2022年06月15日ブランディングブランドの使い方別に見るメリット・デメリット
「コーポレートブランド1本で展開している海外ブランドを真似したい‼」「プロダクトブランドの数が多くてまとまらない」「個別の製品ブランドを束ねる為のファミリーブランドを作りたい‼」
そのように考えていらっしゃるご担当者様も多いのではないでしょうか?ブランド戦略と一口に言っても、「BMW」のようにコーポレートブランドに集約されていたり、プロダクトブランドがたくさんあったり、ファミリーブランドで製品ラインナップを束ねていたり、とブランドの使い方は様々です。今回はブランドの使い方別から見た、メリット・デメリットを解説していきます。
目次
・ブランドの使い方別から見たカテゴリ
・「コーポレートブランド」+アイテム名
・「コーポレートブランド」+「プロダクトブランド」
・「コーポレートブランド」+「ファミリーブランド」+プロダクトブランド/アイテム名
・ブランド戦略を定めて差別化を進めよう
ブランド戦略の種類
「ブランド」と一口にいっても、使われるシチュエーションは様々です。そこで今回は実際にブランドを使用される「使い方」から次のパターンに分類してみました。
①「コーポレートブランド」+アイテム名
②「コーポレートブランド」+「プロダクトブランド」
③「コーポレートブランド」+「ファミリーブランド」+「プロダクトブランド」/アイテム名
「コーポレートブランド」とは「企業名のブランド化」もしくは「ブランド化されたプロダクトブランドの商号化」です。
「企業名のブランド化」とはマイクロソフト、コカ・コーラなどのように、社名そのものがブランドとして育つことです。「ブランド化されたプロダクトブランドの商号化」とは松下電器産業がパナソニック、富士重工業がスバルと商号変更を行ったように、ブランド化されたプロダクトブランドに社名を統一しコーポレートブランドに変更することです。
これらの違いが生じる理由ですが、会社の設立時に「提供するサービスや製品が限定的か否か」に寄る部分が大きいと思われます。会社の設立時には必ず何らかの商号が必要となります。その際に事前に提供する製品やサービスが特定されている場合は、例えば、コカ・コーラのように「企業名=製品・サービス名」となる傾向が高いと考えられます。
一方で、設立時に提供する製品やサービスが幅広い場合は特定の製品などに関連しない、例えば松下電器産業や日立製作所、アシックスのように創業者名、地名、企業理念などから企業名をつける傾向が高いと考えられます。
「コーポレートブランド」+アイテム名
全面的にコーポレートブランドを活用したブランド戦略となります。製品ブランドや製品ラインナップでは無く、企業名を冠して製品やサービス展開を行っていきます。メリットとして、何か一つの製品やサービスを通じてひとたびユーザーにブランドとして認知また共感を得ることが出来れば、他の製品やサービスを含めた企業の提供している価値全般に対するブランド価値向上につながるということです。その為、ブランディングに関するコストが効率化されるだけでは無く、そのブランドの中で競合優位な製品を保有している場合、他の製品にも同一のブランドと統一することで、競合優位なイメージを他の製品にも与えることが出来ます。
一方で何かのきっかけでブランド化が失敗したり、改良や撤退などブランドが傷ついた時には、常にブランド全体に甚大な影響を及ぼす点がデメリットと言えます。
「コーポレートブランド」+「プロダクトブランド」
製品ごとに独立したネーミングを作成し展開する戦略となります。メリットとして、このネーミング戦略は基本的に自社が保有しているその他の製品ラインナップやブランドに影響されることなく、自由に製品展開を行うことが可能です。そして、製品ごとに個別でマーケティングやブランディング戦略を実施することができます。その為、もしブランドとして定着できずにブランド変更や撤退となった場合も比較的容易であると共に、別アイテムやカテゴリとの関連性が無いため、製品カテゴリの多様化やブランド拡張が図りやすいというメリットがあります。一方で個々の製品ブランドが異なる為、製品感の相乗効果は図りにくい点、また個々にマーケティングを行う必要がある為コストが増加する点はデメリットと言えます。
「コーポレートブランド」+「ファミリーブランド」+「プロダクトブランド」/アイテム名
こちらは、企業が提供する複数の商品ラインやサービスごとにファミリーとして纏め、ファミリー毎で統一したブランド展開を行う戦略です。ブランド数が「プロダクトブランド」毎と比較し限定できる為、マーケティングにおけるコストが効率化することができるだけではなく、製造費やパッケージなど広範囲にわたりコスト削減につながるケースもあります。
国別や価格帯別など相違が生じる市場でブランド統一のリスクが高い場合に特に効果的です。一方で、ファミリーブランドを冠した製品が失敗した場合やコーポレートブランドに何か予期せぬイメージ低下があった場合、悪影響がファミリーブランド全体に波及するリスクがあります。
ブランド戦略を定めて差別化を進めよう
このように、ブランドが使用されるシチュエーションごとにブランディング戦略のパターンにわけてみると、昨今日本企業で「ファミリーブランド」を求める企業も多くなってきました。
企業としては多様化に対応するために製品やサービスも細分化され多岐にわたります。またマーケットも、地理的な国内・グローバルの展開だけでなくリアルとデジタル両方への対応が必須となってきています。
このような環境では「プロダクトブランド」を中心とした展開は、製品やサービスの数に対してブランディングが余りにも細分化されすぎるきらいがあります。一方で「コーポレートブランド」だけでは、多様化する顧客のニーズに対してピンポイントでブランドコミュニケーションをとるのがより難しくなってきています。
このような状況への対応として「ファミリーブランド」を活用するという選択肢の意味がでてくるわけです。より多様化・細分化される市場に対して効果的にブランドを構築していく為に、「ファミリーブランド」を活用する企業が増えていくかもしれませんね。
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