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2023.03.28IPアメリカ:商標近代法施行後の状況


アメリカ:商標近代法施行後の状況

2021年12月に施行された商標近代化法(Trademark Modernization Act、以下「TMA」)では、登録された商標を取り消すために「抹消手続き(査定系取消手続)」(Expungement proceeding)と「再審査手続(査定系再審査手続)」(Reexamination proceedings)という2つの新しい手続が導入された。
施行から約1年以上が経過したタイミングで、抹消手続きと再審査手続きの申請件数とその結果を紹介する。

約1年間で105件の抹消手続きと102件の再審査手続きが第三者から提出された。
また、33件の米国特許商標局長官による請求(Director-instituted proceedings)があった。

結果として全体の約34%は、請求人が一定の証拠を提示できず手続きが開始されなかった。
米国特許商標局は、118件の審理に着手し61件を却下している。
その理由として多いのが、事前調査が不十分であるという事であった。
請求人は「対象の商標が使用されていないこと又は使用されていなかったこと」に関して事前に調査(reasonable investigation)を行い、その結果を陳述書にまとめ(verified statement)提出することが求められている。
その事前調査が十分でないというのが却下の理由である。
例えば、米国特許商標局は、提出された証拠がGoogleの検索結果、Amazonの検索結果、YouTubeとLinkedInのスクリーンショット、www.gov.uk からのウェブサイトのキャプチャ、World Trademark Reviewの記事、登録者自身のウェブサイトからのスクリーンショットなどのみで構成される場合、請求を却下している。
2022年から当該手続きの経過を観察しているが、請求人の調査負担は当初の想定より大きいようである。
手続を開始しないという決定は最終的なものであり、再審査はできないので、請求人は手続き前に時間をかけて事前調査を行う必要がある。
権利者が応答し、米国特許商標局長官がまだ決定を下していない係属中の案件が多くあるが、審理が開始された118件のうち、権利者が使用の立証に成功したのはわずか4件である。
118件のうち29件の登録は、権利者が適切に応答せず、全体または一部が取り消された。
3件の登録は全体または一部が自主的に取下げられた。
取り消された29件の登録のうち12件は、アメリカの登録代理人リストに掲載されていない代理人が登録代理人として記載されていた。
米国代理人を選任し、書類の送達先とする事が重要である。
残りの手続きは審理が行われていないか、または応答中であり、審理係属中事案である。


[出典:Thompson Coburn LLP, Michael Best & Friedrich LLP]


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