2023.02.28IPラオス:知的財産権保護のため水際措置を拡大
ラオス:知的財産権保護のため水際措置を拡大
【概要】
どの国にも、国境を越える物品を監視するために、通関手続がある。
通関手続は、税関やその他の政府機関によって実施され、貨物を検査し、出入国する物品に対して税金の徴収を行うことによって、国際貿易を促進している。
ラオスは、事業者が商品を輸出、通過、移送、保管するための良好な環境を作ろうとしている国の一つである。
ラオス関税局は、2011年から実施されている商標権や著作権の侵害に対する保護など、徴税業務に加えて知的財産権の保護および不正競争防止のための措置も有している。
ラオスは今年、知的財産権侵害品に対する水際措置を通じて、知的財産権を行使する枠組みをさらに改善した。
2022年2月、政府は新たな税関指令を発表し、ラオス関税局が保護する知的財産権のリストに意匠権を追加した。
これにより、知的財産権者は、税関の水際措置の下で保護された意匠権を侵害する物品に対する措置をラオス税関に要求できるようになった。
【手続】
ラオス税関は、商標権、著作権、または意匠権が侵害されている、または、侵害されるおそれがあることを理由に、ラオスに輸入、ラオスから輸出、または通過するすべての商品の通関停止を要求することを認めることにより、知的財産権者が自身の知的財産権を保護できるようにしている。
このような保護を受けるには、知的財産権者は所有者である旨の宣言の申請(request for a Declaration of Ownership)を税関に提出する必要がある。
承認されると、申請書は地方税関および中央税関に送られ、ラオス国境を越える物品を検査する職員の参考として使用される。
所有者である旨の宣言には、知的所有権の対象となる物品の検査および監督のための所定の書面を添付すべきである。
当局が申請に対して措置を講じる前に、他の様々な情報や証拠書類も必要である。
申請書は財務省関税局に提出する。
申請書が受理された後、10営業日以内に認否について申請者に通知する。
申請書が承認されると、リスク管理のために、そして、職員が水際措置で物品を検査する際の参考として使用されるために、地方税関および中央税関に送られる。
税関による保護は、承認の日から有効である。申請書に基づいて提供される保護は2年間有効であり、申請により延長することができる。
申請者は、関税局による知的財産権の保護を受けられる期間、申請書の情報を修正または追加することができる。
【救済内容】
申請者はまた、知的財産権侵害の疑いがある旨の証拠と、知的財産権侵害がなかった場合の潜在的な損失を補償するための1,000万ラオスキープ(約580米ドル)に対する銀行またはその他の金融機関による現金での保証金または保証書とを、申請書とともに税関に提出することにより、特定の犯罪者に対する知的財産保護措置の実施を求めることができる。
申請書と必要なサポート資料を受領した後、税関職員は検査を行い、知的財産権者の要請に応じて物品を一時的に差し止める。
次に、税関職員は、税関申告書(例えば、商品名、ブランド、原産地、価格、梱包明細、品質、輸送経路など)の情報と知的財産権保護データベース内の情報とを比較する。
侵害が疑われる場合、税関職員は10営業日の間、商品を留置する権利を有する。
申請者が当該事件について紛争解決または法的手続が開始されたことを示したときは、留置期間を延長することができる。
税関職員はまた、法律に従って物品を差止め、侵害者に刑罰を科すことができる。
【結論】
税関職員が禁制品を発見した場合、税関職員は、関税法違反の実行に使用された輸送手段を含む、物品を差止または押収する権限を有する。
また、税関職員は、関係者を拘束し、事件記録を作成し、被疑者を証拠物件とともに起訴のためにラオス人民検察院に引き渡す権限も有する。
この広範な権限により、ラオスで活動する権利者は、知的財産権の侵害に対抗するために税関と協力することで大きな利益を得ることができる。
[出典:Tilleke & Gibbins]