2016年のIPニュース

2016年6月14日号ロシア:侵害訴訟前の警告状送付が必須に 他

  1. ロシア:侵害訴訟前の警告状送付が必須に
  2. バーレーン・エチオピア・シリア:オフィシャルフィー上昇
  3. ウェストバンク:委任状原本が必須に
  4. ヨルダン・カナダ:看板への現地語使用促進
  5. イラク:第5類への商標出願に関する方式変更
  6. 台湾:商標法改正へ
  7. 韓国:並行輸入物品通関認証の対象拡大
  8. 中国:北京高級法院「インターネットに関わる知的財産権事件審理ガイドライン」を発布
  9. トルコ:知的財産法改正へ
  10. シント・マールテン:知的財産局設置

ロシア:侵害訴訟前の警告状送付が必須に

ロシアでは一般的な司法裁判所及び経済管轄の裁判所に関する規則が改正され、提訴前の警告状送付が必須となった。これにより2016年06月01日以降、裁判所に提起する前に相手方に警告状を送付し、30日はその結果を待たなければならなくなった。
今後、警告状を送付せず又は30日期間終了前に提訴した場合、裁判所は訴状を受理しないことになる。
この改正は幾つかの問題点を含む。例えば、ドメインネーム紛争の場合、ドメインオーナーに警告状を送付する場合、その情報を入手しなければならないが、多くの場合レジストラは情報を開示しない。また、入手できた場合でもドメインネームを警告状受領後直ちに第三者に譲渡する可能性もある。
規則改正の目的は訴訟数の減少にあるが、これにより今後知的財産権の権利行使が困難になることが予測される。

[出典:SD PETOSEVIC]

バーレーン・エチオピア・シリア:オフィシャルフィー上昇

バーレーンではGCC商標法の施行細則を承認する省令2016-15号により、商標に関するオフィシャルフィーが著しく上昇した。これは2016年05月29日に施行され、新規出願及び現在出願中の商標に適用される。

2016年05月31日号でエチオピアの更新に関する新規則についてお伝えしたが、更新費用に関しても併せて上昇が予測されている。

シリアにおいても国内取引・消費者保護省令第1171/2016号が公布され、2016年05月22日より新しいオフィシャルフィーが導入された。これにより、公告、行政手続、変更登録等に関するオフィシャルフィーが上昇する。これについて最初と2回目の公告費を支払っていない案件に関しても新オフィシャルフィーが遡及的に適用される。

[出典:SABA IP, Abu-Ghazaleh IP]

ウェストバンク:委任状原本が必須に

ウェストバンク商標庁は今後出願時に出願書類と同時に領事認証済委任状を提出しない場合は出願を受理しないと公布した。以前は、出願日から1か月以内の提出が可能であった。

[出典:JAH & Co IP]

ヨルダン・カナダ:看板への現地語使用促進

中近東において、エジプト、オマーン、カタール、UAE、サウジアラビア、イエメン、シリアで看板にアラビア語の使用を義務付ける動きが促進しているが、ヨルダンもこの動きに迎合する。
同国においては既に2015年法律第35号第5条により、アラビア語の保護は2015年07月01日より推進されている。同条項はアラビア語が大きいフォントで併記されている場合の外国語使用を認めている。しかし具体的な文字の比率等については明文化されていない。
2015年法律第35号第16条によれば、関係者は2016年09月01日までに第5条の要件を満たさなくてはならない。違反した場合は、1400−4200USDの罰金が科される。

また、カナダのケベック州は国内で唯一フランス語を公用語としているが、フランス語憲章の商標登録された外国語商標についての除外規定があるにも拘わらず、看板にフランス語使用を促進させたいケベック州政府の意向が強く、2016年05月04日付で同州内で今後看板におけるフランス語の表記を明確にする規制改正案が提出された。これはフランス語以外の言語が使用されている看板について、フランス語による説明の併記を義務付けるもので、既存の看板についても改正規則施行後3年以内に訂正が求められる。

ケベックはカナダでも特異な例であるが、中近東において上述のようなアラビア語の使用が義務付けられる傾向にあるため、もし中近東でビジネスを展開する場合、今後はアラビア語での商標保護を検討することをお勧めする。

[出典:SABA IP, Smart & Biggar]

イラク:第5類への商標出願に関する方式変更

イラク商標庁は第5類の商標出願に関して新しい方式要件を導入し、今後は以下の情報が求められる。

  • INN
  • 製造業者の名称
  • 流通業者の名称
  • 商品ラベル

上記の情報の提出により、商標庁は出願が審査される前に保健省が承認を行うよう期待している。上記の情報を提出しなかった場合、同出願は拒絶される。
ただし、これらの情報を出願と同時に提出しなければならないか、出願から一定の期間中に提出できるかは不明である。

[出典:SABA IP]

