2018.02.27IP日本:政府、小説や音楽の著作権を作者の死後70年の方針
日本:政府、小説や音楽の著作権を作者の死後70年の方針
政府は小説や音楽の著作権の保護期間を現行より20年長い「作者の死後70年」にする著作権法の改正案を今国会に提出する方針を固めた。没年が1970年の三島由紀夫や72年の川端康成ら昭和の文豪の作品の一部は数年内に著作権が切れ、インターネットなどで無料公開できる見込みだったが、70年に延長されると先延ばしになる。
1970年に制定された現行の著作権法は「死後50年」で、改正されればおよそ半世紀ぶりとなる。
著作権の保護期間は1990年代に欧米の多くの国が「70年」に延ばしている。
日本では「遺族を含めた著作権者の利益を守るべき」との主張がある一方、「過去の作品を広く社会が活用するために延長すべきでない」など反対論も強く、文学作品や音楽は「50年」のままである。
例えば65年に死去した谷崎潤一郎や江戸川乱歩の作品は2015年から許諾なしでインターネットでの無料公開などが可能になった。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では米国の要求に応じ、保護期間を文学作品を含め死後70年以上に統一することで合意した。
トランプ政権となって米国が離脱した11カ国の交渉(TPP11)の合意内容では保護期間延長は一時棚上げになっている。だが経済協力開発機構(OECD)諸国の多くが死後70年としていることもあり、政府は3月8日にTPP11に署名した後、著作権法改正案を提出する予定である。
成立した場合、TPP11の発効で施行する予定である。2017年12月に交渉妥結した日欧の経済連携協定(EPA)の発効が先となれば、TPP11の発効前に施行する可能性もある。政府はいずれの協定も19年の発効を目指している。
映画(会社名作品)については、既に03年の法改正で保護期間が「作品公表後、50年」から「70年」に延長されている。
[出典:日本経済新聞]