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2026.10.06IP韓国:ジェネリック医薬品の商標登録を無効と判断


韓国:ジェネリック医薬品の商標登録を無効と判断

韓国特許法院は、医薬品ブランド保護に関する重要な判断として、B型肝炎治療薬のジェネリック医薬品3製品の商標登録を無効とした。
同裁判所は、これらの商標が先行する医薬品の商標を不当に模倣し、かつ不正の目的(bad faith)で出願されたと認定した。
本件は最高裁判所に上告されたが、最高裁判所は本案について審理することなく、上告を棄却した。

■背景

Gilead Sciences(以下「ギリアド社」)は、B型肝炎治療薬を「VEMLIDY」の名称で、2016年に世界各国で、韓国では2017年に発売した。
その後、韓国のジェネリック医薬品メーカーであるDong-A、Daewoong及びSamil Pharmaceuticalは、それぞれ「Vemlia」、「Vemliver」及び「Vemlino」の商標を出願した。

これらはいずれも先行商標の主要部分である「Vemli」を共通して含んでいた。
各社は、これらの商標が登録された後、2023年に後発のB型肝炎治療薬を発売した。
これに対し、ギリアド社は特許審判院(Intellectual Property Trial and Appeal Board:IPTAB)に、これらの商標登録に対する無効審判を請求した。無効審判請求は行政段階では棄却されたため、各事件は特許法院に提訴された。

■主な争点及び当事者の主張

被告らは、「VEM」という語は医学用語である「Vaccine Escape Mutant(ワクチン逃避変異体)」を示す記述的な要素にすぎず、識別力が弱い部分であると主張した。
そのため、「VEM」を共通に含むことは商標類否判断上重視されるべきではなく、商標全体として観察すれば、互いに類似しないと主張した。
これに対し、本件担当代理人事務所は厳密な調査を実施し、一般消費者及び医療従事者の95~97%が、「VEM」という表現を医学上の略語として認識していないことを立証した。
さらに、被告らが提出した約40本の論文を個別に検討した結果、それらは「VEM」が一般的に用いられている医学略語であることを裏付けるものではないことを指摘した。

■特許法院の判断

特許法院は、すべての争点についてギリアド社の主張を認めた。
処方薬および一般用医薬品(OTC医薬品)を含む医薬品について商標の類否を判断する際には、一般需要者の認識に加え、医師や薬剤師などの医療従事者の認識も考慮すべきであると判示した。

次に、「VEM」の識別力について、裁判所は、「VEM」が一部の医学文献において「Vaccine Escape Mutant(ワクチン逃避変異体)」の略語として用いられていることは認めたものの、当該略語は標準化されたものではなく、専門的な略語データベースにも掲載されていないこと、さらに複数の異なる医学用語の略語としても使用されていることを認定した。
また、同一の有効成分を使用する他の製薬会社が、その製品名に「VEM」を採用していないことから、「VEM」は本件関連商品を表示する記述的又は一般名称的な用語とはみなされるべきではないと判断した。
特に裁判所は、Kim & Changが実施した調査結果として、「VEM」の意味を知っていると回答した者が、医師で6.3%、薬剤師で3.3%、一般消費者で3.0%にとどまったこと、さらに、意味を知っていると回答した者の間でも回答内容に一貫性がなかったことを重視した。
これらの事情から、「VEM」が需要者や取引者の間で特定の意味を有する略語として広く認識されているとは認められないと判断した。

市場における混同について、裁判所は、処方箋作成ソフトウェアの検索欄に「vem」と入力すると、先発医薬品とジェネリック医薬品の双方が同時に表示される画面のスクリーンショットなど、市場で実際に混同が生じていることを示す証拠を採用した。

また、被告らが提出したアンケート調査については、商標そのものを比較せず製品パッケージの写真を提示して評価させていたことなど、手続及び方法論上の欠陥があるとして採用しなかった。

不正な目的の有無について、裁判所は、被告らが商標登録出願を行った時点において、先使用商標が韓国内および国外の需要者の間で広く知られており、被告らもその存在を明確に認識していたと認定した。

また、「VEMLIDY」は、ギリアド社が以前に発売したB型肝炎治療薬「Viread」に続いて発売された製品であったため、通常の新製品よりも短期間で商標としての認知を得ることができたと指摘した。

さらに裁判所は、「VEMLIDY」が、市場に類似する使用例のない、創作性の高い造語商標であり、被告らがその「Vemli」の部分を採用した行為は模倣に当たると判断した。

本判決を受け、Dong-A、DaewoongおよびSamil Pharmaceuticalは、それぞれの商標を「Tafria」「Tafvir」および「TenoS」に変更した。

■本判決の意義

韓国では近年、ジェネリック医薬品メーカーが先発医薬品ブランドを意図的に想起させる商標を採用する事例が増加している。
これまで韓国の裁判所は、このようなジェネリック医薬品の商標と先発医薬品の商標との類似性を認めることに、やや消極的であった。
その代表的な事例として、「GLITAMIN」が「GLIATILIN」と非類似であると判断された事件が挙げられる。

本判決は、韓国における創作性の高い医薬品商標の保護に関する重要な先例となるものであり、商標紛争におけるアンケート調査等の証拠の重要性を改めて示すとともに、ジェネリック医薬品における便乗的なブランド戦略に対する抑止力を高めるという点で重要な先例となる。

また特筆すべき点として、問題となったジェネリック医薬品は既に市場で販売されていたにもかかわらず、その商標登録が無効とされたことである。
このため、過去の商標使用についても、商標権侵害に当たると認定される可能性がある。

また、不正な目的が認定されたことにより、損害賠償額が増額される可能性も生じており、本判決は製薬業界の市場実務に重大な影響を及ぼすものと考えられる。


[出典:Kim & Chang]


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