2012.03.13IPタイ:商標法改正へ 他
- タイ:商標法改正へ
- 韓国:「ひらがな」に関する韓国消費者の認知度について
- メキシコ:知的財産権法改正
- コロンビア:多区分制度・手続簡易化へ
- チリ:商標法条約加盟に向けた標準化の動き
- ジャマイカ:オフィシャルフィー上昇
- トルクメニスタン:知的財産権法の改正
タイ:商標法改正へ
タイでは2011年11月22日、内閣が改正商標法を採択し、最終案が議会へ提出された。
改正法では商標の定義が拡大され、「音響」・「匂い」・「立体」商標が取り入れられている。
また、識別性についてもより明確な基準を設けられ、識別性がない場合でも、セカンダリーミーニングを獲得している場合は識別性ありと判断される可能性がある。
改正法に関しては、ここ数年タイ国内で論議されていたが、最終的段階に近づいたといえる。
一部の専門家によれば、改正法は早ければ2012年06月頃発効されるとの見込みである。
[出典:Siam Premier International law Office Ltd]
韓国:「ひらがな」に関する韓国消費者の認知度について
韓国で、このほど同国における「ひらがな」の認識に関して興味深い判決が下された。
日本で居酒屋を運営している企業(「先使用者」とする)は、韓国のあるフランチャイズ企業が自社の先使用商標と類似の商標(「登録商標」とする)を使用して料理酒屋を運営していることを発見した。
これに対し日本の先使用者は、登録商標は日本で周知の先使用商標と類似のサービスマークを不正の目的で出願したことを根拠として無効審判を請求し、特許審判院はこれを認容する審決を下した。
登録権利者はこの審決に対して特許法院に審決取消訴訟を提起したものの、特許法院も原審決が正当であると判断した。
先使用商標は「漢字+ひらがな」の組み合わせであり、登録商標は「(別の漢字)+当該ひらがなのアルファベット音訳」であったが、判決のポイントとなったのは、
- 日本では漢字商標の場合、その読み方を表すひらがなを併記するケースが多く、その場合、商標の呼称は併記されたひらがなに基づくのが普通である点
- 韓国で日本式漢字をサービスマークに用いる日本料理店などの場合にも、このような併記が多く、その場合、そのサービスマークを併記されたひらがな等に基づき呼称する点
- 韓国では日本語が第2外国語として広く普及し、高等学校などで相当期間日本語教育を受けた需要者が相当数存在する点
- ひらがなは日本語の一番の基礎であり、日本語を初めて学ぶ人でも数日でその文字と発音に慣れることができるほど学びやすい点
- ひらがながわかる消費者なら先使用商標の意味はわからないとしても、これを称呼することは特に難しくない点
である。
また、登録権利者がおこなったアンケート調査でも韓国の回答者のうち、先使用商標を正確に称呼できた回答者が最も多かった(ただし6.4%で、79.2%は「わからない」と回答)。
従って、登録商標の下段のアルファベット文字(ひらがなと同音)により、当該部が同音に称呼されるため、両サービスマークは類似する。
上記の判決は、商標の構成のうちひらがな部分がひらがなの記載通りに呼称され得るという前提の下に商標の類否を判断した点で注目に値する。
なお、本件は現在登録権利者が上告し大法院に係属中である。
[出典:Kim & Chang]
メキシコ:知的財産権法改正
メキシコでは2012年01月30日に改正法が発行され、下記の点が変更された。
- 紛争における知的財産庁(IMPI)の通知の公布
紛争に関し、同庁が発する通知で提出された連絡先に届かなかったもの、応答がなかったものについて、同庁は公報に当該通知のリストを掲載する。 - IMPI検査官の立ち入り検査
従来、IMPIの検査官は検査規則に定められる事項に関してのみ、立ち入り検査を行えた。
改正法では、検査官は案件に係る立ち入り検査において起こったすべての状況を記載することができ、写真、ビデオその他の証拠を集め、レポートに含めることができる。
更に、検査官の立ち入りを拒否する場合、以下2種の罰則が科される。
*推定の侵害だったものが、事実とみなされ、
*立ち入りの拒否は知的財産権に対する侵害とみなされる。 - 侵害の事由
上記以外にも、情報・書類提出等の要請に従わなかった場合も侵害と見なされる。
ただし、侵害と判断された場合、これらの行為についてもともとの審理に含めて検討されるのか、新たな審理が開催されるかは不明である。 - 故意侵害(willful infringement)に関する罰金
故意侵害とは、正当な知的財産権の存在を知りながら行う侵害と理解され、改正法ではより高額な罰金が科される。
メキシコ市場においてRが付されて流通している商標、公報に掲載又は、全国紙において広く消費者にその存在を掲載されている知的財産権、さらには受領確認付きで個人が通知している知的財産権に対する侵害は故意侵害と見なされる。
このような場合、罰金は通常の侵害の2倍となる。
[出典:Olivares & Cia]
コロンビア:多区分制度・手続簡易化へ
2012年01月19日、コロンビアは法令2012-019を発し、特許庁における手続を簡易化した。
具体的に、以下の書類に関して、領事認証等が不要となる。
- 委任状
- 法人証明書
- 優先権書類
- 証拠書類
また、法令では多区分制度を採用している。
現在、コロンビア特許庁はこれらの改正を反映した施行規則を検討中である。
[出典:Humberto Rubio & Cia]
チリ:商標法条約加盟に向けた標準化の動き
チリでは2012年02月06日、法律第20569号が発効となり、知的財産権法が改正された。
これにより以下の点が改正された。
- 委任状の認証不要(ただし、紛争や水際対策等の場合を除く)
- 商品・役務を1出願で申請可能:
従来、チリにおいて商品商標と役務商標を1出願で申請することはできなかったが、改正法では可能となる。 - 契約の効力発生に係る条件の緩和
[出典:Silva & Cia]
ジャマイカ:オフィシャルフィー上昇
ジャマイカでは2012年03月01日よりオフィシャルフィーが上昇した。
[出典:Livingston Alexander & Levy]
トルクメニスタン:知的財産権法の改正
トルクメニスタンでは2012年01月19日、知的財産権に係る民法典第4部の改正が行われた。
改正法は、知的財産権について法的ベースを定義し、知的財産権の所有者が主張できる救済手段を明確にするものである。
[出典:SD PETOSEVIC]