2022年07月15日ブランディングSDGsブランディングに取り組むメリットとは?
ここ数年で多くの日本企業がSDGsへの取り組みをアピールしています。メーカー企業だけではなく、一見「エコ」や「環境問題」とは無縁に見えるような企業もSDGsへの取り組みをアピールしています。
ではなぜ、これだけ多くの企業がSDGsへの取り組みをアピールしているのでしょうか?企業がSDGsブランディングに取り組むべきメリットについて解説していきます。
目次
・SDGsを意識する企業は増えている?
・SDGsブランディングのメリット
・企業価値・イメージの向上
・企業の生存戦略
・ステークホルダーとの信頼の向上
・新たなビジネスチャンスの創出
・デメリットは無いのか?
・SDGsブランディングを進める為に
SDGsを意識する企業は増えている?
そもそもSDGsを意識していたり積極的に取り組んでいる企業は増えているのでしょうか?帝国データバンクの「SDGsに関する企業の意識調査」によると、「SDGsに積極的な企業」は2020年の24.4%から2021年には39.7%へと15.3ポイント増加、一方でSDGsに取り組んでいない企業は50.5%との結果が出ています。
また損害保険ジャパンが2021年に全国在住の15歳以上の男女を対象に実施したインターネットアンケート調査によると、「SDGsという言葉をよく知っている・まあまあ知っている」と回答した人は76.4%。2017年に実施した際は25.9%だった為、50.5ポイントと大幅に認知が上がっている結果となっています。また認知のきっかけとして、TVやSNSなどのメディアで取り上げられる機会の増加したことや、政府や自治体だけではなく企業からSDGsに関する情報発信がなされていることが背景に上げられます。
SDGsに積極的に取り組んでいる企業が約4割という結果に対して、「多くの企業が取り組んでいる」と捉えるのか、「まだまだ取り組んでいる企業が少ない」と捉えるかは人によって思うところがあるかもしれませんが、少なくとも、
・社会全体としてSDGsの認知は年々増加している。
・政府や自治体だけではなく企業にも求められるケースが目立ってきている。
・企業のSDGsに関する情報発信が、より多くの人がSDGsを知るきっかけに繋がる。
ということは言えそうです。
SDGsを意識している企業が、現時点約4割と多いか否かは一旦さて置き、「企業が情報発信していく重要性」と「社会の認知」は年々増していくことが想定できます。そして、その手段として「SDGsブランディング」に対する取り組みの重要性も増していくことでしょう。
SDGsブランディングのメリット
では企業がSDGsに取り組むメリットとは何でしょか?SDGsブランディングにおけるメリットとして大きくは、
・企業価値・イメージの向上
・企業の生存戦略
・ステークホルダーとの信頼の向上
・新たなビジネスチャンスの創出
のメリットがあげられます。では、一つ一つ解説していきます。
企業価値・イメージの向上
SDGsは地球規模で取り組まなければならない環境問題・社会問題です。そして、「SDGsに真摯に取り組む企業=地球規模で責任を果たす企業」に他なりません。そしてその取り組みはステークホルダーだけではなく社会全体からの評価、さらに企業の価値・イメージの向上につながっていきます。
企業の生存戦略
1つの製品やサービスを世に提供するためには、当然ながら数多くの企業の力を合わせる必要があります。そしてその為には、企業との間で受注・発注の様々な取引が存在しています。
例えば、SDGsをとても意識して製品を作っているアパレルメーカーA社があったとして、A社が原材料を仕入れているB社が「SDGsを全く意識していない」「環境破壊や雇用問題につながっている」ような場合、本当にA社の製品や取り組みはSDGsに沿っているのでしょうか?
A社はB社から原材料を仕入れることで「SDGsウォッシュ」と見なされるリスクが生じます。そうならないためには、A社が原材料を仕入れる取引先への条件として「SDGsへの取り組み」を求めることが必然となります。
つまり世界的にSDGsに取り組む企業が増えれば増えるほど、B to C企業だけでは無く、B to B企業もSDGsへの取り組みがビジネスにおける取引条件になる未来が見えてきませんか?
