2017年のIPニュース

2017年1月11日号中国:商標登録証明の発行方式を変更 他

  1. 中国:商標登録証明の発行方式を変更
  2. 中国:商標評審委員会、評審文書の公表開始
  3. 中国:マイケル・ジョーダン商標「喬丹」使用差止成功
  4. 韓国:スマート商標審査システム開始
  5. アメリカ:商標審判部手続に関する改正施行規則発効
  6. EU:立体商標登録が無効に
  7. ペルー:内国民の商標出願増加

中国:商標登録証明の発行方式を変更

2016年12月14日、中国商標局は商標登録証明の発行について新しい手続を公表した。
すなわち、商標登録証明という旧来の方式を廃止し、商標「档案」(登録原簿)をプリントアウトして「商標登録証明専用章」を捺印するという証明方法が採用される。登録者は、商標局窓口に身分証明書類と商標登録番号を提出すれば、その場で受け取れる。また、郵送で申請することもでき、郵便で返送される。上記手続について、官庁費用を発生しない。
また、マドプロ国際登録に関する中国登録証明の申請ついて、商標登録者は代理事務所に依頼し、新書式の登録証明申請書に記入して、その身分証明書類および委任状とともに商標局に提出する。一商標多区分の場合、1度の申請で全区分の発行を依頼する。費用は、1区分につき100人民元で、1ヵ月以内に登録証明が発行される。申請書の書式は、商標局ウェブサイトからダウンロードすることができる。
上記新手続は、2017年01月01日から実施される。商標局公告の原文(中国語)は下記から確認できる。

[出典:集佳知識産権代理有限公司]

中国:商標評審委員会、評審文書の公表開始

2016年12月15日、商標評審委員会は商標評審の透明度を高め、社会の監督を受けるため、2016年12月から毎月、ランダムで商標評審の決定書、裁定書を開示することを発表した。
今回は、拒絶査定不服審判決定書、無効宣告請求裁定書を含む30部の評審文書が開示された。その詳細は下記より確認できる。

[出典:集佳知識産権代理有限公司]

中国:マイケル・ジョーダン商標「喬丹」使用差止成功

2015年06月23日号でお伝えした通り、米プロバスケットボール(NBA)の往年の名選手、マイケル・ジョーダン氏が、「ジョーダン」の中国語表記「喬丹」が、無断で商標登録されているとして、2013年に中国のスポーツウエアメーカー、喬丹体育を提訴していた訴訟で、中国最高人民法院(最高裁相当)は2016年12月08日、これまでの下級審判決を覆し、喬丹体育がジョーダン氏の名字の中国語表記「喬丹」を商標として利用することはできないとの判決を下した。

最高人民法院は、ジョーダン氏の中国語表記「喬丹」(チアオダンと読む)は、中国国内でよく認知されていると判断し、喬丹体育は商標登録を放棄し、国家工商行政管理総局に返還する必要があるとの判断を下した。但し、中国語固有の発音表記法での名称「Qiaodan(チアオダン)」についてはジョーダン氏の主張を退けた。

[出典:MMLC]

韓国:スマート商標審査システム開始

2016年12月12日より、韓国特許庁は、商標審査業務の正確性と効率性の向上させるため、「スマート商標審査システム」を開始する。
「スマート商標審査システム」には審査官が拒絶理由を選択した場合、適切な標準語句を自動作成してくれる「通知書自動作成機能」と審査官の作成した通知書が法令で定めた要件と符合するかどうかを点検する「通知書エラー防止機能」及び過去の商品分類データを活用した「商品分類自動化機能」等が搭載される。
「エラーチェック機能」は、審査官が通知書を作成する際に間違いやすい項目に対する自動チェック結果を審査官に提供する。個人の出願人が使用してはいけない名称、出願人情報の変更有無等、9つの項目について自動チェックした結果を提供する。
「通知書自動作成機能」は、審査官が審査する際に記録した事項を抽出して通知書に自動的に記載する機能である。優先審査申請理由や分割出願有無等、18の項目が自動的に作成される。
「エラーチェック機能」と「通知書自動作成機能」を通じて通知書の作成に所要される時間の節約のみならず、通知書におけるミスの減少も期待される。
「商品分類の自動化機能」の高度化は、これまで出願人が記載した商品名が特許庁で定めた告示の名称や類似の名称と相違して審査官が直接分類しなければならなかった部分を自動化したものである。そのために、蓄積された3百万件の分類履歴から自動分類パターンを導出した。商品の審査において重要な基準となる商品分類が正確に行われることにより、商標審査の品質が向上するものと考えられる。

[出典:KIPO]

アメリカ:商標審判部手続に関する改正施行規則発効

2016年10月07日、米国特許商標庁商標審判部(TTAB)は手続に関する改正施行規則を公布し、2017年1月14日よりが発効される。これは2007年度以降で最初の大きな改正であり、当事者系手続(異議申立、取消審判、同時使用の認定)及び査定系審判に関する施行規則が多数改正されている。主な改正点は以下の通り。

