2011.06.14IP台湾:商標法改正へ
台湾:商標法改正へ
2011年05月09日、台湾では改正法草案が立法院経済委員会で可決され、今後の本会議で可決後、施行される予定である。
今回の改正法の概要は下記の通りである。
- 商標の保護対象拡大:「動く商標(motion marks)」、「ホログラム(hologram marks)」、「匂い商標(smell mark)」等
- 商標使用行為の態様の明確化:デジタル映像音声、電子媒体、インターネットその他の媒体を通じ商品・役務の所持、陳列、販売、提供、輸出入が可能な場合、当該方法により、販売目的で商標を付した商品・役務を所持、陳列、販売、提供、輸出することを、商標使用行為に該当すると規定。
- 登録料分納制度の廃止
- 商標併存同意制度への制限条件の導入:現行法では、同一商品・役務における同一商標でなければ、併存同意書を提出した場合、審査官は裁量の余地なく登録を認めなければならない。
しかし、併存登録が取引秩序、消費者の権益等に影響を与える事情も存在するため、改正草案では、同意書制度の制限条件として「併存登録の妥当性」を取入れ、その判断を主務官庁に委ねる。 - 登録費用納付期限後の権利回復措置の追加:現行法では、登録査定後一定期間内に登録料の納付がない場合、登録査定は効力を失う。
改正法では、故意のない出願人に対し同期間満了後の一定期間内に所定の登録料を追納すれば、権利回復の機会を与える。 - 無効審判又は取消審判の請求に係る使用証拠の提出規定の追加:「同一又は類似の先行商標」又は先行「登録商標の変更又は付記により、同一・類似の商品・役務において、他人の登録商標と同一・類似を構成すること」を理由に、無効審判又は取消審判を請求する場合、引用商標が登録日から3年を経過している場合は、引用商標の使用事実、又は不使用について正当な事由の証明が義務づけられる。
- 商標侵害に関する規定の修正
- (1) 現行法で、著名商標の文字部分を会社名称その他営業主体を表す標識とすることにより、著名商標の識別力を希釈化した場合、又は消費者に誤認混同を生じさせた場合「商標権のみなし侵害」とされる。
改正草案では、この要件を「希釈化する虞がある」又は「誤認混同を生じさせる虞がある」のように改めた。 - (2) 法適用の疑義を避けるため、損害賠償の要件として「侵害者に故意・過失がある」ことを明確に定める。
また、現行法では損害賠償額の計算方法の一つに「押収した侵害品の小売単価の500倍から1500倍までの金額」という方法が定められているが、改正草案では、最低損害額の「500倍」を削除する。
また、「合理的と思われる使用料に相当する金額」を損害賠償額とすることができる旨の条文も追加された。 - (3) 改正草案に、税関が職権で侵害疑義物品を押収する法的根拠を追加。
また、権利侵害の調査又は訴訟提起のため必要と思われる場合、税関は権利者に侵害疑義物品の情報を提供する、又は担保金の供託を受けた上で疑義品のサンプルを提供できる。
- (1) 現行法で、著名商標の文字部分を会社名称その他営業主体を表す標識とすることにより、著名商標の識別力を希釈化した場合、又は消費者に誤認混同を生じさせた場合「商標権のみなし侵害」とされる。
証明標章及び団体商標に関する規定の修正:証明標章の定義修正、産地証明標章・産地団体標章(地域団体商標)の定義及び出願関連規定を追加。
また、証明標章は商標より高い公益性を持ち、証明標章への侵害が公衆に影響を及ぼす可能性も商標のそれより高いことに鑑み、証明標章権侵害行為に対する刑事罰の規定を追加。
[出典:Lee & Li]
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