2022年03月31日ブランディングネーミングとブランドとブランディング。その違いを明確に説明できますか?
マーケティングの担当者でなくとも、誰でも一度は耳にしたことがある「ネーミング」と「ブランド」。なんとなくわかっている気がするけれど・・・正確に違いを説明できますか?
案外、立ち止まってしまう人も多いのではないでしょうか?
本記事では、そんな分かるようで分からない「ネーミング」と「ブランド」の違いを明確にしてスッキリと整理しなおすことで、これからの「ブランディング」にぜひ活用してください。
目次
ネーミングとは
そもそも「ネーミング」とはなんでしょうか?広辞苑では、
ネーミング:名前をつけること。特に、商品や会社に名前をつけること。
本記事をご覧の方々にはまさに「商品に名前をつけること」が該当するのではないでしょうか?その為、ただ単純に「新しい名称」を考えるのではなく、「言いやすさ」「覚えやすさ」「親しみやすさ」「コミュニケーションの取りやすさ」などの満たすべき要項を考慮した上で、「ネガティブな意味が含まれていないか?」「他者の商標権を侵害していないか?」などのリスクを排除しながら「名前をつける」必要があります。
ブランドとは
では「ブランド」とはなんでしょうか?広辞苑では、 ブランド:(焼き印の意)商標。銘柄。特に、名の通った銘柄。 Weblio辞書では、 ブランド:製品やサービスまたはそれを提供する企業を区別するための名称や記号、デザイン、メッセージなど。またはその組み合わせのこと。また現代マーケティングの父、フィリップコトラーによるとブランドとは、
「個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ。」
と定義されています。
要するに自他を「識別=見分けることが出来る状態」、そして「区別=違いを認識して分けることが出来る状態」に導くための言葉やデザインやシンボルなどの何かしらのデバイス、つまり「情報」と言えます。
さらに企業活動として「ブランド」を捉えた場合、ただただユーザーに「識別」して「区別」してもらえれば良い訳ではありません。
ユーザーに「識別」し「区別」される際に、「自社が伝えたいイメージ」や「他社よりも優れていること」など、つまり自社にとって「ポジティブなイメージ」を持った上でユーザーに判断されることで自社の製品やサービスを選んでもらう、ユーザーの行動につなげる必要があります。その為、企業活動におけるブランドとは「イメージ」を伴って存在すると言えます。
ネーミング・ブランド・ブランディング
さてここまでのお話を整理すると、
ネーミング・・・新製品やサービスに命名する「行為」
ブランド ・・・自他を識別・区別するためのイメージを伴った「情報」
このように比較すると「ネーミング」と「ブランド」、この両者が似て非なるものであることが良くわかります。ではなぜ私たちは「ネーミング」と「ブランド」を混同してしまうのでしょうか?その鍵を握っているのが「ブランディング」です。
ブランディングとは
企業活動にとって求められる「ブランド」とは、先ほど述べたように「識別」と「区別」の機能だけでなく自分たちにとって「ポジティブなイメージ」を持った上で「識別」と「区別」してもらう必要があります。
ではこの「ポジティブなイメージ」。
ユーザーは勝手に感じてくれるのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。そこを埋めるプロセスが「ブランディング」と言えます。
なお広辞苑では、
ブランディング:企業などが自社製品や企業そのものの価値やイメージを高めるようとすること。
と記載されています。
人間関係もブランディング?
分かりやすく身近な人間関係に例えてみましょう。
あなたは初対面の相手に対して「良い人」なのか「悪い人」なのかをすぐに結論付けますか?
第一印象で「良い人そう」「悪い人そう」と一定の印象を受けることはあるかもしれません。しかし「本当はどんな人なのか?」「第一印象で感じたとおりなのか?」はたまた「ギャップがある人だったのか?」など判断をするには、挨拶だけではなく一定のコミュニケーションが必要ですよね?そして良好な関係を作り維持するために、コミュニケーションは継続して取り続けますよね?
逆に自己紹介だけで完結し、それ以降のコミュニケーションが無い、もしくは、たまにしかコミュニケーションが無ければ相手に対する関心や興味も薄れますし名前も忘れてしまいますよね? それは当たり前のことでしょう。
そしてもちろん、挨拶や自己紹介もない初対面の人については、そもそも「名前」も「興味」もわきませんよね。
人間関係においては少なくとも、
- ・挨拶や自己紹介
- ・名前を覚えてもらう
- ・どんな人なのかを知ってもらう
- ・好印象を持ってもらう
のプロセスが必要となります。このプロセスこそが「コミュニケーション」であり「ブランディング」です。
人間関係と対比してみる
具体的に比較してみると、- ・ネーミング=人が生まれた時の命名行為
- ・新しい製品・サービスの名称=名前
- ・ブランディング=自己紹介や名前を覚えてもらったり、お互いをより知るための継続的なコミュニケーション
- ・ブランド=コミュニケーションの結果、相手があなたに感じるイメージ
と言えます。
ネーミングという「行為」によってつくられた「名称」を「自己紹介から始まるコミュニケーション」という「ブランディングの活動」により、- ・名称を憶えてもらって
- ・どんな製品・サービスなのかを知ってもらって
- ・さらに良いイメージを持ってもらえるようアクションをする
ことで「ユーザが良いイメージを持ち「識別」「区別」が出来るように成った」状態の「ユーザにおける認識(情報)」が「ブランド」であると言えます。
ブランドは一日にして成らず
「ネーミング」により生まれた名称を「ユーザとのコミュニケーション」により認知やイメージが作られていった結果、「ブランド」に成ります。そしてブランドに成る為のコミュニケーションや行動が「ブランディング」です。
つまり「ネーミングをきっかけにブランディングによって形成された情報がブランド」ということができるでしょう。
ここまでの説明でご理解いただいた通り、ネーミングをすれば「すぐに」「自動的に」にブランドに成る訳ではありません。ブランドを育てる為にはその為の「時間」と「努力」が不可欠です。
「ブランドは一日にしてならず」
すぐに結果が出なくても、あきらめないでブランディングを実践していってくださいね。
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