2016年のIPニュース

2016年4月12日号インド:特許意匠商標総局、誤りにより20万件の商標出願を放棄処理に 他

  1. インド:特許意匠商標総局、誤りにより20万件の商標出願を放棄処理に
  2. アフガニスタン:多区分制度廃止
  3. モザンビーク:知的財産法改正
  4. 中国:商標登録のための7つの行政サービス導入
  5. 中国:北京知的財産法院の業務効率化
  6. 中国:著作権登録2015年も飛躍的増加
  7. イラク:商標に関する新規則施行
  8. シンガポール:調停制度開始
  9. サウジアラビア:オフィシャルフィー上昇
  10. ポーランド:商標法改正に伴う同意書の扱いについて

インド:特許意匠商標総局、誤りにより20万件の商標出願を放棄処理に

インドでは商標出願及び登録を巡ってたびたび不可解な事件が発生し、IPニュースの宝庫となっているが、2016年03月30日、またしても約20万件の商標出願と2万件の異議申立が放棄と看做されたことが判明し、各方面に波紋を広げている。

対象となった案件は商標出願については、出願から3‐4年経っているものの未だ公告となっていないもので、処分の理由は「拒絶理由に応答しなかったため」とされる。
2011年07月26日号のIPニュースでお伝えした通り、インド特許意匠商標総局は2010年7月より、拒絶理由通知を代理人にレターで送付することをやめ全て同局のHPへアップロードすることになっている。
「放棄」処理となった案件の大半は、未だ出願人/代理人がダウンロードしていないもの、メールや文書で応答したが、局内の管轄部によってその回答が「拒絶理由への対応」セクションに正しくアップロードされていないものが該当するという。
異議申立に関しては、答弁書が提出されていないもの、とされるが、これも同局へ文書等で送付されたため、正しくアップロードされていなかった可能性が高いという。

本件に関してインド特許意匠商標総局長官は2016年04月04日付で声明を公布し、2016年04月30日までに出願の詳細を文書で同局に送付すれば、その後適切な対応をすることを発表した(http://www.ipindia.nic.in/iponew/publicNotice_04April2016.pdf)。

現在、本件を巡っては様々な推測、憶測が周り、該当案件が把握できない状況であるが、弊社案件に関しては現在、未公告のものを中心に現地代理人で確認作業に入っており、確認が取れ次第、お客様にご報告する予定である。

[出典:Remfry & Sagar]

アフガニスタン:多区分制度廃止

アフガニスタンでは1出願多区分制度が廃止され、今後1出願1区分制となる。
しかしながら、現在出願中の商標、更新を迎える商標がどのように扱われるかは定まっていない。
本件に関しては進捗があり次第、IPニュースでお伝えする予定である。

[出典:Maddock & Bright]

モザンビーク:知的財産法改正

2016年03月30日付でモザンビークに新しい知的財産法が施行された。改正法はポルトガル知的財産法との協調を強化しており、国際条約の条文に従うものである。その主な内容は以下の通り。

1) 無効審判の請求期限

先行商標に基づく無効審判の請求期限は旧法の1年から、登録決定の公告日から90日となった。

2) 方式審査の補正期間

通知日から15日であったが、30日に延長された。

3) 当局の決定に対する不服申立期限

当局の登録又は拒絶の決定に対して出願人又は異議申立人は決定の公告日から30日以内に知的財産庁長官に不服申立を請求できる。また、長官に対する不服申立は監督管轄省又は行政裁判所に提出できる。

4) 異議申立請求期限

異議申立請求期限は60日から30日に縮減された。しかしながら、請求により60日間の延長可能である。また、出願人が答弁しない場合、出願取下と看做される。

5) 商号の無効請求事由

登録商標は混同を招くほど類似する商号の無効請求事由となる。無効審判は定款の公告日から5年以内に請求しなければならない。

6) 類似の指定商品・役務の保護

新法では同一又は類似の指定商品・役務を保護する先行商標が拒絶事由となることが明確にされた。旧法では同一指定商品・役務のみが保護されていた。

7) ARIPO商標との関連性

新法ではARIPO商標と関連する条文が追加され、異議申立、拒絶、使用意思宣誓書等に関して国内登録に適用される規則はARIPO経由の商標登録にも適用される。

8) 使用意思宣誓書

国際商標に関して、当該宣誓書の提出期限は国際登録日を起算日とすることが明記された。

[出典:Simoes,Garcia,Corte-Real & Associados]

中国:商標登録のための7つの行政サービス導入

中国商標局は、出願人に効率的で便利な商標登録出願サービス提供を目指し、7つの新たな措置を採用すると発表した。これは、近年、商標権利人と商標代理機構の要求に対する初めての回答である。具体的な内容は以下の通り。

