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2021年09月09日ブランディング今日から実践シリーズ!!「最大のラスボス~前編~」

プロジェクトを進めていくなかで出現するネーミング決定を阻む怪獣たち。
これまで「ゼロ怪獣」「ピンとこない怪獣」「スネスネ怪獣」「モノ忘れ怪獣」が登場しました。
倒し方はばっちりですか?もちろん、立ちはだかる怪獣はこれだでではありません。今回は「最大のラスボス~前篇~」として、
この怪獣に立ち向かう為の有効な武器をこれまでの経験を踏まえて解説していきます。

―――さぁ、いよいよ出てきましたね、「最大のラスボス」。この倒すべき怪獣は何なのでしょうか?

西岡:「最大のラスボス」。それは・・・「商標権の壁」です。

―――出ました!!「商標権の壁」。では早速このラスボス、「商標権」の倒し方を教えていただきましょう。

西岡:はい、倒し方は・・・ありません!!
そもそも、そんな簡単に倒せるようであれば、各企業の商標担当者の方は日々苦労されないですよ。

―――まぁ想像はしていましたが、その通りですね・・・

西岡:商標権の壁」については「倒す」というよりも、どのように「回避するか」「潜り抜けるか」「乗り越えるか」
「穴を突くか」。つまり今回については「倒す」怪獣ではないと思っています。

―――なるほど。そもそも商標権ってなぁに?って方もいらっしゃると思うので、
まずは簡単にこの商標権について教えてください。

西岡:少し丁寧にお伝えしますと「自社の製品やサービスを他者の製品やサービスから区別する
『特別な印』を早い者勝ちで独占できる権利」です。
注意していただきたいのは「特定の言葉を独占する権利」ではない、ということです。
あくまでも「特定の製品やサービス」について、他者と区別ができる『特別な印』」と理解ください。
もっと詳細にご興味あればお近くの知財担当者に聞いてみてください。
もしくは弊社「商標の豆知識」(https://trademark.jp/report1)をご覧ください。

―――ここで特にポイントとなるのは「他者との区別」「早い者勝ち」でしょうか?

西岡:その通りです。つまり区別が出来なかったり、早い者勝ちの競争に負けるとこの権利は得られません。

―――権利を得られないまま使用するとどうなりますか?

西岡:商標権の侵害ということで権利を持っている人から叩かれる惧れがあります。
その場合、商品自体の表示はもちろん、カタログ等で使用しているすべてで名前を変更する必要があります。
また場合によっては損害賠償を請求されることもあります。

―――全てですか・・・それは莫大なコストと手間ですね・・・

西岡:逆に自社で商標権を取得できれば、ライバルに対して同様の権利を行使できる非常に強い武器でもあります。

―――自社で取得できれば「非常に強い武器」でもあり、他者に取得されてしまったら自社の「大きな脅威」にもなる、
ということなんですね?

西岡:その通りです。その意味では味方でもあり敵でもありますね。

―――他に最低限、押さえておくポイントはありますか?

西岡:商標権は全世界でそれぞれの国毎に運用されています。
そして『特別な印』を使用する国々それぞれで権利を取得する必要があります。

―――日本だけではないのですね・・・ということは、国毎に法制度の内容が異なるのでしょうか?

西岡:国毎で異なります。そのため日本であれば日本の、アメリカであればアメリカの専門家に相談する必要があります。
特にアメリカは、日本と全く異なる制度なので注意が必要です。

―――ここまで聞くだけでもめちゃくちゃ大変そうな怪獣ですね・・・
倒せないとしてもどのように対処すればよいのでしょうか?

西岡:本当に手ごわいです。明日から実践が出来て、かつ大きな効果を発揮するのは次の2点だと思います。

1つ目、しつこいですが本当にネーミングとして必要なのかの検討を行うこと。
2つ目、自社の商標担当者とのタイムリーな情報共有、コミュニケーションを行うこと


―――非常にシンプルですね。1つ1つ解説をお願いします。

西岡:まず「ネーミングとして必要なのかの検討」。こちらは前回の「モノ忘れ怪獣」の時にも少しふれましたね?

―――スーパーの「大根」「人参」と「ブドウ」のお話ですね。

西岡:その通りです。「大根」「人参」はネーミングが無くて「ブドウ」には「巨峰」というネーミング、
商標が使用されている。

―――どちらが良いのでしょうか?

西岡:はい。ここで大切なのはどちらが「正しい、良い」ということでは無いということです。
前回もお話した通りネーミングは認知させるための『特別な印』です。
この場合、購入する人の大多数はそれぞれ何をもって商品を選びますか?

―――「大根」「人参」であれば産地とか値段・・・でしょうか?

西岡:そうですよね、つまり大根を買う人にとって気になるポイントは「人参ではなく大根であるかどうか」となります。

―――なるほど

西岡:一方で「ブドウ」を買う人にとって気になるポイントは「味、見た目、種の有無・・・」と多岐にわたります。
これらの情報を簡単に伝達するのに「ブドウ」だけでは足りません。
品種や商標によって「一言」でこれらの情報がつたわるわけです。
つまり、ネーミングが必要な理由があるわけです。

―――なるほど。一方でネーミングの必要性が商標の壁とどのように関係するのですか?

西岡:ネーミングの必要性を議論した上でネーミングが「不要」と判断、
もう少し具体的にいえば「ネーミングという手法ではない、例えば説明文やパッケージ等でアピールしていこう。」と結論が出たとします。

―――はい。

西岡:そうすると「商標権の壁」とそもそも戦う必要がありません!!

―――あっ、なるほど。それが冒頭におっしゃっていた「回避する」ということですか?

西岡:その通りです。「ネーミング」において「商標権の壁」は避けることが出来ませんが、
ネーミングが「目的」ではなくブランディングの「手段」とするならば、
ネーミング以外の手段で「商標権の壁」から逃げることも重要です。
あと非常に重要なこととして「商標権の壁」と戦うには結構なお金がかかる、ということがあります。
つまり「商標権の壁」の「回避」は「出費」の「回避」にもつながります。
もちろん、「出費の回避」を目的にすることは「回避」しなければなりませんが。

―――孫氏曰く・・・、では無いですが戦わずに「逃げるが勝ち」ということも必要ということですね。

西岡:その通りです。以外と見落としがちですが重要なポイントです。

―――大変参考になります。ありがとうございました。

今回は「今日から実践シリーズ!!「最大のラスボス~前編~」」ということで、
ネーミングを避ける必要性をご紹介いたしました。
次回は~後編~として商標担当者とのコミュニケーションの重要性について解説していただきます。