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2022年02月15日ブランディングネーミングを作る前に絶対に押さえておくべきポイント ~中編~

簡単なようで奥が深いネーミング制作。日本だけで使用するネーミングなのか?グローバルに使用するネーミングなのか?その違いだけで作成方法がスタート地点から異なります。意外と見落としがちで、絶対に知っておいた方が良い、グローバルに使用するネーミングを作る際の注意点をお伝えしていきます。

ネーミング制作方法の違い

―――前回は日本向けネーミングのバリュエーションについてご紹介いただきました。

西岡 使用できるキーワードの幅広さ、表現方法の幅広さをご理解いただけたのではないでしょうか?

―――はい。逆に非常に幅広すぎるので、ネーミング制作の方針や絞り込む際のポイントなどをしっかりと議論して定めておく必要があると強く感じました。

西岡 非常に大切な点ですね。ネーミングに限る話では無いですが、自由であるが故に不自由さが生じる可能性は大いにあります。

―――ネーミング制作の具体的な方法、例えば言葉の組み合わせ方などはいかがでしょう?

西岡 今回の「ネーミングを作る前に絶対に押さえておくべきポイント」シリーズでは、まずはそういった具体的な制作に着手する、「その前に」絶対に押さえておくべきポイントに絞ってお伝えしたいと思います。ですので「具体的な制作方法」については、また別のテーマとしてご紹介しますね。

―――わかりました。では早速お願いします。

グローバル向けネーミング制作で最初に考えること?

西岡 まず1つ目は、もちろん「使用する言語」ですね。

―――日本向けネーミングでは、非常に幅広い言葉を使ってネーミングが検討可能でしたね。

西岡 その通りです。一方でグローバル向けのネーミング制作を行う場合、やはりまず英語をベースにして制作スタートすることが多くなると思います。

―――そうでしょうね。現在、さまざまな場面で共通語として使用されている英語を用いた表現がやはり真っ先に思い浮かびます。

西岡 また、その他にもラテン語やフランス語なども用いられる頻度は高いですね。特にラテン語からフランス語などのヨーロッパの言語が派生し、そして英語につながる。といった背景があるように、親和性が高いですから。結構、ラテン語由来の英単語なども多いですよ。

―――英語やフランス語などはラテン語という先祖を共有しているんですね。

西岡 ヨーロッパの国々がどのようにして成り立っていったのか、歴史的な背景が大きいと思います。歴史はやはり、とても興味深いお話がたくさんありますね。ご興味がある方は是非、調べてみてください。

ネーミング時における現地語のあつかい

―――逆にローカライズした現地語を使用することは避けるべきなんでしょうか?

西岡 「使用予定としているエリアや国をどのように考えているのか?どのように販売していきたいのか?」という、販売戦略によって判断すべきですね。例えば「「南米エリアでしか販売をしない」のでローカライズを行うためにスペイン語を主軸にネーミングを考える」などですね。

―――確かに。まさに販売戦略ありきですね。

西岡 一方でこの場合のネーミングには他のエリアでは受け入れられない・理解してもらえないというリスクがあります。その為、基本的には「南米エリアでのみ使用を行う」という縛りが生じます。もし仮に他のエリアにも販売を拡大する場合には、

地域ごとにネーミングを変える

②意味や読み方が正しく伝わらないリスクを織り込んだ上で同じネーミングを使う

など事前に議論を行っておくべきですね。

―――なるほど。「縛り」が生じることも含めて考えるべきなんですね。ネーミングを使用する範囲がある程度広いのであれば、使用する言語は最大公約数の見方でまずは考えた方が無難ではあるようですね。

西岡 現地の言葉などにローカライズしてネーミング制作を行うことが「良い」「悪い」ではなく、どのようにマーケティングを行っていくのかも踏まえて選択肢に含めるかを検討したほうがよいですね。もちろん現地語にローカライズしすぎると、その分だけ広いエリアで使用するには苦労する点がある、ということは理解しなければいけませんね。その意味では先にご紹介した日本向けネーミングですが、究極に日本へローカライズしたネーミングという捉え方もできるかもしれません。

グローバル視点からの日本語の位置付け

―――ありがとうございます。その捉え方からすると、日本語はまさにローカルな言語となりますよね?そうするとグローバルで使用するネーミング制作では扱いにくい言語はどの様な言語でしょう?

