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2024.03.26IP中国:越境ECにおける有効的な使用証拠例


中国:越境ECにおける有効的な使用証拠例

中国ではEC市場が急激な成長を遂げており、いまや他国を圧倒する巨大市場となっている。近年、日本企業の中国EC市場への進出が進む中、中国が仕向け地に含まれる場合の越境ECの商標権保護や使用証拠について関心が高まっている。
本記事では中国での越境ECでの商標保護の必要性や有効な証拠例について取り上げる。

・中国国内での商標保護
越境ECにおいて中国が仕向け地に含まれる場合、中国での商標保護は必須である。
中国国内で登録されていない商標を保護するためには、当該国との間で明確な条約が締結されている、または相互主義の原則によって権利の享有を認めている必要がある。
さらに中国で登録された商標であっても、通常、当局は率先して商標保護措置を講じることはなく、商標権者が自ら請求手続きを行うことを求め、それを受け当局は申立に基づいて商標保護を講じる。

・越境ECにおける有効な使用証拠
現在の中国での実務を鑑みると、商品役務の価格が中国元で表示され、中国への発送が可能であることを示すウェブサイトは、使用を示す証拠として使用はできるものの、その効果は極めて限定的である。
こうしたウェブサイトは、中国における商標の使用意思がある、またはあったことを示すことができるのみであり、中国で実際の取引があったことや、中国人と実際の取引があったことを証明することはできない。
ECサイトのみで使用を証明できるケースは非常に少ないため、他の使用証拠をあわせて提出することが望ましいが、明確な規定もないのが現状である。

ただし、これまでの経験上、EC取引が実際に行われていたことを示すことができれば、それは有効な使用証拠となるはずである。
例えば、EC取引の買い手が中国人、売り手が外国人の場合、実際の取引があれば、ウェブサイトの宣伝、中国からの注文、中国からの支払い、中国に送った商品の納品書、中国の買い手の領収書等があれば、使用を証明できる可能性が高い。
他にも下記のような条件を満たすものが望ましく、これらの証拠を複合的にすべて提供できる場合は最良のシナリオである。
一部しか提供できない場合は、有効性が低下する可能性がある。

1.ウェブサイト上の該当商品役務のプロモーションページのうち、価格が人民元建てであり、配送先が中国国内の都市であること。
2.中国からの注文書類のうち、注文者の実際の住所が中国にあり、IPアドレスが中国にあり、配送先が中国に指定されていることが確認できるもの。
3.中国からの支払書類のうち、支払銀行が中国現地の銀行であること、支払場所が中国国内のどこかであること、支払人が発注者または中国国内の他の企業/個人であることを示すことができるもの。
4.中国に送られた商品の納品書、例えば運送業者の送り状等のうち、商品が中国のバイヤーの注文と一致していること、納品場所が中国の都市であることを示すもの、送料が国際EC運賃を示すもの。
5.中国の買い手による商品の受領を証明するもの。
例えば、商品の受領を確認する買い手のメッセージ、商品の受領を確認する運送業者によって提供された署名/文書、買い手による受領した商品のオンラインコメントなど。


[出典:AN,TIAN,ZHANG & PARTNERS]


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