2009.03.10IP台湾:識別性審査基準の改正
台湾:識別性審査基準の改正
2009年1月1日付で、商標の識別性審査に関する新基準が適用されることとなった。
新審査基準では、本質的な識別性、識別力の欠如、セカンダリーミーニングをも含めた識別性の判断について述べられている。
たとえば、
- 省略された記述的用語は識別性が欠如していると見なされる為、登録可能性を有さない。
"TEK"や"TECH"は"technology"の略語であるため識別性なし。
"XTRA"は"EXTRA" の略語であるため識別性なし。
"E"は"electronic" の略語であるため識別性なし。 - 書体に特徴のない欧文字1文字より構成される商標は、識別性なし。
- 欧文字2文字あるいは3文字構成よりなる商標は、指定商品・役務との関係において識別力が判断される。
- 以下の商品/役務に使用される有名な小説や物語のタイトルは、記述的であり識別性が欠けているとみなされる。ただし、著作権者の同意を得た場合は別。
第9類:ビデオ、フィルム、記録ディスク、テレビ娯楽装置
第28類:玩具
第41類:オンラインゲーム
第42類:コンピュータープログラミング - 書体に特徴のないドメインネームは識別力なし。ただし、書体に特徴があるものについては、識別性欠如の部分について権利不要求をした場合には識別力ありと判断され得る。
- 使用による顕著性(セカンダリーミーニング)の判断は、以下の証拠を参酌する。
1)その商標の使用様式及びその商標を指定商品/役務に使用した期間、同業者の使用状況
2)その商標が用いられた商品/役務の販売、売上高、マーケット・シェア
3)販促物品を含め広告量及び広告費
4)販売対象地域、市場分布、販売店舗、展示場所
5)同一商標の他国における登録書
6)市場調査報告書
7)その他セカンダリーミーニングを認定する証拠
- 解説
-
審査基準の公表は、日本の実務に慣れている人には当たり前。ところが、まだまだ公表されず、審査官の内部資料となっている国は多い。「えっ?審査基準なんか公表したらたいへんじゃない。いろいろ突っ込まれるかもしれないし。面談だってしないわよ。そんなことしてたら仕事が進まないもの。」とあっけらかんと言ってのけた某国の審査官だっていた。基準を公表している国は、ある程度、審査がきちんと行える内部体制が整っていることを自負した国だということだろう。審査基準から、その国の特性、成熟度をうかがい知ることができるといっても過言ではない。
台湾は非常に細かく基準を設けている点で、日本に近い感覚がある。他方、あまり審査基準が緻密だと、審査も基準でがんじがらめになってしまうのでないだろうかという若干危惧するも、台湾の審査傾向を知る材料としては最適だ。なお、審査基準に目を通すのは「拒絶理由を受けてから」ではなく「出願する前」がお勧めです。
さて、今回をもって、私のIP NEWSの解説は終了します。ご精読ありがとうございました。
なお、IP NEWSは次回よりパワーアップ・リニューアルします。引き続きご愛読ください。
[出典:Baker & McKenzie, Taipei Office]
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