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2024.01.23IP中国:AI技術による商標分野への影響


中国:AI技術による商標分野への影響

人工知能(AI)が知的財産権保護にどのように影響するかに関する学術の論争は主に特許と著作権に集中しており、AI技術が商標法に与える影響はあまり注目されていない。
しかしながら、AIアルゴリズムは商標法の各分野に微妙ながらも影響力を持ちながら徐々に浸透しつつあり、かなりの進展を遂げている。

AIアルゴリズムは商標分野で主に3つの用途がある。
まず、アルゴリズムを用いた出願人の商標登録を支援、商標登録の障害を示したり、出願方式の簡素化を提案し、商標登録成功の機会を増やす。
次に、アルゴリズムを利用して、新規出願商標と先行商標権との抵触性を認識する。
最後に、AIは商標法執行の分野においても、ソーシャルメディア上での無断使用による商標権侵害を含む、オンラインでの無断商標使用を特定する。

したがって、1)消費者の購買意思決定、2)マーケティング担当者による行動データによる消費者のポジショニング、3)商標審査官の商標登録可能性の判定、4)裁判官の商標侵害の確定、5)商標権利者が(その商標に関する)製品について消費者に周知し、(その商標に関する)権利を行使する等の場面において、AI技術がどのような機会、課題及び障害をもたらすかを検討する必要がある。
さらに、これらの場面において商標自体が依然として商標本来の機能を発揮するか否かを明確にする必要がある。
ここ数年、一部の学者および政策立案者が、商標学者やAI開発者やその関係者と議論を深めるべく、AIと商標法に関するセミナーを複数回開催している。
まず、関連AIツールがブランドに基づくビジネスコミュニケーションに関連する情報や商標審査、権利侵害及び法執行に関連する情報をどのように処理するのか、またその処理の限界を理解しようとしている。
さらにこれらの情報に基づき、(AIの)商標法への影響や、AIシステムと関連する情報流出を規制するための提案について議論し、懸念事項を特定し、広告規制や透明性に関する義務などの関連分野を含め、現行の商標法や政策に対して可能な解決策を提示しようとしている。
事実、AI技術は商標出願及び登録件数の急増に伴う負担を軽減し、その結果として審査官および出願人がより現実的な問題に時間と労力を割くことができるようになっている。
AI技術は現行の商標規則や原則に貢献するだけだと評価されること多いが、商標の登録プロセスには、商標原則の確立された位置づけやスタンスに影響を与えるような大幅な調整が行われている。
商標登録において、ML(Machine Learning/機械学習)は商標をさらに抽象的なものに変化させ、現実世界の消費者がロゴに対する反応から距離を置くようになる可能性がある。(「知産力」のウィーチャット公式アカウントより引用編集)

出典元代理人コメント:
AIのとどまる所を知らない進化に伴い、AI技術は商標法の分野だけではなく、「創造」、対話型応答、買い物支援など様々な場面で積極的に活用されるようになっている。
AI技術は商標出願、審査、法執行において有益な役割を果たしている。
しかしながら、AIが人間の判断力や倫理規範を処理できない可能性を、現在どのAI開発チームも否定することはできていない。
よって、AIの応用における権利侵害のリスクが懸念されている。
AI技術を応用することは商標権侵害のリスクにつながりやすいかどうか、また商標権者はどのように対応するべきかについて注意深く検討する価値があるだろう。(上海専利商標事業部呉玉玲、譚佳琪より原稿提供)


[出典:上海専利商標事務所有限公司]


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