2014年のIPニュース

2014年7月22日号EU:モノクロ商標に関する新ガイドライン 他

  1. EU:モノクロ商標に関する新ガイドライン
  2. 中国:著作権法改正案公開
  3. ASEAN:商標出願状況について
  4. イラク:商標出願審査再開
  5. ポルトガル:オフィシャルフィーの変更
  6. サウジアラビア:GCC商標法発効
  7. カタール:優先書類に関する認証の簡易化
  8. インドネシア:知的財産庁の近代化による遅延

EU:モノクロ商標に関する新ガイドライン

従来CTM商標を初め、EUのほとんどの国において、モノクロ商標は全てのカラーをカバーするとされていた。しかしながら、OHIM及びベネルクス特許庁はこのたびモノクロ商標の保護に関する新しいガイドラインを発表し、モノクロ商標の保護を制限した。新ガイドラインでは、モノクロ商標は相違点が通常の消費者によって気づかれない程度に微々たるものである場合に限って、色つきの商標と同一として扱われる。
具体的には以下のように運営される。

  • 優先権主張:カラー商標の優先権主張を同一のモノクロ商標にすることはできない
  • 相対的事由:先行モノクロ商標は後願のカラー商標と同一と見なされない
  • 使用:モノクロ商標の登録、カラーでの使用は下記を除き登録商標の使用とはみなされない
    • 結合商標で、文字・図形が当該商標の主要な識別構成要素である場合
    • シェードのコントラストが重要である場合
    • カラー又はカラーの組合せがそれ自体、識別性を持たない場合
    • カラーが商標全体に識別性を付与する要素ではない場合

新ガイドラインはCTM商標とイタリア、フランス、フィンランド、デンマーク、ノルウェーを除く全てのEU加盟国で2014年06月02日から実施されている。

上記のガイドラインは既にEUで行われている判例法を明文化したもので、カラーが商標の主要な構成要素であり、商標全体の識別性に影響を及ぼすものである場合に問題となる。多くの商標所有者はモノクロのCTM商標のみを登録していることが多いが、直ちにカラーの同一商標を出願する必要がある、というわけではない。しかしカラーが主要な構成要素となっている商標所有者は念のため、自社のモノクロCTM商標が実際に使用しているカラー商標をカバーするか確認することをお勧めする。

[出典:European TMDN, Vossius & Partners]

中国:著作権法改正案公開

国家版権局が作成し、国務院に提出した「中華人民共和国著作権法」改正案が中国政府法制情報網で公表され、7月5日まで一般向け意見募集が行われた。
今回の改正は、著作権法が1991年施行されて以来3回目となる。今回の改正は経済のグローバル化が進み、著作権を含む知的財産権が国際貿易の重要な媒体となっていること、ネットワーク技術が迅速に発展し、広範に応用されたことにより、著作物の創作・伝達方法が変化し、伝統的な著作権の保護制度では対応が難しくなっていることを背景に行われた。内容としては、現行の著作権法の全6章61条を8章90条に拡大し、権利体系の整理、著作権授権メカニズムと市場取引規則の調整、著作権保護の強化と救済措置の整備等にポイントが置かれている。
特に、著作権保護の水準の向上を目指し、実践におけるネットワークサービスプロバイダの民事法的責任を明確にするため、「権利侵害責任法」の関係規定に基づいて、ネットワークサービスプロバイダの民事責任に関する規定を追加、行政による法執行手段を増やし、法定の賠償基準を引き上げた。

改正法の進捗については、IP NEWSでも随時ご報告する予定である。

[出典:中国国務院法制弁公室]

ASEAN:商標出願状況について

ASEAN設立に向けた動きが進む中、2010年度からのASEAN各国における商標出願データが以下のようにまとめられた。

上記の統計は各国の商標庁が独自にまとめたもので、マルチとシングルの国では、恐らくカウント方法が異なると思われるため、単純に比較できるものではない。例えばインドネシアでは内国人の出願が占める割合が多いように思われるが、同国のデータは信頼性が低く、恐らく非居住者の出願が全体に占める割合はこれよりは高いと思われる。
しかし概して、開放的とみなされる市場(シンガポール、マレーシア)で非居住者の占める出願の割合が高く、ベトナム、インドネシアでは低くなっている。
またベトナムとインドネシアを除き、ASEAN全体で年々非居住者の占める出願割合が増えてきていることがわかる。
今後、ASEAN共同体のフレームが整うにつれ、一層正確なデータが反映されるものと期待される。

[出典:IP KOMODO]

イラク:商標出願審査再開

IP NEWSでも度々でお伝えした通り、イラク商標庁は2003年の戦争で失われたファイルの再審査を特定の番号毎に区切って行っているが、同庁より出願番号54000-56000番台の出願の審査を開始するとの発表があった。
既に同庁は1-53999番までの書類の審査を行っているが、一部の商標に関しては審査が遅れており、登録に至っていない。
なお、これらの出願について、イラク商標庁での記録が失われているものに関しては、出願人側で要求された書類を全て提出しなければならず、不完全な書類は出願放棄とみなされる。

[出典:Saba & Co.]

ポルトガル:オフィシャルフィーの変更

ポルトガル知的財産庁は新しいオフィシャルフィーを発表し、2014年07月01日から施行された。

[出典:Raul Cesar Fereira S.A.]

サウジアラビア:GCC商標法発効

GCC商標法はGCC加盟国(バーレーン、クウェイト、カタール、オマーン、サウジアラビア、UAE)の国内法に代わる統一商標法として制定され、統一施行細則が設定された後発効される予定だった。
同法はサウジ国内においては2007年には議会によって承認されていたが、オマーンとバーレーンの2か国がUS自由貿易協定の関連で承認せず、その後加盟国内で改正が検討されていた。
サウジアラビアはこのたび、改正GCC法を批准した。

改正商標法は50条から成り以下の特徴を有する。

  1. 商標の定義の拡大:音響、匂い商標を含む
  2. 団体商標
  3. シングルクラス
  4. 60日の公告期間
  5. 出願日から10年有効
  6. 6か月の更新猶予期間
  7. 登録から5年経った商標に関して不使用取取消可
  8. 著名商標
  9. 侵害に対する民事・刑事上の救済:最大5年の禁固
    且つ/又は27万USDの罰金
[出典:Saba & Co.]

カタール:優先書類に関する認証の簡易化

カタールは出願書類の認証の簡易化を進めており、この都度優先権書類に関しても、これまでのように領事認証を求めないと発表した。これにより、カタールにおける商標出願の必要書類は以下の通りとなる。

  1. 委任状(要領事認証):複数商標を出願する場合は、包括委任状提出可
  2. 法人の場合は登記簿謄本または抄本の写
  3. 優先権書類
  4. 商標見本5部:デジタル見本可

上記のうち1と2は出願時の提出を求められるが、優先権主張の期限が迫っている場合、出願日から6か月以内に提出できる。

[出典:Saba & Co.]

インドネシア:知的財産庁の近代化による遅延

インドネシアでは知的財産権の枠組みの近代化が進んでおり、幾つかの進捗が見られるが、同時にそれに伴う遅延も起こっている。
まず、インドネシア知的財産庁はTanggerangからJakartaに引っ越しの際中で、そのため審査などに深刻な遅延をもたらしている。
次いで、WIPOの援助を受けたデータベース作成で、この作業の過程で同庁の記録に大量の誤記や間違い等が発見されている。さらに、この作業中審査官ですら既存のデータベースにアクセスできないため、現在数十万件の案件がペンディングとなっている。

[出典:Rouse Legal]

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