  1. 書類の電子提出
    TTABへの提出書類は、特定の事情又は技術的困難を伴う場合を除き、全てオンライン・ファイリングシステム(ESTTA)により提出しなければならない。特にマドプロ経由の出願に対する異議申立通知と延長申請は必ずオンライン提出が義務付けられる。
  2. 電子メールの活用
    審判に関する全ての書類はメールでの送達が義務付けられる。これにより、郵送による配達で認められていた対応に関する5営業日の延長は認められない。
    文書の容量が多い場合、TTABはクラウドサービス又はUSBの活用を推奨している。
    また、異議申立通知、取消審判請求、同時使用(Concurrent use)認定に関する通知についてTTABはTTABVUE(Trademark Trial and Appeal Board Inquiry System)にリンクしたメール配信を行う。
  3. マドプロ経由の出願に関する異議申立手続について
    マドプロ経由でアメリカを指定国とする出願に対する異議申立について、対象となる指定商品・役務及び異議事由はESTTAカバーシートに記載されたものに限定され、補正できない。画集国法典第15巻第1、44条に基づく出願について、ESTTAカバーシートは申立の一部と看做され、異議申立の範囲は必ずしも同シートに限定されるものではない。
  4. 審判前手続及びディスカバリー手続の合理化
    改正規則はディスカバリーを含めた審判前手続の迅速化を定めており、ディスカバリーに関する全ての応答、拒絶、書類提出等がディスカバリー終了日の30日前に提出されていなければならない。これに伴い、ディスカバリーにおける書類提出要求(Request for production of documents)及び自認要求(Request for admission)は75項目に限定される。
  5. 宣誓書による証言(Testimony by affidavit)に関する変更
    各当事者は他方の当事者の合意がなくても宣誓書(Affidavit or Declaration)による証言が可能となる。これには反対尋問の機会が付与がされる。

今回の改正は特に審判手続におけるコスト削減と効率性を目指したものであり、2017年01月14日において係属している全ての案件に関して適用される。

[出典:Shumaker Loop & Kendrick]

EU:立体商標登録が無効に

最近、EUで登録された立体商標が次々と無効になっている。
2016年11月10日、欧州司法裁判所はルービックキューブの立体商標を無効とする判断を示した。
ルービックキューブの立体商標は欧州で1999年に登録されている。これに対してドイツのSimba Toysが2006年、ルービックキューブの形状は立体パズルの回転機構と強く結び付いているため、立体商標の登録は無効であるとEU知的財産 庁(EUIPO)に訴えた。しかし、EUIPOでは1審・2審ともに訴えを却下しており、この判断の取消を求めた訴えも欧州一般裁判所に棄却されたため、Simba Toysが欧州司法裁判所に上訴していた。
欧州司法裁判所では共同体商標に関する欧州共同体理事会規則40/94の第7条(1)(e)(ii)が技術的な方法や機能による特徴の独占を防ぐためのものであると指摘し、ルービックキューブの形状と機能の結びつきを考慮する必要があったと述べている。さらに、出願書類では回転機構について触れられておらず、形状と機能の結びつきを判断できなかった点も指摘。欧州一般裁判所の判決を破棄し、ルービックキューブの立体商標登録を有効としたEUIPOの決定を無効と判断した。
また、2016年12月15日、欧州一般裁判所は食品で世界最大手のネスレ(スイス)のチョコレート製品「キットカット」について、欧州連合知的財産庁(EUIPO)が2006年に認めた形状の商標登録を無効とする判断を下した。
4本のチョコレートバーが連なった「キットカット」の4フィンガー版の形状をめぐっては、競合の英製菓・飲料大手キャドバリー・シュウェップスが2007年に商標登録の取消を申請したが、EUIPOはこの形状がキットカット特有のものとして認知されているとの見解に基づき、同社の要請を却下していた。
しかし後にキャドバリーの親会社となった米食品大手モンデリーズ(Mondelez)・インターナショナル(旧クラフト・フーズ)がEUIPOの判断を不服として欧州司法裁判所に提訴。同裁は今回、4フィンガーの形状が当時の全EU加盟国でキットカットのものと幅広く認識されていたとは言えないとして、EUIPOによる商標登録の決定を「法解釈の誤り」と断じている。

[出典:Novagraaf]

ペルー:内国民の商標出願増加

2014年度、ペルーの知的財産庁(Indecopi)が受理する商標出願の60%は海外出願人のものであり、40%は国内出願であった。しかし2016年12月、この割合は逆転し、ペルー人からの出願が増加している。
これはペルーの情報サイトGestionの発表であるが、同サイトによればこれはペルー国内市場の活性化と地元企業家の増大に原因があるという。これらの動きにより知的財産権に関する認識も高くなり、例えば現在同国の百貨店、大手小売店において各店舗又は提供商品について登録商標を有しているか確認するようになっている。
国内出願は特に医薬品、繊維、保険、金融サービスの分野で増加している。

[出典:Francisco Espinosa Reboa]

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