2013年のIPニュース

2013年2月26日号中国:最高人民法院、ネット上の権利侵害事件の法律適用を明確化 他

  1. 中国:最高人民法院、ネット上の権利侵害事件の法律適用を明確化
  2. セルビア:商標法改正
  3. ニュージーランド・韓国:三振アウト制をめぐる対照的な傾向

中国:最高人民法院、ネット上の権利侵害事件の法律適用を明確化

2012年12月27日、最高人民法院は、「情報ネットワーク伝達権侵害による民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題についての規定」(以下「情報ネットワーク伝達権司法解釈」)を2013年1月1日より実施すると同時に、「最高人民法院によるコンピューターネットワーク著作権に係る紛争事件の審理における法律適用の若干問題についての解釈」(法釈〔2006〕11号)は廃止すると公表した。

これにより、中国裁判所は今後オンライン著作権侵害におけるインターネットサービス提供者(ISPプロバイダー及びネットコンテンツプロバイダーを含む)の責任を特定するにあたり、本司法解釈に従うことになる。

「情報ネットワーク伝達権司法解釈」は合計16条から成り、主に、情報ネットワーク伝達権紛争事件の審理時の人民法院の自由裁量権行使原則、情報ネットワーク伝達権侵害行為の構成、インターネットサービス提供者による権利侵害の教唆及び幇助、司法実務において比較的よく見られる情報ストレージ・スペースのインターネットサービス提供者が知るべきインターネットユーザーによる情報ネットワーク伝達権侵害に対する判定基準、及びこの類の事件に対する人民法院の管轄問題等について規定している。

判定にあたって大きな基準となる点はインターネットサービス提供者が侵害について、実際に知っているか、或いは合理的に考えて知っているかであり、これについて当該提供者に立証責任がある。

インターネット責任者は侵害の通知を受けた後、削除、アクセス制限などの必要な処置を取らなかった場合、侵害を実際に知っていたとみなされる(第7条)。

合理的に考えて知っていたと判断するにあたっては、インターネットサービス提供者の提供するサービスの性質方法、これらが侵害行為を促すものであるかどうか、情報管理能力等が考慮される(第9条)。
「情報ネットワーク伝達権司法解釈」は、作品の提供行為とインターネットサービスでの提供行為を区別し、インターネットサービス提供者に対する法律責任を確定する問題は当該司法解釈の核心的なテーマであり、インターネットサービス提供者の行為によっては、その責任も異なると規定している。

例えば、インターネットサービス提供者が許諾を受けずに、自ら又は他人と分業・連携する等の方法で、情報ネットワークを通じて、情報ネットワーク伝達権を有する権利者の作品、公演、録音録画製品を提供する行為は、法律、行政法規に別に定めのある場合を除き、情報ネットワーク伝達権の直接侵害行為を構成する。またもし、インターネットユーザーによる情報ネットワーク伝達権の侵害行為を教唆又は幇助する場合は、司法解釈の規定に基づき、インターネットサービス提供者は直接情報ネットワーク伝達権を侵害するインターネットユーザーの行為について連帯責任を負わなければならない。

本司法解釈の原文は下記のサイトで確認できる。

[出典:中国六法通、最高人民法院]

セルビア:商標法改正

セルビアでは2013年02月07日付で2009年商標法の改正が施行された。
本改正はEU法との更なる調和を目指すものであり、以下の特徴がある。

  • 並行輸入:旧法において、商標権者は商品の品質が損なわれた場合や実質的変更があった場合等、限定的な事例に限り対応策が可能であったが、新法においては商品がオリジナルであるかに拘わらず、他国から第三者が許可なく輸入したブランド商品を禁じることができる。
    しかし当該商品が最初に商標権者によって又は同人の同意のもとに市場に販売された場合、当該商品に実質的変更があった場合等を除いて販売を禁じることはできない。
  • トランジット:旧法において商標権者はトランジットの侵害品について対応可能であったが、新法ではトランジット商品については対応できなくなる。
  • 侵害事件における再審請求:旧法において、侵害案件に関する第二審の決定について、事件の対象となる金額が30万EUROを超えた場合のみ可能であったが、新法ではこのような条件はなく、破棄院に再審を請求できる。
  • 立体商標:旧法において、(1)形状が専ら商品自体の性質に基づいて規定される場合、(2)不可欠形状でない場合を除き登録可能とされていたが、改正法では(3)商品に実質的な価値を付加する場合が追加された。
  • 救済措置の改善:旧法において商標権者は物質的(金銭的)損害のみ請求できたが、改正法においては名誉棄損等の非物質的損害も請求できる。
    また金銭的損害についても、旧法では故意による侵害においてのみ、ライセンス料の3倍までの罰金が適用されたが、改正法では重大な過失の場合も適用される。
    また、裁判所は侵害者のみならず、不正行為の関係者に対しても製造・流通業者の名前、商品の販売量、受注等に関する情報の提供を命じることができる。
  • ライセンシーの権利の強化:ライセンス契約において別途規定するものがない限り、ライセンシーはライセンスの種類に拘わらず第三者を訴える権利を有する。
[出典:Cabinet PAVLOVIC Eastern Europe]

ニュージーランド・韓国:三振アウト制をめぐる対照的な傾向

インターネット上の侵害行為を根本的に遮断する強力な手段として、2009年頃から一部の諸外国で三振アウト制(Three strike rule又は「段階的レスポンス(graduated response)」)が導入されている。
これは警告を受けたにも拘わらずネット上で当該行為を続ける者に対し、インターネットアクセスを切断する制度で、殆どの国で2回の警告でも侵害行為を止めない侵害者に対し、3回目にアクセスを切断するシステムとなっている。

本制度は2008-9年度からフランス、台湾、韓国、ニュージーランド、アイルランドといった国で導入されている。

しかし本制度に関しては、アクセスそのものを切断するのは過度な制限であり、また侵害探知の際にユーザーのプライバシーが侵害される虞がある等、人権侵害の面から導入に難色を示す国も多い。

このほど当該制度を導入している2か国で対象的な動きがあるためご紹介する。

ニュージーランド

同国においては2008年に著作権(新技術)改正法が成立し、この中に三振アウト制も含まれている。
しかしながら、同国において制度は導入され、関係条項も整備されたものの、上記の問題に絡み、関連規定の改正が重ねられ運用されないでいた。
しかしこのほどニュージーランドは、不法なファイルを共有し有名歌手の歌をダウンロードした女性に616NZDの罰金を科した。
ニュージーランドの制度では著作権者は、ISP経由で3回の警告を受けた後、違反行為を続ける者に対して著作権裁判所に最高15000NZDの罰金を求める命令又は、地方裁判所にISPにアカウントホルダーのネットへのアクセスを最長6か月まで禁じる命令を求めることができる。

同国においては他にも11件の案件が審理中であり、当該制度の活用促進が予想される。

韓国

同国においては2009年の著作権法改正で三振アウト制を導入し、法施行と同時に1次警告が出されている。
韓国においては、文化体育観光部長官が著作権委員会の審議を経て警告又は不法複製物の削除・伝送中断、最長6か月のアカウント停止、掲示板のサービス停止、是正勧告を発する。同国ではアカウント停止、削除等の処分も出ており、本制度を有効的に活用している国の1つであるが、このほど、三振アウト制度をなくす著作権改正案が提出された。

同案は1月24日に提出されたばかりであり、これから審議を重ねていくことになるが、韓国は三振アウト制度が実際に運営されていた顕著なモデルであっただけに、これからの動向が注目される。

[出典:KING & WOODS]

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