台湾:商標法改正へ

台湾ではTPP加盟に向けて知的財産法の改正が進められており、2016年05月10日付で改正商標法草案が作成された。その内容は大きく4つに分けられる。

  1. ①第70条3項には商標権者の同意を得ずに、(…)第68条の商標権侵害に該当する虞があるのを明らかに知りながら、商品又は役務と結び付いていないラベル、タグ、包装容器、又は役務と関係のない物品を製造、所持、展示、販売、輸出又は輸入する場合、商標権侵害と看做す、と規定されていた。改正法では、「知りながら又は知りえる相当な理由がある場合は」商標権侵害と看做すとされる。
  2. ②商標又は証明標章を付したラベル・包装容器の侵害に対する刑事罰の追加。オンライン取引における侵害に関しても同様に刑事罰が追加される。
  3. ③第96条2項にも「証明標章権侵害のおそれがあると明らかに知りながら、他人が登録した証明標章と同一または類似の標識を付したラベル、包装容器又はその他の物品を販売又は販売を意図して製造、所持、展示した場合」に刑事罰が科されるが、「知りながら」という限定的な要件が削除される。
  4. ④第97条の「他人の行った前二条の商品であることを明らかに知りながら、販売、又は販売を意図して所持、展示、輸出又は輸入した場合は、1年以下の懲役刑、拘留又はNT$50,000以下の罰金に処する又は併処する」においても「知りながら」という限定的な要件が削除される。
[出典:Lee and Li]

韓国:並行輸入物品通関認証の対象拡大

韓国関税庁は、並行輸入品に通関認証を付すことができる商標を従来の810個から912個に、品目は92品目から115品目に拡大したと発表した。
並行輸入物品通関認証とは、並行輸入された物品が税関の適法な通関手続を経た商品であることが消費者によくわかるように通関標識を付す制度で、2012年8月から施行されている。QRコード方式の通関標識には①輸入者、②品名、③商標名、④通関日、⑤通関税関情報が収録され、以前収録されていたモデル名および原産地情報は現在は含まれていない。
通関認証を受けることができる並行輸入業者は、①過去2年間に関税法・商標法違反事実がなく、②過去2年間の並行輸入実績が年1回以上あり、③関税滞納がない者であって、当該通関標識申請書および誓約書(偽造品には通関標識を付さないという内容を含む)を提出しなければならない。
新たに通関認証の対象となった化粧品の商標は、NIVEA、PHYSIOGEL、CHAP STIC、LA MER等であり、時計はBREITLING, RADO等、工具はBOSCH等である。
品目では、家具、乾電池、釣り用品等、23品目が追加された。

通関認証の対象となる商標リストは、関税庁のホームページや並行輸入委員会(TIPA-PIS)のホームページにて確認できる。
関税庁は、今後も引き続き通関標識認証を希望する商標の申請を受け、並行輸入が可能と確認されれば、通関認証可能商標として公告する予定である。

[出典:韓国関税庁]

中国:北京高級法院「インターネットに関わる知的財産権事件審理ガイドライン」を発布

2016年04月13日、北京市高級人民法院が「インターネットに関わる知的財産権事件審理ガイドライン」を発布した。これはネット上の知的財産事件に適用される法的規則を標準化したもので、全3部、42条からなり、インターネット上の著作権、商標権、不正競争に関する紛争事件の審理に関する一部の課題について説明している。
著作権の保護について、ガイドラインは主に著作権者とISPの立証責任、ISPの行為の特定、ガイドラインと不法行為責任と除外に関する要件の関連性等を説明する。
商標権の保護に関して、ガイドラインは利益均衡原則や合理予防原則が適用されることを明確にした。特にプラットフォーム運営者の証拠責任について、直接侵害にあたる行為、有効な通知の明確化、不適切な通知の法的結果を特定している。

2015年、北京市の各裁判所が受理した知的財産権関連の第一審民事事件が13,939件となり、これは前年より24.1%の増加だった。その中で、インターネットに関わる事件が大きな割合を占めた。このガイドラインは、全ての裁判所で統一された司法規則の適用を進めるための指針となる。

[出典:KING & WOOD MALLESONS]

トルコ:知的財産法改正へ

トルコでは1996年以来、法典ではなく省令によって知的財産制度が管理されているが、新しい商標法の草案作成が進められており、2016年度中に施行される予定である。主な改正点としては以下が予定されている。

  • 悪意とパリ条約で定義されている著名商標との混同が商標審査の相対的拒絶事由に挙げられる。
  • 新しいタイプの商標として色・音商標が含まれる。
  • 異議申立期間が3か月から2か月となる。また、異議申立人の根拠商標が登録から5年以上経過している場合、出願人は真正な使用証拠又は不使用に関する正当な理由の提出を求めることができる。調停制度も導入される。
  • 侵害訴訟及び無効審判において、原告商標の不使用は防衛手段となる。その場合、5年の期間は訴訟・審判の提起日から遡って計算される。
  • 無効審判の原告は、請求日以前の5年間に渡る被告商標の継続的使用を知っている又は知っているはずにも拘わらず、5年間沈黙していた場合、悪意が立証されない限り、先行登録商標に基づく審判を請求できない。

また、改正法では国内消尽論ではなく、明確に国際消尽論を採用している。
詳細が分かり次第、続報でお伝えする予定である。

[出典:OFO VENTURA]

シント・マールテン:知的財産局設置

2016年04月08日、シント・マールテン知的財産局(Bureau of Intellectual Property of Sint Maarten, BIP SXM)が設置された。
同局はベネルクス特許庁(BOIP)と提携を結び、BOIPがシント・マールテンへの商標出を管理する。シント・マールテン知的財産局は絶対的事由について評価し、登録証の送付を管轄する予定である。

[出典:BOIP]

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