2025.03.25IP中国:「商標権の共有」に関する留意点
中国:「商標権の共有」に関する留意点
商標権の共有とは、1つの商標権を2名以上の権利者が共同で保有することを指す。
個人と個人、法人と法人、個人と法人の共同のいずれも可能である。
商標権の共有について、中国商標法第5条では、「二以上の自然人、法人又はその他の組織は、商標局に共同で同一の商標登録を出願し、共同で当該商標権を享有及び行使することができる」と規定されている。
商標権の共有は、「共同で出願する」と「商標権の持分を譲渡して共同名義にする」という二つの方法で実現することができる。
商標権が共有に係るときは、以下の点に留意する必要がある。
・譲渡の際の留意点
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。
商標局に譲渡手続を行う際には、共有者全員で手続きを行う必要がある。
共有者全員で手続きをしていない場合には、譲渡申請が却下される。
・更新登録、登録放棄、登録人情報変更などの手続きを行う際の留意点
商標局に商標権の更新登録または登録放棄などの手続きを行う際には、共有者全員で手続きを行う必要がある。
また、各共有者の名称や住所が変更され、商標局に変更手続きを行う際にも、共有者全員で手続きを行う必要がある。
・使用許諾の際の留意点
商標権が共有に係る場合の使用許諾について、(2015)民申字3640号商標権侵害紛争案において、最高法院は次の見解を示した。
「商標権は私権であり、商標権が共有されている場合、その権利行使の規則は意思自治の原則に従うべきであり、共有権利者は協議の上、一致して行使しなければならない。
合意に達することができず、かつ正当な理由がない場合、いかなる共有権利者も他の共有権利者が商標を通常の使用許諾により他人に使用させることを妨げてはならない。」
上記の判例を踏まえると、共有者が商標権の行使規則について合意していない場合、一般的には、各共有者は他の共有者の同意を得ずに他人に非独占的通常使用権を許諾することができると考えられる。
ただし、他の共有者の同意を得なければ、他人に独占的使用権または排他的使用権を許諾することはできない。
[出典:Kangxin Partners PC]