1) 『商標登録出願ガイドブック』の出版

2014年05月01日の法改正以降、商標登録出願の受理業務実務においてよく見られる問題について、商標登録出願における焦点と一般的な問題を整理したうえで、『商標登録出願FAQ』を編纂し、中国商標局サイトにて公表する。
特に注目される点として、新・旧『類似商品・役務区分表』の適用(新たな区分表が公表される前に出願した場合、指定商品・役務の所属分類原則と基準は旧『区分表』に従う)、1商標多区分の出願商標の補正が通らず拒絶となる場合の処理方法(補正が命じられる区分が1区分のみだとしても、同拒絶決定が他の区分にも影響を及ぼすため、出願期日を保留できない)などが挙げられる。

2) 登録後行政手続の迅速化

「緊急、重大な理由」がある場合、申請書と証拠となる書面の提出により、申請人は商標の変更、譲渡、登録更新などの早期手続を申請できる。商標局が審査を経て、条件に満たすと認定するものに対しては早期審査を行い、関連業務の処理時間を短縮する。商標局は「緊急、重大な理由」に対する解釈を行っていないが、当該措置は、緊急な必要性がある商標権利人にとって大きなメリットとなる。

3) 補正通知書内容の詳細化

出願人が補正し易いよう、当局はより具体的な内容の補正通知書を作成する。
それにより、出願人の補正の精確性・対応性が上がると期待される。現在、『類似商品・役務区分表』に含まれていない商品と役務に対し、商標局はほぼ一律に「規範的ではない」という理由で補正を命じ、さらに補正の機会は一回しか与えられない。今度の「補正通知書内容の詳細化」により現在の機械的な対応法が変えられることが期待される。

4) 一部商標業務における書類認証不要

商標出願人の負担軽減と業務の処理時間短縮のため、肖像あるいは有名人の氏名を商標態様とする商標の登録、譲渡、取下、外国語名義あるいは住所の変更などの手続きを行う場合、出願人より提出される証明材料には公証が不要となる。

5) 複数の異議案件に共通の証拠材料援用可能

同じ月内に提出された異議案件に対し、もし当事者の提出証拠材料が(一部ではなく)完全に一致であり、且つ最初の案件(異議申立の提出時間に準じる)ですべての証拠資料を提出した場合、後の案件においては同証拠材料を別途提出しなくてもいい。しかし、その場合、目立つところに、証拠資料が所在する案件番号(被異議商標の初歩査定番号又は商標局の異議受理通知書の番号)を明記しなければならない。これは証拠材料が比較的多い異議案件におけるコピーのコストを大きく軽減する役割を果たせるため、異議申立人にも商標代理機構にも有利である。

6) 異議案件の合併審理範囲拡大

当事者双方が同じ、被異議商標の態様が同一で、同じ一式の証拠資料を共通で使用する案件、若しくは当事者がお互いに異議を申し立てる案件について審理を合併する。当事者に他の理由がある場合も、合併審理の申請を提出できる。商標局は審査を経て、合併審理の条件を満たすと認定すれば、合併して審理を行う。審査効率を高めるための措置であり、当事者にとって有利な措置である。

7) 中国商標局のデータベース改善

中国商標局のデータベースを改善し、内容をタイムリーに更新し、ウェブサイトの安定性を高める。商標ステータスの検索機能を改善し、「書簡の送達・返却」などのプロセス情報を増やし、出願人にステータス追跡の便宜を提供する。中国商標局データベースは中国商標局唯一のオフィシャルサイトとして膨大なアクセスがあるが、技術面の不安定性と不完備な検索機能などに苦情が多かった。

中国商標局が確実にこれらの措置の実行、推進することで、審査業務の品質向上が期待される。

[出典:King & Woods Mallesons]

中国:北京知的財産法院の業務効率化

北京知的財産法院では業務の効率化のため以下が実施されている。

1) 行政訴訟第一審のオンライン提訴システム開始

2015年12月15日より、北京知的財産法院のオンライン提訴プラットフォームが始動した。

オンライン提訴の受理範囲は、特許局、商標局、特許覆審委員会、商標評審委員会及び工商局などを被告とする第一審行政事件に限られ、民事事件は含まれない。
提訴資料についてコピー又はスキャンをアップロードすれば良い。裁判所はオンラインで提出された資料を審査し、7日以内に審査の結果をショートメッセージで当事者に通知する。受理された場合、ハードコピーの資料を裁判所に郵送し、訴訟手数料をオンラインで支払うことが可能である。
ただし、外国当事者は、一括提出でなく、認証を受けた資料を補充提出する場合、オンライン提訴システムを利用できない。また、現時点で当該システムを利用できるのは、北京市弁護士協会に所属する弁護士に限られる。

