2022.06.28IPシンガポール:ツイッター社がシンガポールで勝利
シンガポール:ツイッター社がシンガポールで勝利
ツイッターは、今日最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームの1つであり、アメリカ大統領からイタリアのローマ法王まで世界中で幅広く使用されている。そして、敬服されるべき大手企業として、ツイッター社は象徴的な白青背景の鳥の図形を他人が真似することを防ごうと常に監視している。
これに関連し、最近シンガポールで次の事案が発生した。
シンガポールのテクノロジー系スタートアップ企業であるVV Technology社が2018年にある商標の登録を申請した。商標は、目があり、飛んでいるように見える鳥を側面から描いたものであった。このシンガポール企業は、オンラインショッピングおよび食品配達サービス用のモバイルアプリにこの商標を使用する予定であった。
ツイッター社は、自身の周知商標との類似性を根拠に、この出願に対して即座に異議を申し立てた。
VV Technology社側は、モバイルアプリの需要者は「デジタルネイティブ」であり、これら2つの鳥から成る商標を混同することはないと主張した。
2022年3月11日に、シンガポール商標局はツイッター社の主張を支持する決定を下した。これにより当該商標出願は拒絶される。
ツイッター社の世界的に周知された標章は、小さなスタートアップ企業から影響を受けることはほぼなく、したがって需要者がこれら2つの商標を混在することはないため、市場に混同が生じる可能性は軽減されるであろうと考える。
しかしながら、これら2つの商標により需要者が両企業間に経済的な関連性があると信じることで、混同のリスクは依然として存在し得ると当局は判断している。
結果として、シンガポール商標当局は、商標の観念上の類似性を根拠としてVV Technology社の商標出願を拒絶した。
では、異議申立が成立するためにはどのような要件を満たすべきなのであろうか。
まず1つは、標章同士の類似性である。実際にこれは提出された異議の根拠を検討する際の基本的な役割を果たす要素である。2つ目は、異議申立人が販売する商品/役務の類似性である。
世界中の多くの国と同じく、最終的な類似性の判断は、関連する公衆における混同の可能性であり、これは商標法8条2項にて次の通り述べられている。
―(2) 次のことを理由に,公衆の側に混同を生じる虞がある場合は,商標は登録されない。
…(b) 商標が先の商標と類似しており,先の商標の保護の対象である商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について登録しようとすること
ツイッター社の事例は、知的財産専門家からの懸念が少なかったわけではない。商標局の判断は法律の規定に合致しているものの、「出所の混同」の理解として、「他人の商品又は提供に係る役務の如く、その出所について、需要者に対して、誤認、混同を生じさせること」と解釈すべきであったことを考慮すると、本件においては広義に解釈されていると言える 。
当判例は、スタートアップ企業や若い起業家が依然として効果的に知的財産を管理し、商標権紛争回避の試みが後手になっているかを示す。しかし、知的財産権に関する関心は徐々に高まりつつあり、まだ成長の余地はあると考える。
[出典:HFG Law & Intellectual Property]
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