西岡 先ほどお伝えした通り、日本語を用いることも選択肢の1つであることは変わりません。「Made in Japan」では無いですが「日本らしさ」を伝えたくて、日本語を使いたい気持ちも理解できます。しかし、先ほどの説明と同様に注意は必要です。

―――他のエリアでは受けいれられない、理解されない、といったリスクでしょうか?

西岡 その通りです。意外に思われるかもしれませんが、日本人が思っている以上に外国の方が分かる日本語は数が少ないんですよね。ほんとにベタな「フジサン」「ニンジャ」「テンプラ」などなど。その為、日本人の感覚で日本語をつかったネーミングを作成しても、全く理解してもらえない可能性は高いです。

―――えー、そうなんですか?日本のアニメや漫画などのカルチャーは世界的に人気が高いので、結構ショックというか、意外というか・・・。

西岡 日本も今でこそ英語が分かる方はとても多いですが、英語が得意な人も苦手な人もひっくるめて考えると、ほとんどの人が知っている英単語って結構少ないと思いませんか?

―――確かにそういわれると・・・

西岡 もちろん「海外でもこのレベルの日本語を理解できる人がターゲットである」、と明確にターゲティングするのであれば話は別だと思いますが、多くの場合はネーミング制作の段階で現実的にそこまで実施するケースは稀なのではないかと思いますね。

―――そうですね。逆にグローバル向けのネーミングではどのような形で日本語を活用されるケースはありますか?その場合はどの様な方法で使われるんですか?

西岡 日本語をベースにしたネーミングを提案することはありますよ。では架空の題材として「海に囲まれている島国の日本企業だからこそ開発ができた、未来のスマート漁業や海洋研究で使用される『魚型無人ロボット』」についてネーミングを提案するとします。

―――ネコ型ロボットならぬ魚型ロボットですか。オンラインセミナーの「作ってみるシリーズ」の簡易版みたいな感じですね。

西岡 そうですね。そして製品の特長と込めたい思いは「ロボットであることを悟られずに魚と一緒に行動することで、今までブラックボックスだった魚の生態系を解き明かし、多様な生物との共存と環境問題を解決に導く」とします。

―――なるほど、確かに今後の大きな課題の一つですよね。

西岡 ネーミングの方向性の1つとして、「やっぱり日本企業が開発したので、日本語のキーワードをネーミングに使いたい。そして「友」というキーワードを使用したい!!」と議論されたとします。

―――かなり具体的なシチュエーションですね。

西岡 私が日本語を含むネーミングを提案するならば―――「tomo」は日本語で「友」といい「Friend」と同じ意味の日本語です。また「共」ともいい「together」と同じ意味の日本語でもあります。その為「魚の「友」のように親しみやすく寄り添って泳ぎ、「共に」共存していける社会を目指していきたい」という願いを込めて、「tomocean」というネーミングを提案します―――といったように、必ずストーリーを持たせて使用することが多いでしょうか。

―――なるほど。日本語の読み方と意味を背景に使うわけですね。ずばり日本語そのものを使うケースは無いのでしょうか?

西岡 日本向けに日本語で制作したネーミングをそのまま海外でも使用するケースなど、もちろんありますよ。いずれにせよ、ネーミング単体では発音できない理解されないのでネーミングが持つストーリーと共に使用することは基本的に必須ですね。逆に「海外では意味が理解されない」という前提で「音のひびきだけ」であえて日本語のネーミングを使う、という選択肢もありえます。ただし、相応の覚悟は必要でしょうね。

―――ありがとうございます。大変参考になります。使用する英語などのメジャーな言語や、日本語などローカルな言語のネーミングにおける位置づけが良くわかりました。次回も引き続きグローバルで使用するネーミング制作において、押さえておくべきポイントを解説いただきます。

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