2009年のIPニュース

2009年10月13日号トルコ:商標法改正 他

  1. トルコ:商標法改正
  2. パラグアイ:知的財産権研究所設立への動き
  3. スーダン:委任状に関する新規則の採用(2)
  4. UAE:公告費及び登録料の徴収に関する新規則

トルコ商標法改正(2009年1月21日付)

第9条
商標登録によって発生する権利は、商標の所有者が独占的に享受する。
商標権者は下記の中止を求めることができる。

  1. a) 同一の指定商品について、当該登録商標と同一の標章の使用
  2. b) 登録商標及び指定商品の同一性又は類似性によって公衆の一部に、当該標章と登録商標の関連性(association)を想起させることも含め、混同のおそれをもたらす標章の使用
  3. c) 同一の指定商品について使用されているわけではないが、正当な理由なく、その使用によって不公正な利益を発生させたり、その標章の使用によって発生する評価がトルコでの使用の結果得られたその登録商標の識別性や評価にダメージを与えたりするような同一又は類似標章の使用

第1段落に基づき、以下の行為が禁止される。

  1. a) 当該標章の商品又は包装への使用
  2. b) 当該標章を付した商品の販売の申出、販売又はそれらの目的で保管すること、それらの標章を付して役務提供を申出ること又は提供すること
  3. c) 当該標章を付した商品を税関に送ること又は税関で認められている使用方法に基づきこれらを加工・製造すること
  4. d) 当該標章を業務書類や広告で使用すること
  5. e) 使用者に当該標章を使用する権利又は正当性がないにも拘わらず、ドメインネーム、ディレクティングコード、キーワード又はその他の態様で商業的効果をともなってインターネット上で当該標章と同一又は類似のバージョンを使用すること
    所有者に与えられる登録商標の権利は、第三者に対して商標の登録が公告された日から発生する。出願人は商標の登録が公告された時点で、これらの禁止行為で被った損害に対する賠償を請求できる。管轄裁判所は、登録が公告されるまで、請求の実体的事項について決定することはできない。

第61条
次に掲げる事項は、商標権の侵害とみなされる。

  1. a) 商標の所有者の同意なく第9条に記載された当該商標の使用
  2. b) 商標の所有者の同意なく同一又は混同するほどに類似する商標の使用
  3. c) 同一又は混同するほどに類似する商標を使用することが不当な模倣であることを知っていながら、或いは知っているはずにも拘わらず、当該標章を付した侵害品を市場に販売、流通、提供すること、当該目的で税関に送ること、税関が認める方法で加工・製造すること、又は、商業目的のそれらの保管
  4. d) 使用許諾契約書において認められた権利の第三者への移転又は拡大

第61/A条
出所混同を生ずるおそれのある手段によって他人の商標権を侵害し、その侵害品の流通又は販売、商品又は役務を提供する者は、20,000ドルまでの罰金とあわせ、1年から3年の禁固刑が科せられる。
許可なく保護された商標である標章を商品又は包装から取り除く者は、5000ドルまでの罰金とあわせ、1年から3年の禁固刑が科せられる。
許可なく他人の商標権を販売、移転、賃貸又は担保とする者は、5000ドルまでの罰金とあわせ、2年から4年の禁固刑が科せられる。
もし上記の犯罪が法人の活動期間中に行われた場合、これらの法人に対しては更なる安全措置が科せられる。
上記の禁固・課金の対象となる商標は、トルコにおいて登録されていなければならない。
上記の刑事手続きは、親告罪の対象となる。
侵害品を流通又は販売市販し、第三者が権利を有する商標を違法に模倣する者でも、侵害品の出所を開示し侵害品の押収に協力する場合、刑事罰が科されることはない。

[出典:Official Gazette]
【解説】

第9条の改正では、第2段落e(インターネット上での標章の使用の禁止)が新設されていることが注目される。インターネット上の商取引は増加する一方であり、商標の使用に当たるか否かの判断は容易ではない。このような最近の問題に対応するため、インターネット上の商標権侵害に関して明文化した規定である。
第61条の改正では、旧法にあった幇助や教唆などの規定が削除されたようである。
第61/A条は、旧法が込み入って読みづらい条文となっていたのを、簡素に読みやすいものに改正したようである。

パラグアイ:知的財産権研究所設立への動き

パラグアイは近隣諸国の動きと連動し、知的財産権研究所(National Institute of Intellectual Property)(INPI)を設立する予定である。当該研究所の設立により、パラグアイの知的財産、科学、芸術作品に関する権利の保護枠を定めることになり、これらの創作物を育成していくことになるだろう。
パラグアイの議会では最近、知的財産権研究所設立の法案が審理されている。
法案によれば、当該研究所は独立機関であり、憲法及びパラグアイが締結した国際協定・条約に基づき、あらゆる形態の知的財産権を保護するための法の適用を担う。
INPIは知的財産庁と著作権庁を担当する。当該法制度はパラグアイの技術・文化・経済的発展を目的とし、知的財産権に影響を及ぼす問題に新しい観点を与えるための試みである。

[出典:Berkemeyer]
【解説】

パラグアイにおける登録官庁は知的財産庁(Industrial Property Office)である。INPIは知的財産庁と著作権局を担当する(in charge of)とのことであるが、その関係がどのようなものであるのか、商標出願・登録の実務に影響があるかについては不明である。
National Institute of Intellectual Propertyという名称からすると、日本の財団法人知的財産研究所(Institute of Intellectual Property)のような知財関係の調査・研究及び情報収集をする機関なのかもしれない。
いずれにしても、実務への影響があるかについては注意が必要である。

スーダン:委任状に関する新規則の採用(2)

8月号のIP Newsで、スーダンへの委任状に領事認証が必要になったことをお知らせしたが、当該委任状の有効期限は、出願中のものに関して5年間有効であり、当該期間を超過した場合、再度認証付委任状の提出が求められる。

[出典:NJQ Associates]
【解説】

スーダンで提出する委任状は、公証も必要とされます。
また、8月号でお知らせしたように、領事認証付登記簿抄本も必要となります。
公証、認証が必要となる国が未だに多く残っていますが、手間と費用を考えると、できるだけ出願必要書類は減らしてもらいたいものです。

UAE:公告費及び登録料の徴収に関する新規則

2009年7月1日付大臣令第360号が2009年7月30日付で発効となり、公告査定がおりた後に公報に掲載される商標の公告費及び登録料の徴収について定めている。主な内容は下記の通り:

第1条 公告費は、公告査定の通知日より30日以内に支払わなければならない。

第2条 登録される商標の修正や追加(但しこれらは商標の外観や指定商品リストに実質的な変更をもたらすものであってはならない)にかかる公告費は、当該修正等が認められた日から30日以内に支払わなければならない。

第3条 公告され、異議申立期間が終了した商標又は異議申立決定が発せられた(当該決定に対する不服申立がない)商標の登録料は、30日以内に支払わなければならない。

第4条 商標庁は、第1、2、3条の内容を、本人又は代理人に送られた各承認の通知とともに、出願人に知らせなければならない。

[出典:NJQ Associates]
【解説】

UAEでは、出願後に審査され、拒絶理由のない商標は公報(Trademark Journal)及びアラビア語の新聞2紙に公告される。
その後、30日の異議申立期間があり、異議申立がない又は異議を認めない決定がされた場合、正式に登録となる。
この公告及び登録の各段階で費用の支払いが必要となる。
なお、出願から登録までの期間は約10-12カ月とのことである

解説:[大野総合法律事務所] 弁理士 / 中村 仁、大橋啓輔、土生真之

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