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2022年02月28日ブランディングネーミングを作る前に絶対に押さえておくべきポイント ~後編~

グローバルに使うネーミングを作ったことはありますか?実は、その時に絶対に押さえておくべきポイントがあることをご存じでしたか?なんとなくネーミングを作っていたら、とんでもない不評なネーミングになるかもしれません。そうならない為に、今回は絶対に押さえておくべき具体的なポイントをご紹介してきます。

グローバルなネーミング制作時に絶対に押さえておくべき3つのポイント

―――ネーミング制作時における英語などよく使用される言語と、日本語など現地語の使用について、よく理解できました。

西岡 一方で、グローバルで使用するネーミング制作時には、日本人の感覚だけでは想像できない、しかし非常に重要で絶対に注意すべきポイントが3つあります。それは「発音と空耳」「スラング」「宗教」です。もちろん、細かく言い出すと他にもたくさんありますが、まず絶対に覚えておいていただきたいポイントに絞って解説していきます。

―――大きくポイントを絞っていただけるのは大変助かります。

西岡 先にお伝えしておきますと、これらの注意すべき点について私は基本的にネーミング対象国の現地パートナーとディスカッションなどを交えながらクリアしていきます。

―――そうなんですか?つまり自力での解決は出来ないと?

西岡 とてもハードルが高いのは事実ですね。これらのポイントは、海外の日常的な慣習・文化・歴史などの背景も影響しています。その為、どうしても日本人の感覚ではイメージや理解が届かない部分が出てきます。

―――なるほど、そうなんですね。

西岡 ですので「なるほど、こんな事も気を付ける必要があるんだな。意識しないといけないんだな。どうすればいいんだろう?」と思いながらご覧いただければと思います。

発音と空耳?

―――まずは「発音と空耳」について解説をお願いします。「発音」とは「発音のしやすさ」の事でしょうか?

西岡 もちろん「発音のしやすさ」もネーミングを考える上で重要な要素の1つですが、今回の注意すべきポイントとは少し異なります。具体的にお伝えすると「誤った発音」や「意図していない発音」ですね。

―――イメージできるようなできないような・・・。

西岡 まず発音について。例えば「Michael」。こちらの読み方は「マイケル」でしょうか?「ミッシェル」でしょうか?

―――「マイケル」でしょうか?

西岡 もちろん「マイケル」と読めますし「ミッシェル」とも読めます。そして「ミカエル」や「ミハイル」とも読むことが出来ます。

―――そんなに色々な読み方が出来るんですか?知りませんでした。

西岡 つまり「同じ綴りであっても対象国によって発音が変わる、読み方にバラつきが発生する可能性がある。そして、自分たちが読んでほしかった発音で読まれない可能性が生じる。」ということがご理解いただけるのではと思います。

―――同じ綴りでも違う読み方が生じる可能性はわかりましたが、それが何か問題でもあるんでしょうか?

西岡 「マイケル」や「ミッシェル」など人の名前や地名などであれば特に気にしないかもしれません。一方で自分たちの製品やサービスに対するネーミングについて考えた場合、一つのネーミングについていくつも読み方が生じるということは、「ユーザーごとで認知のズレが生じる事であり、ブランドイメージのズレにつながる。」可能性があると私は考えています。

―――なるほど、確かに。ただでさえ意図した通りのイメージで認知させるだけでも大変なのに、初めからイメージがブレて認知されてしまう可能性を孕んでしまう、ということですね。

西岡 その通りです。ですのでネーミング案の読み方について「読み方にブレが生じる可能性が無いか?」チェックすべきですね。

―――ありがとうございます。では、次の空耳とはどのようなことでしょうか?

西岡 こちらは「厳密には違う発音だけど、どうしても特定のスペルやフレーズに聞こえちゃう・・・」ということですね。つまり「音」から誤認されるパターンです。まさに「空耳」のようなことですね。や

―――海外版の「空耳アワー」のようなことなんですね。


西岡 その通りです。例えば海外でエスプレッソを飲んで「苦っ!!」と言ったりすると、「Nigga」と聞こえる可能性があり注意が必要です。

―――なるほど。思いもよらない部分ですが確かに注意が必要ですね。

西岡 ネーミングの事例で例えると、仮に日本語の「明日」と「繋ぐ」の単語で「明日をつなぐ」という意味で「ASTUNA(アスツナ)」とネーミングを作成したとします。

―――「ASTUNA」。分かりやすいストーリーも伴っていますし、言いやすいと思うので問題ないように思えますが?

西岡 ところが「ASTUNA」は「ASS TUNA」、つまり「アス ツナ」という音から「マグロ(TUNA)のお尻(ASS)」と解釈されてしまう可能性があります。

―――確かに、全く意図していなかった意味にとらえられてしまいますね・・・

西岡 その他にも「Future」などを使い「Fu」から始まるネーミングも、特にアメリカでは「F**k」と捉えられる可能性が非常に高くなります。

―――なるほど、確かに日本人の感覚ではイメージしきれない部分ですね・・・

西岡 その他でも例えば清涼飲料の「カルピス」は「Cow Piss(牛のおしっこ)」にどうしても聞こえてしまうので「Calpico」と名称をかえていますし、「KINKI UNIVERSITY」は「Kinki」が「Kinky(変態)」の発音に近いため、「KINDAI UNIVERSITY」に名称を変更したりしてます。

―――たしかに悪いイメージや変なイメージにつながるフレーズを連想してしまうネーミングは避けた方が良さそうですね。

スラング

―――スラングについてはイメージがしやすいですね。暴力的であったり卑猥であったり、公然の場で一般的に躊躇するような言葉や略語、隠語ですよね?

西岡 その通りですね。もちろん皆さんもネーミング制作する際に、直接的でスラングとわかりそうなキーワードなどは避けて制作されると思います。

―――そうですね。

西岡 ところが、「えっ?実はそれスラングになるの?」「この単語の組み合わせだと、スラングになるの?」といった事も発生する可能性があります。

―――隠れたスラング、というかうっかりスラングになっていた、みたいなことが発生するんですね・・・

西岡 さらに、スラングはある種、流行り言葉の側面も持ち合わせています。なので、時代の変化によってスラングも変化していきます。

―――やっぱり常に情報としてはフレッシュにアップデートしておく必要があるということですね。

西岡 その通りです。スラングチェックを現地パートナーにお願いされる場合も、年齢によって反応が異なる可能性があるので注意が必要です。そもそも、このようなチェックをネイティブにお願いする際、誰でもいいわけではありません。

―――どういうことでしょうか?

西岡 私もよく「ネーミング案は現地の人に確認しました」といった対応をお聞きしますが「現地のどのような人」の選択は非常に重要です。要するに「趣旨を理解しない人」に聞くのは意味が無く、むしろ逆効果の場合すらあります。なので現地のスタッフに確認する場合、人選とあわせて「なぜ、このような協力を依頼するのか?」丁寧なコミュニケーションは必要ですね。

―――ありがとうございます。海外向けネーミング制作の際に絶対に注意しておくべきポイント「スペルと空耳?」「スラング」について解説いただきました。意外と知らなかったことも多かったのではないでしょうか?次回は注意すべき3つ目のポイント「宗教」、そしてこれらを具体的にどのように注意すればよいのか解説していただきます。

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