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2019.08.27IP日本:知的財産権の調停手続の新たな運用開始


日本:知的財産権の調停手続の新たな運用開始

2019年10月01日より、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所は知的財産権に関する調停手続について、新たな運用を開始することになった。知財調停の特色は以下の通り。
(1)柔軟性
知財調停は相手方との交渉の状況を踏まえ、当事者が解決したい紛争を設定できる。また,知財調停の主たる目的は話合いによる紛争の解決にあるが、調停委員会の助言等を得て当事者間の自主的交渉に戻ることもでき、調停手続の審理を踏まえ、訴え提起や仮処分の申立てをすべきかどうかについて検討をすることもできる。

(2) 迅速性
知財調停は、 交渉中の当事が、管轄の合意により、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所に申し立てることとしているが、そのような場合、紛争当事者間で事前交渉が行われ、ある程度争点が特定され,それぞれが関係する資料等も保有していると考えられる。 知財調停は、これを前提として、第1回調停期日までに両当事者に主張と証拠を提出してもらい、原則として、3 回程度の期日内で調停委員会の見解を口頭で開示することにより迅速な紛争解決の実現を目指す。

(3) 専門性
知財調停は、知財部の裁判官及び知財事件についての経験が豊富な弁護士・弁理士などから構成される調停委員会により手続が進められるので、専門性について訴訟等と遜色のない審理がされる。また、裁判所調査官が関与することも可能である。

(4) 非公開
知財調停は、通常の民事調停と同様申立ての有無も含め手続は公開されることはないので、紛争の存在自体が第三者に認識されることなく、紛争の解決を図ることが可能となる。

知財調停の対象となる紛争
基本的には知的財産権に関する訴訟と同様であり、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、回路配置利用権、商法12条、会社法8条若しくは21条に基づく請求権、不正競争防止法に定める不正競争、種苗法による育成者権、他人の氏名、名称又は肖像を広告の目的又は商業的目的(報道目的を含まない)のために無断で使用する行為に関する紛争等についての調停事件である。
裁判所では知財調停に適した具体例として商標の類否に関する紛争事例、商標の先使用権の有無に関する紛争事例、著作権侵害の有無に関する紛争事例等を挙げている。
これは具体例であり、このほかの事件も調停の対象となる可能性がある。


[出典:東京地方裁判所]


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