2024.04.23IPEU:ジャージー諸島におけるEUTM商標の保護
EU:ジャージー諸島におけるEUTM商標の保護
ジャージー諸島当局は最近行われた新法に関する協議の結果、欧州連合商標の保護範囲はジャージー諸島に及ばないとの見解を示した。
以前は、商標に関する専門家や実務者の間では、欧州連合商標の保護範囲はジャージー諸島にまで及ぶとの見解が一般的であった。
欧州連合商標の旧称である「欧州共同体商標」はジャージー諸島の2000年商標法に記載されている。
しかしながら、同法内で言及している商標理事会規則(EC) No 40/94は2009年に廃止されており、この事実に基づき、ジャージー諸島政府は、当該規則の廃止以降、欧州連合商標はジャージー諸島に保護が及ばないと勧告している。
2009年から15年経過した後での声明であり、言い換えれば、商標がジャージー諸島の司法でどの程度頻繁に議論されたかを示しているといえるだろう。
事実、2000年以降、ジャージー諸島で商標に関する裁判が行われた記録はなく、それ以前もさほど件数は多くないようである。
■今後のジャージー諸島での商標権の保護に関して
ジャージー諸島の法体系は多元的で、特にノルマン慣習法の影響を受けているが、未登録の商標をある程度保護するためには、イギリス慣習法のパッシングオフを採用することが考えられるだろう。
一方、より確固たる保護が必要である場合、以下のような選択肢が考えられる:
1. すでにイギリスを指定国とする国際登録を保有している場合、この権利は自動的にジャージー諸島も保護することになる。
2. 国際登録を保有しているが、イギリスを指定国としていない場合、当該国際登録においてイギリスを事後指定し、保護決定がなされれば、ジャージー諸島でも保護されることになる。
3. イギリスのEU離脱(ブレグジット)以前のEU商標を保有しており、当該商標のイギリス登録への自動形成(クローン化)を拒否していないのであれば、このイギリス登録に基づき、この権利をジャージー諸島へ拡張することが可能である。
4. 上記のいずれにも当てはまらない場合、イギリスでの商標登録を行い、拡張申請をすれば、当該商標はジャージー諸島でも保護されることになる。
[出典:Stobbs]