2006.10.10IP中近東:商標法改正の動き
中近東:商標法改正の動き
中近東諸国の商標法改正情報を3カ国まとめて紹介。
1. カタール
カタールでは2006年3月9日より、新しいプラクティスを採用。これによると、
- 欠陥のある出願書類等は庁にて受け付けられない。
- 審査期間は約6か月。審査後6か月以内には公告される。
2. モロッコ
国会にて新しい工業所有権法が可決、2006年2月20日に公布された。
この新法は、特許、意匠、商標のほか商号、原産地表示又は原産地名称の保護および不正競争防止法をも含んでいる。新法は、知財権の行使、侵害対策強化をねらったもので、これによると税関は、商標侵害物品の差押えに関し、全面的な権限を有するとされる。
新法の下での商標法の特徴は主に3つ。
- 電子出願システムが導入されたこと
- 不足書面の提出は一定期間内に認められること
- 異議申立制度がより整備されたことである。異議決定に対する不服申立は、カサブランカ上訴商事裁判所に持ち込むことが可能である。
3. アルジェリア
2006年1月より、商標の更新登録申請の際には、使用証明書の提出が求められることとなった。使用宣誓書又はアルジェリア国内で実際に使用されていたことを示す証拠の提出が求められる。使用証拠となり得るのは、「商品、商品のパッケージ、納品書の写し」等である。使用証明の提出は必ずしも更新出願時である必要はないが、出願日から遅くとも60日以内に提出しなければならない。
- 解説
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カタールに商標制度ができたのは1980年のこと。商標登録制度が始動したのは1981年以降だ。書式に欠陥があれば出願等を受け付けない、というのは少々強引な気もするが、明示されているかぎり、どうしようもない。出願前に念入りに方式その他をチェックすることが大切。
モロッコの商標法は2004年の改正に次ぐ改正。2004年度の商標法では存在しなかった異議申立制度があるのが何よりも大きな特徴だ。
モロッコは元々農業国だが、日本との関係で言えば、乗用車、産業車両、機械類の輸入が盛んで、対日輸入額は3.59億ドル(2003年度、外務省発表)にのぼる。つまり日本企業は、モロッコでの商標管理は十分必要だということだ。異議申立制度はモロッコと取引のある日系企業にとっても有益だと思われる。アルジェリアの更新出願時の「使用証明・使用宣誓書」の要求は、今どき珍しい。商標法条約13条(4)で禁じる定めがあるのを受けて、日本が更新時の使用証明提出を要求しなくなったのはみなさんも記憶に新しいところだと思う。
もっともアルジェリアは商標法条約の加盟国ではないので、かかる規定があったところで文句のつけようもない。がWIPOの呼びかけで行った「商標法条約の改正に関して行われた」SCT会議にはアルジェリアもメンバー国として参加していたことを鑑みると、将来また改正される可能性は十分ある。
とはいえ、アメリカやフィリピンのように、更新時とは別に使用証明の提出を義務づける可能性もなくはないので要注意。
[出典:Abu-Ghazaleh Intellectual Property]
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