2026.10.20IPロシア:商標出願規則を改正、使用意思の明示を要求
ロシア:商標出願規則を改正、使用意思の明示を要求
ロシアにおける商標出願に関する規則が、2026年8月18日付で改正された。
これにより、出願人は、指定商品・役務のすべてについて出願商標を使用する意思があることを明示的に宣言するとともに、不使用取消しのリスクを認識していることを確認するよう求められることとなった。
今回の変更は、出願書類の様式に関するものであり、出願書類に以下の文言を含めることが求められている。
「出願人は、ロシア連邦商標・サービスマーク登録簿に登録される商標(サービスマーク)によって識別されるすべての商品および/または役務について、当該標章を商標(サービスマーク)として使用する意思を有することを確認する。
また、当該商標が継続して3年間使用されない場合、ロシア民法第1486条第1項に基づき、その法的保護が、登録された商品・役務の全てまたは一部について早期に終了され得ることを認識している。」
上記の変更はあったものの、特許商標庁(PTO)はいまだ出願様式を更新しておらず、現時点では、上記の宣言を含めずに出願手続が行われている。
PTOが本要件に対応した出願様式へいつ改訂するかは不明である。
いずれにしても、出願人は審査中に使用証拠を提出する義務を負わない。
また、登録後も、第三者から不使用取消請求が提起されない限り、使用証拠を提出する必要はない。
ロシア民法第1486条に基づき、登録商標が登録後に継続して3年間、指定商品・役務について使用されていない場合、当該登録は全てまたは一部について取り消される可能性がある。
ここでいう使用には、商標権者自身による使用のほか、専用使用権者・通常使用権者による使用も含まれる。
なお、不使用を理由とする取消しは、第三者からの請求に基づく場合に限られ、当局が職権で行うことはできない。
現時点では、上記の宣言は出願手続上の形式的なものであり、それ自体によって出願人に新たな法的義務が生じるものではない。
実際、この宣言の導入前から、商標登録は不使用取消請求の対象となり得るものであった。
今回の改正の趣旨は明らかではないものの、実務家の間では、将来の使用に備えた予備的な商標取得や、いわゆる商標トローリング(商標の買い占めや濫用的な取得)を抑制する目的で導入されたものと理解されている。
この宣言は、出願人の使用意思を明確にするものであり、出願人の善意(good faith)を評価する際の追加的な判断材料となる。
この変更のより、出願段階で直ちに使用証拠を収集する義務が生じるわけではなく、その性質はあくまで宣言的なものである。
ただし、将来、不使用を理由とする法的保護の早期終了を巡る紛争が生じた場合には、宣言の内容と実際の行動との不整合が問題となり、「出願人には当初から商標を実際に使用する意思がなかった」との主張を裏付ける材料として、出願人に不利に用いられる可能性がある。
[出典:MV Legal]