2013年のIPニュース

2013年9月24日号中国:第三次商標法改正2014年度より施行 他

  1. 中国:第三次商標法改正2014年度より施行
  2. カナダ:同意書に関する慣例に変更の動き
  3. シンガポール:商標検索における「クロスサーチを行わない」機能の追加
  4. シリア:更新時の公告費用に関する変更
  5. スイス:オフィシャルフィー上昇

中国:第三次商標法改正2014年度より施行

IP Newsでも度々取り上げたが(2013年08月13号参照)2013年08月30日、第12期全国人民民代表大会常務委員会第4回会議で、『全国人民代表大会常務委員会の中華人民共和国商標法改正についての決定』が通過し、改正中国商標法は、2014年5月1日より施行されることとなった。

改正後の商標法は従来の64条から73条まで拡大し、その主要点は下記の通りである。

1.商標登録出願制度の改正
  • 音声商標の導入:商標の定義が拡大された(8条)
  • 一出願多区分制度導入(22条)
  • オンライン出願導入(22条)
  • 審査意見書制度(29条):審査段階において、商標局が商標の登録出願の内容を説明或いは修正する必要があると考える場合、出願者に対し、説明・修正を要求できる。
    しかし詳細については不明である。
2.各種商標審査及び審理手続の期限及び中断について明確化

改正法で初めて、各種審査の期限が条文上規定され、大きく9カ月又は12カ月の期限となり、一定の場合3カ月又は6カ月の延長が可能である。

  1. ①9カ月:出願の審査期間(28条)
  2. ②9カ月、3カ月の延長可能:出願拒絶の再審期限(34条)、無効審判(絶対的事由に基づく)の審理期間(44条)、不使用取消の審理期間(49条)
  3. ③12カ月、6カ月の延長可能:異議申立の審理期間(35条)、異議成立による登録拒絶決定に対する再審期限(35条)、無効審判(相対的事由に基づく)の審理期間(45条)

同時に、商標審判委員会が不服審判案件を審理する時、関連する先行権利の確定について、裁判所の審理中の案件又は行政機関の処理中の案件の結果を根拠とする情況も客観的に考慮した上で、案件審理を中止することができることも規定している。

3.異議申立制度の整備
  • 異議申立人を先行権利者或いは利害関係者に限定、異議理由も限定(33条)
  • 異議申立の手続き簡易化(34条):異議が成立しないと決定された商標は登録され、再審請求、訴訟ができない。この場合、登録後に無効審判を請求することになり、異議申立人の負担が増えることが懸念される。
4.冒認出願対策の強化
  • 他人の未登録商標が先に使用されていることを明らかに知りながら違法に抜け駆け登録をする場合、登録を許可しない(15条)。
5.先使用権制度の明確化
  • 「登録商標権者が商標出願前に、他人が既に同一又は類似の商品に登録商標と同一又は類似である一定の影響力のある商標を使用していた場合、登録商標権者は当該使用者が従来の使用範囲で継続して当該商標を使用することを禁止できない。但し、区別する標識を加えることを要求することができる。」と定めた(59条)。

尚、本条における使用については、登録商標所有者の利益が損害を受けないよう厳密に解釈されると考えられる。

6.馳名商標認定の手続と機関の明確化

現在、広告宣伝に「馳名商標」が濫用されているため、改正法ではこの認定手続を明確化し、使用を制限している。

  • 「商標登録の審査、商標紛争の処理過程、商標権侵害事件の取締り、及び商標民事、行政案件の審理において、当事者が馳名商標の権利を主張した場合、商標局、商標審判委員会、及び最高裁判所によって指定された裁判所は、商標の馳名状況について認定を行うことができる」(14条)。
  • 「馳名商標を宣伝に使用した場合、10万元の罰金」が科される(53条)。
7.商標権侵害に対する保護強化
  • 侵害者への協力者に対する規定:現行の『商標法実施条例』の規定を吸収し、「故意に他人の商標専用権を侵害する行為に便宜を図り、他人の商標専用権侵害行為の実施を幇助した」場合の内容を補足した(57条6項)。

