2006年のIPニュース

2006年1月25日号中国における馳名商標と著名商標の違い

前書き

中国における「馳名商標」(Well-known mark)と「著名商標」(Famous mark)の区別は、日本の「周知商標」と「著名商標」と同じく曖昧です。

中国における馳名商標の定義

中国の全土において、公衆に広く知られ、かつ高い信用を有する商標のこと。

中国における著名商標の定義

産業を発展させるために、各省内(経済特別区も含む)が独自の基準で著明性を判断し認定する。したがって、馳名商標と区別される。参考数字として、雲南省(401件)、山西省(340件)、北京特区(160件)、上海特区(100件)を挙げておきます。

重点保護商標の定義

2つ以上の省で侵害事件が発生している有名な商標を重点保護商標として選定し、そのリスト(全国重点商標保護名録)を全国の工商行政管理局に配布した。
このリストに掲載されると、模倣品摘発や類似商標登録排除などに有利となり、1999年1月14日に国家工商行政管理局から通知され、短期間で申請が行なわれ、2003年時点で約280の商標が選定された。中国企業が約150、外国企業が約130で、日本企業の24商標が選定されたが選定基準に批判が強かったため、この制度は廃止された。

馳名商標認定の歴史

始まりは、1989年の北京同仁堂集団公司の商標「同仁堂」(薬)で、1991年(12件)、1993年(1件)という具合に認定件数に急激な伸びは見られない。
2004年25日発行の馳名商標公報で、外国企業の商標として、英国のGILLETTE Co., Ltd.(吉列公司)の「GILLETTE」、同じく英国企業(可口可系公司)の商標「雪碧」が初めて公告された。
それ以降の外国企業の商標としては、2004年6月19日発行の公報で「MCDONAL’S & 図形」、「DU PONT」、「JAGUAR」、「LANCOME」、「BOSS」、「FERRARI」等が公告された。
日本企業の商標としては、2005年6月23日発行の公報で、「NISSAN」(第12類)、「YKK」(第26類)、今年の1月5日ダイキン工業(株)の「大金 & ロゴ」が馳名商標と認められた。
ちなみに2005年6月24日公告までの年度別認定件数は、次のとおり。
1989年(1件)、1991年(12件)、1993年(1件)、1995年(5件)、1997年(23件)、1999年(111件)、2000年(43件)、2002年(98件)、2004年(142件)、2005年(79件)

馳名商標認定制度の変遷

2002年9月15日から施行されている施行規則(第5, 45条)において、馳名商標認定の運用に変化があった。
これまで自主的に申請し認定を待つという「自主的保護申請」から、事案ごとに馳名性の要件を確認する「個別処理の原則」に修正された。
2002年1月28日に認定された98件の馳名商標が最後の自主的認定となった。
その後は「実施規則・司法解釈及び馳名商標認定及び保護規定(2003)」により、個別案件ごとに工商行政管理部門(AIC)や人民法院が証拠に基づいて認定し保護するようになった。

馳名商標申請受理及び認定機関

  1. 中華人民共和国国家工商行政管理総局商標局(CTMO)
  2. 商標評審委員会(TRAB)
  3. 地方工商行政管理局(AIC)
  4. 基層人民法院(人民法院)
CTMO

CTMO(Trademark Office/State administration for industry and commerce People’s of China)は、全国の商標管理機関として位置付けられ、全国の商標登録業務とその管理業務を担っている。主な業務の中に馳名商標の認定があり、日本の審査部にあたる。

TRAB

TRAB(Trademark Review and Adjudication Board)は、国家工商行政管理総局により設立された商標審判を専門的に行なう行政機関であって、日本の審判部にあたる。他の行政機関の干渉を受けずに審判に関する裁定又は決定する権利を有し、かつ、国家工商行政総局商標局を監督するための権限も付与されている。

AIC

AIC(The Administration Authorities for Industry and Commerce)は、「中国の経済警察」と称されるほどに、模倣品の取り締まりに頻繁に利用される行政機関で、中央の国家工商行政管理局を中心として、その下位組織に省・直轄市レベルの工商局、さらに地方レベルの工商局分局がある。商標法違反行為に対して、監督検査・証拠の封印又は差押さえを行なう権限が与えられている。当事者は、2003年6月1日から施行されている「馳名商標の認定及び保護規定」に基づき、商標法第13条(馳名商標に係る不登録事由)の規定に違反していると認められる場合は、案件発生地の市以上の地方行政管理部門に使用禁止の書面請求を行う。工商行政管理部門が馳名商標として保護すべきと判断した場合には、その旨商標局に報告する。

人民法院

人民法院は、事案ごとに馳名に係る証拠に基づき認定する。

残された問題点

「馳名商標の認定及び保護規定」(2003年6月1日施行)に基づき認定された馳名商標は、その案件のみ有効であり、当該事件以外の第三者を拘束するものではない。
つまり、馳名商標として認定された商標が他の事件に絡んだときは、以前の認定記録を証拠として提出することが出来るものの、再度馳名性を主張しなければならない。詰まるところ過去の事実は、単に事実としてそれぞれの事件に参酌されるだけで、行政機関及び司法機関は、その商標の馳名度と具体的状況によりそれぞれ判断する。一旦馳名商標として認定されると効果が自動的に3年間、あるいは非類似商品にも及ぶと思われていますが、実態は違うようです。

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