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2021年10月29日ブランディングネーミングのためのコミュニケーション術 ~プロジェクト担当者へ贈る言葉 (中編)~

―――前回は知財担当者のミッションについてお話いただきました。知っているようで知らない商標担当者の大変さが少しは理解できました。

西岡 それはよかったです。前回の話を踏まえると、今まで商標担当者から指摘されてきた事も少し見え方が変わりますよね?

―――そうですね。なぜ商標担当者が根掘り葉掘り細かくヒヤリングをしてきたのか、そして今まで指摘されてきた、「本当に必要ですか?」「なるべく商標権として安全なネーミングを選んで欲しい」「類似商標があるから使用しないで欲しい」などなど、いろいろとありますが、それぞれの意味を考えるようになりますね。

西岡 はい。商標権の性質上、判断を行う為には細かく要件を定義する必要があるので詳細にヒヤリングするケースが多いです。プロジェクトを進める上で、商標担当者によるヒヤリングは、避けては通ることが出来ないものだと思ってください。

―――「仕方がないものは仕方がない」と?

西岡 仕方がない、というよりも、プロジェクトを進める上での正攻法のプロセスだと捉えるべきです。踏むべき必須のステップであり、お互いの立場で非常に重要だとご理解いただければ考え方や行動は違ってくると思います。

―――確かに相手の立場や目的を理解しようとするかどうか、非常に重要ですね。

西岡 その通りです。商標担当者のホンネでいうと、正直、事細かにヒヤリングしなくても業務を進めていけるのであれば、スルーしたいと思っている方もいるでしょう。意味のあるヒヤリングをしようとするとけっこうエネルギーを使いますからね。

―――なるほど。

西岡 時には重箱の隅をつつくように細かく質問や指摘をされた経験があるなど、「商標担当者ってなんだか凄い細くて神経質だから嫌だな・・・」と知財担当アレルギーをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。しかし、商標担当者は心を鬼にしながら指摘や質問をしたりしている、ということも心の片隅に置いていただければと思います。

―――わかりました、心にとめておきます。

✔コミュニケーションをとる上で意識すべき4つのポイント

―――具体的にコミュニケーションを取る際にはどのようにすればよいでしょうか?

西岡 商標担当者とコミュニケーションを取る上でこれだけは意識して欲しいポイントとしては次の4つですね。

   ①タイムリーな情報共有を心掛ける。
   ②ネーミングの使用予定について「決まっている事」「未定な事」「絶対にありえない事」を明確にする。
   ③商標調査の結果が悪い場合、深追いはしない。
   ④ネーミングを使っていきたい熱意をしっかり伝える。

―――それでは1つ1つ解説をお願いします。

西岡 まず①の「タイムリーな情報共有を心掛ける。」。こちらについては以前もお伝えしましたね?なにも商標担当者に限った話ではありませんが、プロジェクトに関わるメンバーには、出番が早い遅いに関係せずにプロジェクトが立ち上がった段階からに常にタイムリーな情報共有を心掛けてください。

―――わかりました。心がけるようにします。②の「ネーミングの使用予定について「決まっている事」「未定な事」「絶対にありえない事」を明確にする。」。こちらについてはどういう意味でしょうか?

西岡 こちらも繰り返しになりますが、商標権は「どのような製品・サービス」に使用するのか?により商標権を取得する範囲が異なります。また販売展開する「国」ごとに取得する必要があります。

―――はい。以前も簡単にご説明いただきましたね。商標権についての詳しい解説はこちらをご覧ください。

西岡 つまり、「どのような製品にネーミングを付して、どの国に売るのか?」という情報が必要になります。一方でマーケティング担当や営業の方にこの質問すると、「売れるのであればゆくゆくは世界中で販売を目指します。」「はじめは○○の製品にしか使用しないけど、ネーミングの認知が高くなったらもっと色々な製品に付けたい」といったお答えが結構多いです。

―――結構漠然としていますね・・・。非常に前向きで積極的というか前のめりというか・・・

西岡 そうですね。そのマインドは非常によくわかりますし、とても重要な事だと思います。しかし、この条件を基にネーミングを検討しようとすると、そもそも全世界のすべての商品について商標権調査が必要になってしまいます。それは非現実的です。何億円あっても足りません。

―――そうですよね。莫大なコストと時間がかかりますよね。つまり、商標戦略を考える為には、もう少し具体的な販売計画に沿った情報提供が必要、ということでしょうか?

西岡 その通りですね。「販売計画の詳細全て」とは申しませんが、少なくとも5年程度先の中期販売計画として、どの程度の国、製品まで具体的な検討がされているかは提供いただいた方が良いですね。

―――それがネーミングの「使用予定」ということですね。「決まっている事」とは言葉の通り、既に決定した内容という意味ですね。一方で「未定な事」「絶対にありえない事」とはどのような意味ですか?

西岡 商標担当者にとって「決まっている事」の範囲における商標権の調査は「必要最低限の当然の範囲」です。むしろ、関心があり検討すべきなのが「将来的にどの範囲まで使用する可能性があるのか?どの範囲まで現時点でカバーすべきか?」となります。

―――なるほど。しかし仮に5年先としても明確にそこまで計画されているケースは少ないのではないですか?流動的な部分もあると思いますが・・・?

西岡 だからこそ現時点として「未定な事」と「絶対にありえない事」を可能な限り明確にしていただきたいですね。「検討しているけれども未定な事」と「検討されないであろう事」とお伝えした方が良いかもしれませんね。

―――「検討しているけれども未定な事」で良かったんですか?勝手なイメージですが決定している事項でなければダメだと思っていました。それは気が楽というか、伝える側としてはホッとしますが・・・

西岡 その検討中の内容から今後の展開を見据え「優先順位を付けてどこまで調査を行い商標権を取得していくのか?」をまとめていくことが商標担当者の腕の見せ所です。その判断の精度をたかめるためにも「決まっていないけど、ここまでは検討中なので可能性がある」とコミュニケーションを取るように意識してください。

―――ありがとうございます。そう言っていただけると大変肩の荷が軽くなった気がします。さて、今回はネーミングのためのコミュニケーション術 ~プロジェクト担当者へ贈る言葉 (中編)~ということで、商標担当者とコミュニケーションを取る際に意識して欲しいポイント2点をご紹介いただきました。

次回は、ネーミングのためのコミュニケーション術 ~プロジェクト担当者へ贈る言葉 (後編)~として残りの2点について解説していただきます。