まさにSDGsブランディングに取り組む事が「事業を守る」生存戦略に繋がってきます。
ステークホルダーとの信頼の向上
SDGsは地球規模で取り組む課題である以上、経営者、株主、金融機関、取引先、消費者、従業員、地域社会など各方面のステークホルダーにも当然関わってきます。そしてSDGsの重要性が増すほどステークホルダーからの強い関心と興味に繋がります。各方面のステークホルダーから自社の取り組みを正しく理解してもらうことが、ステークホルダーとの信頼関係の獲得、企業価値の向上や更なる成長に繋がっていきます。自社のSDGsに対する取り組みを正しくステークホルダーに理解してもらう為にも、自分たちからの積極的な情報の発信やSDGsブランディングは重要となっていきます。
新たなビジネスチャンスの創出
世界経済フォーラムの諮問機関である「ビジネスと持続可能な開発委員会」は2017年のダボス会議の「より良きビジネス、より良き世界」というレポートにおいて7、SDGsの4分野において2030年までにグローバル目標を達成することで「12兆ドルの新たな経済価値」と「最大3億8000万人の新規雇用の創出」が見込まれると発表しています。そしてその4分野とは「食料と農業」「都市」「エネルギーと材料」「健康と福祉」。これらの分野が新しい市場として関心が高まっており、今後ますます新しいビジネスチャンスにつながる可能性があるのではないでしょうか。。
また企業としてSDGsの課題に目を向け課題解決するための製品やサービスの開発に取り組むことで、新しいフィールドへのチャレンジや、パートナー企業と共同研究開発など、まさに新たなビジネスチャンスの創出につながります。
デメリットは無いのか?
さて、ここまで大きく4つのメリットをご紹介してきました。では、SDGsブランディングに取り組む上でデメリットについて考えてみましょう。デメリットとして、
・従業員の負担増加
・コストの増加
・SDGsウォッシュ
大きく3つが考えられます。「SDGsへの取り組み=本業」となる従業員の方は非常に少ないはずです。その為、従業員の方には「本業」にさらにプラスしてSDGsへの取り組みを行う必要があります。その為、新たに従業員への負担をかけて取り組みの時間を割くことが難しいケースも少なくありません。経営者や管理者の方には従業員の「本業が疎かになってしまうのではないか?」と危惧するかたもいらっしゃるかもしれません。
また取り組みを進める上では、「新規事業へ取り組む費用」「SDGsを配慮した製品への切り替え」「従業員への待遇・研修」などのコストが想定されます。これらのコストをデメリットと捉えるケースもあるでしょう。
そして最大のデメリットが「SDGsウォッシュと見なされるリスク」です。SDGsは17つの目標が定まっていますが、企業がどのように取り組むのかは自由です。また、取り組みについて認証なども必要ありません。その為、なんとなくSDGsに取り組んでいるようにアピールすることは可能ですが、その安易なSDGsブランディングのメッキが剥がれたとき、SDGsウォッシュとして企業としての信頼を失うリスクがあります。
SDGsブランディングを進める為に
数多くのメディアやSNSでも連日取り上げ、世間での認知もどんどん高くなっているSDGs。特にZ世代には関心が高く実践している方も多く存在します。企業として正しく実践している取り組みについて、SDGsブランディングとして正しく理解をしてもらえるように取り組む重要性は今後も増していくことでしょう。
一方で「なんでもかんでもSDGsに結び付けて考える必要はありません」。
まずは、SDGsとして自社が取り組める分野があるのか?もし取り組みが難しいと感じるのであれば、取引先や外部のパートナーなどから「客観的にどのような企業に見えているのか?」率直な評価を確認することも必要かもしれません。
※ブランディングニュースはひとまずこの回で一区切りとさせていただきます。お付き合いいただきありがとうございました。
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