2022年05月13日ブランディングブランドが有名になったその先をイメージ出来ていますか?
「せっかくなら誰もが知っているブランドに育て上げていきたい‼」
自社のブランディングに関わる方なら誰しもが思っていることでしょう。皆さんの努力の結果、誰もが知っているブランドに育ったその先の未来も想像してみませんか?
目次
はじめに
時間とコストをかけて大切に育て上げたブランドが、良いイメージを伴ってしっかりと定着することは大変嬉しいことですよね。ブランディングの目標の1つを達成できたと言っても良いかもしれません。ブランディングに携わる担当者としても「ホッと一息」できるのではないでしょうか?
でも実は「誰もが知っているブランドだからこそ気を付けるべき事」があるのをご存じですか?
今回はそんな、「ブランドが有名になったその先」で気を付けていただきたいポイントをご紹介します。
Wi-Fiってなぁに?
皆さんは「Wi-Fi」ってご存知でしょうか?
IoT(Internet of Things)やDX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれる現代において「Wi-Fi」をご存じない、聞いたことが無い方は非常に少ないのではないでしょうか?言わずもがな、無線でインターネットに接続してくれるアレ、ですよね。
では「Wi-Fiはブランド名である」ことをご存知でしたか?
「えっ!そうだったの?」「通信規格の名前じゃ無いの?」と思われる方も多いのではないでしょうか?実はアメリカの業界団体「Wi-Fi Alliance」が、無線LANの消費者への認知とその接続の信頼性を保証するために名付けたブランド名、それが「Wi-Fi」です。
意外ではないですか?これだけ何気なく、誰もが毎日といって良いほど利用している「Wi-Fi」ですが、利用するたびに「ブランド名だ」と意識して利用している方はいらっしゃらないのではないでしょうか?よく見てみるとWi-Fiロゴには🄬マークが付されています。
誰もが知っていて生活インフラの1つにまで昇華されたからこそ「ブランド」と意識する人が逆に少ないのかもしれません。
普段よく見かけるQRコード
このような事例は他にもあります。QRコードも便利で普段よく利用する方も多いのではないでしょうか?連絡先の交換やキャッシュレス、Web会議などでの名刺交換など、利用する機会は多種多様ですね。このQRコードも「デンソーウェーブ社」のブランド名です。
こちらも「ブランド名」であることをご存じない方も多いのではないでしょうか?
一方で昔から馴染みのあるバーコード、所謂JANコードはバーコード規格の1種です。
サランラップ派?クレラップ派?ポリラップ派?
名称も知っていて、なんとなくブランド名であることは知ってはいるけれど、ごちゃまぜになっている場合もあります。
冷蔵庫に食品を保存する際に使うラップ。どのラップをお使いでしょうか?サランラップ?クレラップ?ポリラップ?それともアイラップ?
全部ひとまとめにして「サランラップが無くなったから買ってきて」みたいに言ってませんか?
ブランドが育つことの有名税?
一般的にこのような事例、有名になり広く認知されることで、ある種その分野における「代名詞」的な存在へと成長することで「競合他社の製品も含めた一般的な名称」として認識された状況を「ブランドの普通名詞化」と呼びます。このように本来はどこかの企業の「ブランド名」であったものが普通名詞として浸透し使用されているケースは他にも実はたくさん存在しています。
エスカレーター、ホッチキス、バンドエイド、タバスコ、シヤチハタ、ウォークマン、などなど。
そしてブランディング論などでは、普通名詞化したブランドは、もはや単一の出所を示す機能を失い商標権があったとしてもその効力はないに等しくなるという「よろしくない事例」ということになっています。
しかしブランドの普通名詞化はすべてブランド展開の「よろしくない事例」なのでしょうか?
Wi-Fiはブランド展開の失敗なのか?
Wi-Fiの事例を「ブランドの普通名詞化」の定義に当てはめるならばまさに典型的な事例と言えると思います。
ではWi-Fiはブランド展開として失敗していると思いますか?私は失敗しているとは思いません。なぜなら「Wi-Fi」というブランド名に課せられた「目的」が明確だからです。
Wi-Fiとは無線LANを普及させるため、そして信頼性を保証することを目的としたブランド名です。つまり無線LANという概念がそもそも一般的ではなかった当時から無線LANそのもの普及させると共に「無線LAN=Wi-Fi」という認識を目指していた、と考えることが出来ます。そう考えると、現在の「Wi-Fi=無線LAN」となっている構図は、まさに目的を達成した状態だと言えます。
有名になったブランドのその先へ
では一般的に指摘される「ブランドの普通名詞化」の問題とWi-Fiの事例の違いはなんなのでしょうか?それは「ブランドの最終的な目的どこに置くかの違い」だと考えられます。確かに「他社との差別化」を究極のゴールに設定しているとするなら「普通名詞化した」Wi-Fiは成功とはいえないかもしれません。しかし「無線LAN=Wi-Fi」というデファクトの状態を目的としいたとするならばその目的は十分達成されていると思われます。つまりブランド戦略として「成功」だと考えられます。
今後も既成の概念にとらわれない全く新しい概念の製品やサービスがますます登場してくることでしょう。そんな、ゼロから概念を定着させていくチャンスに巡り合えたのならば、どのようなブランドとして取り扱われたいのか?遠い未来も想像しながらブランドの目的を定めることも必要なのかもしれません。
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