レポート−著作権

東南アジアにおける著作権の登録制度

日本の著作権法17条2項は「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行も要しない」と規定しており、また、ベルヌ条約5条2項にも同趣旨の規定があり、登録は権利発生の要件とはなっていません。
一方で日本の著作権法75条―77条には、著作者の実名の登録、第一発行/公表年月日の登録、プログラムの著作物についての創作年月日の登録、著作権の登録等が規定されており、ベルヌ条約にもこのような登録制度を禁止する規定はありません。

ベルヌ条約の加盟国は166か国(2013年03月現在)であり、東南アジアの殆どの国が加盟しています。これらの国でも独自の登録制度を設けてあり、その特徴は以下の通りです(美術の著作物の場合)。

国名 著作権登
録制度
法人
著作
シリ
ーズ
審査 登録にか
かる期間
存続期間 備考
インド あり なし 美術の著作物の場合、まず商標庁で相対的審査(同一・類似先行商標の有無)を行い、「No objection」証明書を発行。その後、著作権庁へ申請する。商標庁の証明書がない場合、著作権登録はできない。 1年 60年 審査が2段階に分かれるため、他国より費用と期間がかかる
インドネシア あり なし 方式のみ 1年 50年 証明書の発行が遅い
シンガポール なし - 70年  
タイ あり あり 方式のみ 1年 50年 シリーズとして認められるのは食器セット等同一の用途に用いられるものに限定される。
ロゴのB&Wとカラーの組合せ等は認められない。
台湾 なし - 50年 著作権登録機関を名乗る私的機関があるが、当該機関発行の証明書は裁判等では証拠能力なしと判断される。
パキスタン あり 不可 なし 方式審査後、国内紙への
広告が必要
1年 50年 自然人が申請したのち、法人へ譲渡国内紙への掲載が必要なため、コストがかかる
バングラディシュ あり なし 方式のみ 1年 60年
フィリピン あり なし 方式のみ 1年 50年
ベトナム あり なし 方式のみ 1年 50年 自然人が申請したのち、法人へ譲渡
香港 なし - 50年
マレーシア なし - 50年

ECD:タイ警察経済犯罪取締部 MOST:ベトナム科学技術省 TCSD:テクノロジー犯罪取締部 MCB:市場管理局

上記のうちインドは審査が2段階に分かれており、まず、商標局へ申請し同局の「No-Objection Certificate(登録を拒絶しない旨の証明書)」を得る必要があります。その後、改めて著作権局に登録を申請することになります。
登録にあたって、パキスタンのように現地紙への広告掲載が定められている国もあります。
概して東南アジアにおいて、名目上の登録にかかる期間と実際に登録に係る期間は著しく異なっており、最短の場合でも申請から登録まで2年以上かかりますが、最近ではオンライン申請システムを採用している国も増えており、今後は登録までの期間の短縮化が予想されます。

著作権の登録の効果としては、権利行使にあたって有利になる点が挙げられます。殆どの国において、著作権登録簿に登録した事項は全て、裁判において反証により覆されない限り、一応(Prima Facie)の証拠と見なされ、また、税関や刑事手続にあたって、著作権をベースとする際に登録証明書の提出が求められます。

自社の模倣品が多く発見される国や地域、ソフトウェア等商標権では保護しにくいものについては、著作権登録をしておくことをお勧めします。

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