2) 商標出願拒絶査定不服審判に係る審決取消行政訴訟は、45日間以内に判決

審理の迅速化を図るために、立件法廷(立案庭)において商標拒絶査定不服審判に係る審決取消訴訟のみを担当する「速審組」というチームを結成した。
訴訟事件が受理された当日に、「速審組」は、開廷審理(口頭弁論)の期日を決め、当事者に呼出状を送達する。
また、当事者は、独任裁判官による簡易手続を選ぶことができる。この場合、原告の訴訟費用が半減され、かつ証拠提出期限を設けず、双方の証拠は全て開廷審理の時に提出する。
簡易手続が適用された場合、受理から45日間内に判決が言い渡される。

[出典:Beijing East IP]

中国:著作権登録2015年も飛躍的増加

国家版権局の統計によれば、2015年、中国の著作権登録は引き続き増加し、作品登録が134万8,200件、コンピュータソフトウェア著作権登録が29万2,400件、質権登録が606件、合計164万1,200件に達し、前年に比べ35.49%増加した。
各地の著作権行政管理部門と著作権登録機関が昨年、著作権登録活動を重視し、効果的な措置を講じて普及・サービス改善に取り組んだ結果と考えられる。作品登録は前年の99万2,000件より35.90%増加した。この中で、北京市の登録件数が44.57%、中国著作権保護センターの登録件数が17.93%、上海市の登録件数が15.12%であった。
コンピュータソフトウェア著作権登録は前年より33.63%増加し、再び過去最高を更新した。登録件数は北京、広東、上海、江蘇、浙江がトップ5となり、北京の登録件数が6万4,500件で引き続き首位であった。

[出典:国家知識産権網]

イラク:商標に関する新規則施行

イラクでは2016年03月03日付で商標に関する新規則が施行され、以下の変更が行われた。

  1. 商標出願の前にオフィシャル・サーチが義務付けられる。イラク商標局によれば、オフィシャル・サーチの申請後、10営業日以内に調査報告が発行される。調査結果が問題ない場合、出願を進めることができるが、障害となる商標が発見された場合は法律裁判所に申し立てを行うことになる。
    尚、この慣例はパリ条約の優先権主張をした出願には適用されない。
  2. アラビア語音訳の併記が廃止された。従来イラクにおいて外国語商標はアラビア語を併記しなければならなかったが、今後音訳は不要となる。
  3. 変更登録の申請に係る必要書類は従来、申請後に提出できたが、今後は申請時に原本を提出しなければならない。

この規則はイラク商標庁の審査の遅延解消を目的とする。

[出典:JAH & Co. IP]

シンガポール:調停制度開始

シンガポール知的財産庁(IPOS)は2016年04月01日より、紛争当事者双方にIPOSでの審問なしに和解することを目的とする新調停促進制度を開始した。この制度はIPOSでの紛争について調停を選択した当事者について、結果を問わず5,500S$を融資する。

当事者はWIPO仲裁調停センター、シンガポール国際調停センター等希望する調停機関を選択できる。この制度の利用にあたっては、調停の監督者、調停の結果の通知、代理人費用をIPOSへ通知することなど、幾つかの要件を満たさなければならない。

[出典:Spruson & Ferguson]

サウジアラビア:オフィシャルフィー上昇

2015年09月08日号で更新と名義変更に係るオフィシャルフィー上昇をお伝えしたが、当初予定されていた2015年10月15日には上昇されなかった。
しかしこの度当局は2016年03月24日付で更新に係る電子公告に関するオフィシャルフィー上昇を施行した。

[出典:Abu-Ghazaleh Intellectual Property]

ポーランド:商標法改正に伴う同意書の扱いについて

2016年01月26日号で商標法改正に伴う異議申立制度の変更についてお伝えしたが、これに伴い同意書の取扱について出願日によって以下3つの態様となる。

1) 2015年11月30日までに出願された商標

同意書は原則受け入れられず、先行商標との抵触を解消することはできない。同日までに出願された商標に関して特許庁は絶対的・相対的事由双方を審査するため、先行商標権者が何らアクションを取らない場合でも出願商標が拒絶される可能性がある。

2) 2015年12月01日から2016年04月14日までに出願された商標

同意書は受け入れられる。同日までに出願された商標に関して特許庁は絶対的・相対的事由双方を審査するため、拒絶解消に援用することができる。

3) 2016年04月15日以降に出願された商標

同日以降、ポーランド特許庁は相対的事由に関する審査を行わなくなるため、同意書の提出によって後願商標の登録が可能となる。

[出典:Anna Piotrowska-Wac]

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