IPニュース IPニュース

商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2016.09.27IPクック諸島:WIPO加盟へ 他


クック諸島:WIPO加盟へ

クック諸島は2016年07月02日付でWIPOへ加盟書を委託し、2016年10月27日付で同条約が発効する。
クック諸島はニュージーランドと自由連合制をとっており、現在までニュージーランド知的財産法が適用されている。しかし商標登録制度がないため、新聞警告によるコモンローによって商標が保護されていた。
WIPOへの加盟により、今後独自の知的財産法が制定される可能性もある。


[出典:INVENTA]


ウルグアイ:侵害品の廃棄に関する商標法改正

ウルグアイ商標法第17,011号第14章は、商標権侵害に対して商標権者が取り得る民事・刑事行為について規定している。そのうち第81条から第83条において、侵害に対する処罰を規定し、第84条で商品の差止、廃棄或いは慈善目的の再利用等が規定されている。
従来、商標権侵害が認められ刑事訴訟が提起されると、商品は押収され、裁判所の決定が下るまで倉庫で保管されるのが通常であった。ウルグアイにおいて、訴訟は長期に渡るため、商標権者又は国家が長期にわたり保管料を支払わなければならず、時にその費用が高額になることもあった。
しかし2016年01月01日より法律第19,355号が施行され、その第235条において、押収された商品は、侵害品と特定されれば直ちに裁判官により廃棄又は慈善目的での再利用が決定されることになった。
これにより、商標権者の負担が大幅に軽減されることになるが、主な差止機関が税関であり、従来の慣例によれば、しばしば侵害品を含むコンテナ全体が差し止められていたものが、侵害品の廃棄が早まることにより、コンテナ全体の通関に係る期間も短縮されることになる。


[出典:Cervieri monsuarez & Asociados]


日本:財務省2016年上半期の税関における知的財産権差止状況発表

財務省は2016年09月09日、2016年01月から06月までの全国の税関における偽ブランド品等の知的財産侵害物品の差止状況をまとめて発表した。

輸入差止件数は13,846件で、前年同期比では15.6%減だが、前期(2015年07月から12月)比では 7.6%増加した。輸入差止点数は292,513点で、前年同期比25.8%減だった。これは1日平均で76件、1,600点以上の知的財産侵害物品の輸入を差し止めていることになる。尚、今年04月01日の行政不服審査法の改正により、侵害認定の不服申立期間が2か月から3か月に延長され、差止件数・点数の計上時期が後ずれしたことが、同期比減に反映される結果となった。

仕出国(地域)別の輸入差止件数では、中国を仕出しとするものが12,692件(構成比91.7%、前年同期比15.1%減)で、次いで香港が342件(同2.5%、同55.9%減)、韓国が240件(同1.7%、同2.8%減)となっている。輸入差止点数では、中国を仕出しとするものが177,573点(構成比60.7%、前年同期比44.1%減)、次いで香港が72,886点(同24.9%、同190.2%増)、韓国が21,574点(同7.4%、同46.0%減)となり、件数・点数ともに中国の構成比が依然として高かった。

知的財産権別で見ると、例年同様、偽ブランド品等の商標権侵害物品が件数・点数とも最多だが(件数構成比98.2%、点数構成比76.2%)、今年は、プリンタ用インクカートリッジが55,529点と大幅に増加し(前年同期は25点)、特許侵害物品が19.0%を占めた。

品目別で見ると、輸入差止件数は、財布やハンドバッグなどのバッグ類が5,473件(構成比35.8%)と最も多く、次いでスマホケースなどの携帯電話と付属が2,546件、衣類が2,057件、靴類が1,589件で、前年とほぼ同様の傾向が続いている。輸入差止点数は、プリンタ用インクカートリッジ等コンピュータ製品が58,307点(構成比19.9%、前年同期比799%増)と大幅に増加し、次いでスマホケース等の携帯電話及び付属品が40,928点(同14.0%、同27.1%減)、医薬品が24,288点(同8.3%、同46.3%減)となった。自動車及び付属品は、件数・点数ともに増加した(前年同期比件数5.3%増、点数128.3%増)。

形態別で見ると、輸入差止件数は、郵便物が12,938件(構成比93.4%、前年同期比15.2%減)と圧倒的手段となっているが、輸入差止点数では151,678点(構成比51.9%、前年同期比45.9%減)、一般貨物が140,835点(同48.1%、同24.1%増)で、依然として郵便物が多いものの、一般貨物との差は小さくなっている。
詳細については、以下のURLで確認できる。


[出典:財務省]


EU:EU司法裁判所、著作権侵害を知りつつハイパーリンクを張る行為は侵害と判断

EU司法裁判所は2016年09月08日、著作権者に無断で公開された作品にハイパーリンクを張る行為は、公衆送信に当たらないとの判断を示した。ただし、ハイパーリンクを張る人物が金銭的利益を目的としておらず、作品が違法に公開されていることを知らない場合に限られる。

通常、ウェブサイトへのリンクは、無断であったとしても、著作権は侵害していないと考えられている。リンクを張るという行為は、あくまでコンテンツの場所を示し、そこへ行く手段(ハイパーリンク)を提供しているだけであり、リンク先のコンテンツを複製・改変しているわけでもなく、複製権や公衆送信権、翻案権などを侵害しているとはいえないためである。
しかし、今回のEU司法裁判所の判断では、このウェブサイト間のリンクであっても、著作権侵害であるとされた。

今回の判断は、オランダの雑誌「Playboy」に掲載する予定だった写真が流出し、GS Mediaが運営するニュースブログGeenStijlがこれを2011年に報じた際、ファイルホスティングサービスで公開されていた流出写真にハイパーリンクを張ったことが著作権侵害にあたるとして、Playboy側が訴えていた裁判に関連するものである。流出写真を公開していたサイトでは、Playboyの要請に応じて削除を行っている。しかし、GeenStijlはPlayboyの度重なる要請にも拘わらず、ハイパーリンクを削除せず、サイトから写真が削除されると別のサイトで公開されている写真へのハイパーリンクを投稿していたという。
EU司法裁判所では、著作権者が無償での一般公開を認めたコンテンツへのハイパーリンクや埋め込みは、公衆送信に該当せず、著作権侵害に当たらないとの判断を示している。しかし、著作権者に無断で公開されたコンテンツについては、これまで判断されたことがなかったため、審理を行うオランダの裁判所がEU司法裁判所の判断を求めていた。

この件に関してEU法務官は04月、著作権侵害コンテンツであることを知っているかどうかに拘わらず、誰もがアクセス可能な場所で公開されているコンテンツへハイパーリンクを張る行為は、公衆送信に該当しないとの見解を示している。

一方、EU司法裁判所では、公衆送信権と表現の自由のバランスが必要だとし、ハイパーリンクを張る人物が著作権侵害コンテンツであることを知っている場合、または知っているべきである場合については、ハイパーリンクを張る行為が公衆送信に該当すると判断した。
更に、営利目的の場合には、ハイパーリンクを張る人物が著作権侵害コンテンツでないことを確認することが期待されるとしている。


[出典:財経新聞]


IPニュースの定期購読

IPニュースの定期購読(無料)も受け付けていますので是非ご利用ください。
購読をご希望の方は下のボタンからお申込みください。