これにより、直接侵害行為を実施していないが、当該行為に参与、協力している個人に相応の責任を負わせることができる。

  • 懲罰規定の新設と再犯への処罰の強化:悪意による侵害の場合、情状が重大な場合は、権利侵害により実際に受けた損失、又は権利侵害により得た利益又は当該登録商標の使用許諾費用の1倍以上3倍以下の賠償金額を確定できる(63条)。
    また再犯について「5年以内に2回以上の商標権侵害行為を実施またはその他情状が深刻な場合は、重き処罰に処する」を追加した(60条)
  • 商標権侵害に対する法定賠償額の幅の引上げ:現行法では1万元から50万元までであるが、改正法では300万元までに引き上げた(63条)。
  • 商標権侵害の行政処罰内容を明確化:改正商標法では侵害対応について工商行政管理部門に処理を依頼することができるとし、「不法経営額が5万元以上の場合は、不法経営額の20%以下の過料に処することができ、不法経営額がない又は不法経営額が5万元以下の場合は、1万元以下の過料に処することができる」とした(60条)。

これらの規定は、明らかに商標権侵害の行政処罰基準について細分化し、法の執行における実施可能性を高めることに資するものである。

  • 賠償要求時における使用義務の規定:「商標権者が賠償を請求し、権利侵害者とされる者が、商標権者が登録商標を使用していないことを抗弁とした場合、人民法院は、これまで3年間に当該登録商標を実際に使用した証拠の提出を求めることができる。商標権者がこれまで3年間に当該商標を実際に使用したことがあると証明できず、権利侵害行為によりその他の損失を受けたことも証明できない場合、権利侵害者とされる者は、賠償責任を負わない」と定めている(64条)。

その他、今回の改正法には、商標代理行為の規範化、商標代理人役務の質の向上、未届けの商標使用許諾が善意の第三者に対抗できないことの明確化などが含まれている。

[出典:Linda Liu]

カナダ:同意書に関する慣例に変更の動き

カナダでは従来、類似する後願商標の所有者が先行商標権者からの同意書を得て提出した場合においても、両商標が混同を招くほど類似する場合、審査官が両商標の共存を認めることはなかった。

しかしながら、カナダではもともと国際分類表を採用しておらず、異なる区分の指定商品・役務であっても混同を生ずるほど類似と判断されるケースがあり、特に海外の出願人からのクレームが多かった。

カナダ商標庁はこの都度、非公式に同意書に関する慣例を変更し、今後は混同を生ずるほど類似する商標であっても、登録を認める可能性を示唆している。

尚、カナダの審査マニュアルでは、同意書は以下の点を含んでいなければならないとされている。

  • 商品・サービスが非類似であり、同一チャンネルを介して市場に流通することがない。
  • 市場において同時に使用され続けた結果、消費者に出所混同を招く虞がない。
  • 両当事者が市場における混同を回避すべく全力を尽くす。
  • 両商標が何ら混同を招くことなく市場において長年共存している。

これはまだ非公式な発表であり、導入時期も未定であるが、決まり次第詳細をお伝えする予定である。

[出典:Smart & Biggar]

シンガポール:商標検索における「クロスサーチを行わない」機能の追加

シンガポール知的財産庁(IPOS)は2013年08月23日付で通知第5/2013号を発し、同庁の商標データベースeTrademarksで類似商標を検索する際、自動的に行っていた区分間のクロスサーチを停止することを発表した。

同庁によれば、これはユーザーからの要望によるもので、今後ユーザーは、データベースにおいて“disable cross-search”にチェックボタンを押すことで、関心にある区分に限定した調査を行うことができる。

[出典:Singapore Law Watch]

シリア:更新時の公告費用に関する変更

シリア商標庁はこの都度更新時におけるオフィシャルフィーの変更を発表した。
今後、宅分で登録された商標の更新にあたり、各区分毎に公告費用を支払わなければならない。また、この変更は既に更新申請を行い未だ登録証が発行されていない全ての商標に適用される。

[出典:Abu-Ghazaleh]

スイス:オフィシャルフィー上昇

スイス知的財産庁は2013年1月1日から更新に係るオフィシャルフィーを上昇すると発表した。

[出典:M. Zardi & Co Sa]

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