2023.01.11IP中国:中国商標登録出願における商品・役務名の指定に関する基本的な要件
中国:中国商標登録出願における商品・役務名の指定に関する基本的な要件
Ⅰ.商品・役務の区分の概要
ニース加盟国は、「商品・役務国際分類表」(即ち、ニース国際分類)を採用している。
中国はニース加盟国だが、商標出願においてニース国際分類を直接使用しない。
中国商標局はニース国際分類の商品および役務を類似群に分類し、実際の状況に合わせて中国の常用の商品・役務名を増やして、「類似商品および役務区分表」(以下「区分表」と略称する)を編成している。出願人は区分表の商品・役務名を用いて商標登録出願をすることができる。
ニース国際分類は年に1回改訂され、区分表はその改訂に伴って調整されている。
また、中国商標局は毎年定期的に区分表以外で受け入れられる商品・役務名リスト(以下「リスト」と略称する)を公表する。
出願人は商標登録出願をする際には、リストに記載された商品・役務名を使用することができる。
区分表とリストに記載された商品・役務名のほか、出願人は以下の基本的な要件を満たすことを前提に、他の商品・役務名を用いることができる。
Ⅱ.商品・役務名の指定に関する基本的な要件
1.出願人は商標登録出願をする際には、まず区分表に記載された標準名称の使用を考慮するほうがよい。
商標出願をする際には、具体的な商品・役務名、即ち区分表の6桁コード前に記載された具体的な名称を記入する必要があり、区分表における区分番号、区分タイトル、区分注釈、類似群番号、類似群名称、項目番号を記入してはならない。
例えば、「パーソナルデジタルアシスタント(PDA)」は第9類0901類似群の商品「コンピュータとその周辺機器」に属し、項目番号は090790である。
出願時には指定商品「パーソナルデジタルアシスタント(PDA)」と記入するだけでよい。
2.区分表以外に、出願人はリストに記載された商品・役務名を選定することもでき、これらの商品・役務には区分表のような6桁コードはないが、区分原則に従って具体的な類似群に分類され、出願人は必要に応じて選択することができる。
例えば、「鉄道貨車」は区分表の標準名称に属さないが、リストに記載されており、1201類似群にある。
よって、出願人は出願時に「鉄道貨車」を指定することができる。
3.出願人が商標登録出願をする場合、区分表とリスト以外の商品・役務名も使用することができるが、以下の要件を満たす必要がある。
(1)出願時に施行されているニース国際分類と区分表における分類の原則に合致する必要がある。
出願時に既に失効した、または発効していない商品・役務名を指定してはならない。
例えば、「紙製とセルロース製ベビーおむつ(使い捨て)」は、2012年以前は16類に属したが、2012年に第16類から削除された。
現在、「ベビーおむつ」は区分表の第5類に記載されており、即ち、第5類の標準項目に属しています。
非標準項目としての「紙製ベビーおむつ」、「セルロース製ベビーおむつ」も受け入れられると思われる。
(2)選定した商品・役務名は商品および役務項目に対して正確に記述する必要がある。
この名称は、この商品・役務を他の区分の商品または役務と区別するのに十分である必要がある。
曖昧で、広すぎて、所属区分を決定するには十分ではなく、または誤認しやすい商品・役務名の使用を避ける必要がある。
例えば、「電子商取引サービス」という名称について、「電子商取引」の概念ははっきりしていないが、一般的には情報ネットワーク技術を手段とするビジネス活動を指し、多くの業界やサービス内容が含まれている可能性がある。
そのため、「電子商取引サービス」の範囲が広すぎる。
より具体的な名称、例えば「電子商取引サービスの物流配送」は受け入れられるであろう。
出願人が商標登録出願をする際には、記述的な用語を含む商品・役務名を使用することができる。
商品の記述的な用語については、一般的に商品の機能、用途、使用原料、販売ルート、消費対象などを説明する用語が含まれる。
役務の記述的な用語については、一般に役務の目的・内容・方法・対象などを説明する用語が含まれる。
これらの記述的な用語に基づいて、出願人は適切な出願用区分を見つけることができる。
例えば、「家庭用自動炒め物電気鍋」は商品の機能により第11類であり、「歌の研修」はサービスの目的により第41類である。
(3)指定された商品・役務名の記載は国家通用言語文字法、句読点の使い方および社会公衆言語の習慣に該当する必要があります。
誤字及び繁体字を使用してはならず、簡体字を使用する必要がある。
例えば、英語「vitamin」の中訳文に「维他命」(音訳)および「维生素」がある。
「维生素」は中国語では標準的な言語として認められているので、中国で「vitamin」の商品を指定したい場合、中国語「维他命」ではなく「维生素」を使用する必要がある。
(4)出願人は、その商品・役務名の説明を添付することができる。
この説明資料は、商品・役務名に対する追加の解釈説明にすぎず、商品・役務名の一部ではない。出願人が商品・役務名の説明資料を添付したとしても、その商品・役務名自体は上記のすべての要件を満たす必要がある。
Ⅲ.商品・役務名の検索ツール
出願人は、ニース国際分類、区分表、リストの内容をインターネットで簡単に調べることができる。
ニース国際分類と区分表は毎年改訂・調整され、リストも定期的に補足されている。
正確性のために、公式サイトに最新バージョンを見つけて調べることを勧める。
具体的には以下の方法を参考にすると良い。
1.出願人またはその弁理士が英語を使いやすい場合、WIPOサイトでニース国際分類の英語の商品・役務名を調べることができる。
ニース国際分類において中国の法律で受け入れられていない項目(例えば、organization of lotteriesなど)が極めて少ないので、ニース国際分類における商品・役務名はほとんど中国商標局が公表した区分表に含まれる。
2.出願人またはその弁理士が中国語を使いやすい場合は、「中国商標網ウェブサイトの商標照会欄」と「中国商標網ウェブサイトのオンラインサービスシステム」で区分表とリストを検索することができる。
3.中国・日本・韓国の協力プロジェクトを通 じ て、Japan-China-Korea Concordance List of Similar Group Codes (Corresponding to Nice Classification 11th edition, version 2022 (NCL11-2022))が共同で制定・発表された。
日本・韓国の出願人が中国で商標出願をする際に商品・役務の検索・選定を容易にすることができる。
その最新版は、中国特許庁(CNIPA)、日本特許庁(JPO)、韓国特許庁(KIPO)の公式サイトで見つけることができる。
中国特許庁でのダウンロードサイトはこちらより。
Ⅳ.おわりに
商品・役務名が上記の要件を満たしていない場合、商標局は補正の機会を与える。
出願人は、区分表やリストに記載された商品・役務名から使用することができ、上記の要求に基づいて商品・役務名を修正したり、追加の説明資料を提供したりすることができる。
補正が上記の要件を満たしていない場合は、商標登録出願は受理されない。
[出典:DEQI Intellectual Property Law Corporation]