次改正の草案が公表された。今回の草案には現行法と比べて、例えば以下のような変更が見られる。

  1. 保護対象の拡張
    草案では、実際の状況に応じて音響、匂い等非伝統的な商標の登録出願を適時に受理すると規定されている。
  2. 一出願多区分制と分割出願・登録制の導入
  3. 拒絶査定不服審判請求期限の延長
    拒絶査定への不服審判請求期間が15日から30日に延長される。
  4. 商標使用禁止状況の追加
    商品又はサービスの品質、性質又は産地などを公衆に誤認させやすい商標は、その使用が禁止される。
  5. 異議申立に関する制限
    草案では異議申立人適格が、「何人も」から先行権利者又は利害関係者に限定されている。また、異議理由も馳名商標、代理人又は代表者、地理的表示、先行商標、同日出願、他の先行権利、誠実信用の原則に関する規定に違反する場合に限定されている。
  6. 被異議・無効商標の権利の移転
    異議・無効の対象となった商標が馳名商標、代理人又は代表者、誠実信用の原則に関する規定等の一定事由に違反する場合には、先行商標の所有者が当該異議・無効対象の商標の専用権の移転取得を請求できると規定されている。
  7. 誠実信用の原則に違反する登録行為への禁止
    草案では下記の場合、出願商標の登録が認可されないと規定されている。
    • 他人が中国で既に使用して且つ一定の影響力のある商標を同一・類似商品について不正手段で抜け駆けして出願する場合。
    • 他人が先に中国で使用した商標と同一・類似の商標を同一・類似商品について出願した場合であって、出願人が当該他人と契約、業務提携、地域関係又は他の関係で当該他人の商標を明らかに知っていた場合。
    • 識別力が強く、中国市場で比較的高い名声を有する他人の登録商標と同一・類似の商標を非類似商品について出願し、公衆を誤認させやすくする場合であって、出願人が不正目的を持つ場合。
  8. 民事的賠償
    損害額算定が困難な場合において裁判所が認定する賠償額の引き上げや3年間不行使の商標権に基づく損害賠償の禁止等が規定されている。
[出典:China Patent Agent (H.K.) Ltd.]
【解説】

前回の草案公表時(2007年8月)においては、相対的拒絶理由の審査廃止が盛り込まれており、抜け駆け登録に悩む諸外国の権利者にとっては、これが大きな懸案事項でしたが、今回の草案では当該改正は見送られています。中国では70万件を超える出願の審査負荷が深刻な問題となっていますが、中国商標局は審査官の倍増等により処理能力を強化し、審査主義を維持する意向のようです。
ちなみに、商標局は審査官の倍増により、来年度には審査期間を1年間に短縮すると述べています。
また、今回の草案では異議・無効の対象となった商標の正当権利者への移転や誠実信用の原則違反の場合の登録拒絶等、不正登録に対する保護の強化も図られています。
実務的には、多区分出願の導入はコストの低減となるため、有り難い改正です。
その他、保護対象について音等の非伝統的商標が保護されることも注目すべき改正です。具体的に如何なる条件でこのような商標が保護されるのかはまだ不明ですが、世界一の出願件数があるだけに世界的にも先例となるような出願が今後されるのではないでしょうか。
ちなみに、日本産業界からの要望も強かった在外者向けの長めの応答期間は設けられないようですので、依然中国の中間手続は期限に悩まされることとなりそうです。
最終的な改正までには、本草案の内容が変更される可能性もありますし、解釈・運用についても不明確な点があるため、今後の動向には注意を払っていく必要があるでしょう。

ベラルーシ:ライセンス、譲渡等に関する新規則採用

2009年3月21日付ベラルーシ閣議において、知的財産権のライセンス、譲渡、質権契約及びフランチャイズ契約に関する新規則が採用された。同規則においては、特許、意匠、種苗、半導体回路、商標等の知的財産のライセンス、譲渡、質権に関する契約書が特許庁に登録が必要なものとして列挙されている。また、同規則はフランチャイズ契約及び技術分野におけるノウハウライセンス契約にも適用される。

[出典:SD PETOSEVIC]
【解説】

ベラルーシにおいては、商標のライセンス契約等の登録が義務付けられており、この登録がないとライセンスは無効となってしまいます。この点、日本と同様の感覚で当事者間の契約のみで事業を開始すると思わぬトラブルが生じる可能性があります。ちなみに、隣国ロシアにおいてもライセンスは登録が要求されます(日本企業にとってはこちらの方が関心事かもしれません)。
ライセンス契約を逐一登録することは煩雑ですが、一方で、ライセンス関係を政府が管理することで水際対策等の侵害品対策を効率化できるというメリットも考えられます。
なお、ベラルーシ特許庁の統計によると、ライセンスの登録数は毎年着実に増加しており、ベラルーシにおいて知的財産の活用が活発化している状況が窺えます。

インド:2009年4月1日より公報がオンラインで公開

インド特許庁は2009年4月1日より商標の公報を無料にてオンラインで公開する。これに伴い、今まで行われていた公報のCD-ROM販売は終了された。

[出典:Baker & McKenzie]
【解説】

インドの商標公報は、http://ipindia.nic.in/tmr_new/default.htmの「Trade Mark Journal」から閲覧が可能です。公報はPDFデータですので、テキスト検索が可能です。使い勝手は決して良くはありませんが、自社の商標をテキスト検索することで、簡易的なウォッチングに使えないこともありません。
なお、商標検索データベースについては、現在有料で提供されていますので、これが無料化されることが望まれます。

解説:[大野総合法律事務所] 弁理士 / 中村 仁、大橋啓輔、土生真之

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