2013.12.10IP韓国:韓英二段標記の商標の英文のみの「使用」認定 他
- 韓国:韓英二段標記の商標の英文のみの「使用」認定
- 中国:知財裁判所設立の動き
- 中国:5か年の立法計画発表
- 中国:上海自由貿易試験区、仲裁機関設立へ
- モロッコ:知的財産法改正へ
- ブルガリア・ルーマニア・イラン:オンライン制度導入
- チリ:公告費用減少
- コンゴ:オフィシャルフィー上昇
- パナマ:サイバー犯罪条約加盟へ
- EU:知的財産権侵害のための新データベース導入
韓国:韓英二段標記の商標の英文のみの「使用」認定
韓国において、英文とその韓国語音訳が結合した登録商標について、どちらか一方のみの使用は商標の同一性の使用範囲内の使用ではないとされていたが、この都度、これを覆す判決が出た。
登録商標「CONTINENTAL/CONTINENTAL(韓国語)」は実際には「CONTINENTAL」のみが使用されており、不使用取消審判を請求された。
本件は大法院の判断するところとなり、
- 商品の特性や時代の変化によって登録商標を多少変形して使用するのが取引の現実である、
- 韓国の英語普及水準に照らし、本件商標の韓国語部分は英文字の発音をそのまま表示したものであることは消費者に容易に分かる、
- 韓国語音訳の結合により新たな観念が生じない点に照らし、本件商標が英文字もしくはその韓国語音訳のうちどちらか一方が省略された形態で使用されても、消費者は同一の商標が使用されていると認識し、その信頼が形成されるため、両商標の同一性を否定すれば、却って消費者の信頼を損なわせる結果を招く
とし、本件商標の使用を認めた。
従来の判例では、不使用取消審判において、このような結合商標の場合、どちらも要部であるため、どちらか一方を省略して使用することは商標の同一性を超える使用とみなされていた。今回の大法院判決により、韓国における不使用取消審判の商標の同一性の判断基準が大きく変わったことになり、非常に大きな意味を持つものと言える。
[出典:KIM & CHNAG]
中国:知財裁判所設立の動き
中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で審議・採択された「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する中共中央の決定」の全文が2013年11月15日発表された。
この決定の中に「知的財産権の保護と利用を強化し、技術改革を促進する機構を改善し、知的財産権裁判所の設立を目指す」という一文がある。
関係者によれば、深化改革の全般的な期限は2020年と設定されているが、知的財産権裁判所の設立はそれよりも早まるだろうと予測されている。
[出典:Foley & Lardner LLP]
中国:5か年の立法計画発表
2013年10月30日、第12期全国人民代表大会常務委員会は5か年の立法計画を発表し、これには専利法、商標法や著作法改正等、68件が含まれる。
立法計画は1類から3類まで3つに分かれ、第1類は条件が整い期間内に審議に提出される予定の法案47件で、これに専利法、商標法、著作権法等の改正33件と医薬法、電信法等の新規14件が含まれる。第2類は作業を急ぐ必要があり、条件が整った場合審議に提出する21件で、電子商取引法、不正競争防止法の改正が含まれ、第3類には引き続き論証プロセスが必要なもので、強制執行、ネットワークセキュリティ等が含まれている。
立法計画は下記のURLで確認できる。
http://www.gov.cn/jrzg/2013-10/30/content_2518276.htm
[出典:中国政府網]
中国:上海自由貿易試験区、仲裁機関設立へ
中国政府は2013年09月29日、経済の中心都市上海に貿易や金融などの規制を大幅に緩和する自由貿易試験区 (Shanghai Pilot Free Trade Zone、以後FTZと呼ぶ)を設立したが、当該区に知的財産権紛争を取り扱う仲裁機関が設立されることになった。
2013年10月22日、上海国際経済貿易仲裁委員会(旧CIETAC上海)によって中国上海自由貿易試験区仲裁院が設立され、金融、物流、商業貿易、専門、文化、社会の6種のサービスに関する仲裁事件を取り扱う。知的財産権に関する紛争は文化サービス類に該当する。
CIETAC上海は昨年CIETAC本体からの独立を宣言し、上海市政府から公認されていたものの、CIETAC本体から破門されるという一連の騒動を経た後、2013年04月11日付で上海国際経済貿易仲裁委員会(上海国際仲裁センター)と名称変更された。
[出典:上海市政府網]
モロッコ:知的財産法改正へ
モロッコでは2013年09月12日付で法律第17-97号を改正する法律第23-13号が採択され、その草案が管轄機関へ送付され、現在審議されている。改正法は2014年初めに施行される予定である。
詳細が判明次第、IPニュースでもお伝えする。
[出典:Saba & Co]
ブルガリア・ルーマニア・イラン:オンライン制度導入
ブルガリア特許庁は2013年11月15日付でオンライン出願制度を導入した。これはOHIMの協力を得て実現したものであり、今後更新、異議申立て請求等もオンラインで手続ができるようになる。
ルーマニア特許庁も2013年度末又は2013年度初めにオンライン出願制度導入を検討しており、同時にデータベース及び検索のシステムの充実を進めている。
イランでも2012年06月からオンライン出願制度が導入されていたが、イラン特許庁はこのたびこの制度が完成したと発表した。すなわち、イランでは意見書提出、異議申立等の手続も含めてオンラインで行われる。
[出典:ブルガリア特許庁、Reza Badamchi & Associates、Petosevic]
チリ:公告費用減少
2013年08月26日より、チリ内務公共安全省がチリの官報を管理することになり、同日付で官報における公告掲載の新しい価格表が発表された。チリの公告費用は一定の固定料金に、文字毎に計算される追加料金がかかるが、この追加料金のオフィシャルフィーがCLP33からCLP19へ低下となった。
これにより、チリにおける公告のオフィシャルフィーが約45%減少される。
[出典:Baker & McKenzie]
コンゴ:オフィシャルフィー上昇
コンゴではオフィシャルフィーが50%上昇し、直ちに商標の更新に適用される。
現時点ではまだ公式な通知は発せられていないが、詳細が分かり次第、ご連絡する。
[出典:Adams & Adams]
パナマ:サイバー犯罪条約加盟へ
パナマは2013年10月22日付法律第75号により、サイバー犯罪条約を採択した。
同条約は2001年欧州評議会において発案され、サイバー犯罪に関しての対応を取り決めた国際条約であり、日本、アメリカ、EU等の40か国以上が署名・採択している。
同条約の目的は外国から不正なアクセス等が行われた場合に、加盟国間の間で協力してコンピュータデータの保存・提供等が行えるよう、各国の法律を整備することである。
当該条約はサイバー犯罪を
- コンピュータデータとシステムのアクセス、統一性、秘密保持に対する攻撃、
- コンピュータ関連の攻撃、
- コンテンツに対する攻撃、
- 著作権及び著作隣接権侵害
の4つにカテゴライズするが、加盟にあたって、各国はこれらの犯罪を国内法に反映させなければならない。
[出典:Alfaro, Ferrer & Ramirez]
EU:知的財産権侵害のための新データベース導入
EU関税同盟は知的財産権者が利用できる新しいデータベースを開始した。
当該データベースは当初EU内の警察と税関職員が利用するために設置されたが、発見された疑義品に関して必要なすべての情報にアクセスできなかった。
そこで、当該データベースに権利人が直接アクセスし、真正品との見分け方等適切な情報をアップデートできるようにした。
これらの情報はインプットされると、すべてのEU公用語に翻訳される。
このデータベースを利用するにはEU内で有効な商標登録を所有していなければならない。
[出典:AWAPATENT]
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