2020.11.25IPブラジル:マドプロ加盟から現在までの概観
ブラジル:マドプロ加盟から現在までの概観
ブラジルにおいてマドプロが発効されてから1年が経過した。
単一の国際登録を元に世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局を通じて、全ての加盟国に対し45区分の商品/役務を指定する事が可能である。
加盟国は107カ国(合計123カ国)を対象とし、全ての商品/役務の保護を可能にすることは、ブラジル経済界から見れば、自社の標識を世界中で保護することを円滑にする絶好の機会である。
また加盟により、審査スピードの向上、コストの削減、多区分出願システムの利用なども期待されていた。
実際の数字を見ると、過去12カ月のブラジル国内からの国際登録の申請件数は109件で、その一部は本国官庁から国際登録事務局に通知されていない。
一方で、ブラジル国外からの(ブラジルを指定する)出願件数はそれをはるかに上回り、WIPOによると8,290件を超えたとされている。
期待されていた多区分出願は、ブラジルへの直接出願において未だ利用できず、施行日のアナウンスもない状況である。
共同出願は2020年9月15日からようやく可能になったが、商標出願、登録の分割手続きの導入は2021年7月1日まで延期された。
審査スピードの向上も未だ確認できていない。
18ヵ月以内に官庁の指令がなされなければ、ブラジルを指定する国際登録は自動的にブラジル国内の登録となるため、審査速度に由来する問題が生じる可能性もある。
なお、ブラジル国内からマドプロ経由での出願が少ない要因としては、現在の経済危機、あるいは為替レートの高値にもあると考えられる。
[出典:Danneman Siemsen]