2012.09.11IP韓国:審査に関するガイドライン 他
- 韓国:審査に関するガイドライン
- 中国:ネット上の海賊版通報に報奨金
- モンテネグロ:改正商標法
- ルーマニア:審査に関する新しいガイドライン
- ロシア:オフィシャルフィーの上昇
- ブラジル:共存契約書に関する新規則
- アルゼンチン:拒絶理由に関する新審査基準
- ボツワナ:新知的財産権法及び規則
- ナイジェリア:オンライン出願による問題
韓国:審査に関するガイドライン
韓国特許庁は、2012年08月17日に審査に関するガイドラインを改正し、今後商品商標の審査において、先行する類似役務商標に基づく拒絶理由を発しないと発表した。
同様に役務商標の審査においても、類似の商品商標の引用に基づく拒絶理由は発せられない。
[出典:MarkKorea]
中国:ネット上の海賊版通報に報奨金
広東省深セン市は、2012年10月31日までにインターネット上にある海賊版を摘発する「剣網行動」を実施することとなった。
同行動の一環としてネット上にある海賊版等を通報した市民に対する報奨金が準備されており、それの最高金額は1万元である。
深セン市場監督管理局によると、報奨の対象は、
- 音楽、動画、文学、オンラインゲーム、アニメ、ソフトウエア等を無断で配信するサイト。
- 図書、録画録音、ソフトウエア等の海賊版を販売する電子商取引サイト。
- 携帯電話を通じて海賊版を配信するもの。
- 国外に設置されたサーバーを利用して国内向けにサイトを運営し、海賊版を取り扱うもの。
- 国内の会員制サイトにて海賊版を取り扱うもの。
- 権利侵害及び海賊版活動を実施する違法サイト。
となっており、最終的に摘発に至った情報提供者に対しては、更に報奨金が支払われる。
また、上海市でも同様に9月末までネット上の模倣品販売行為撲滅キャンペーンが展開されており、同市の各級の工商局が共同購入サイト、インターネットプラットフォーム類のサイト、オンラインショップ、消費者の告訴(クレーム)の通報が集中したサイトを重点として、インターネットでの商品取引領域 における登録商標専用権侵害や、模倣・劣悪品を上等品として充当する行為、かさ増しなどの違法行為を厳格に取り締まる。
特にインターネット経営企業に対し経営許可証のネット上への掲載の呼びかけ推進を継続し、商品・サービスの監督、取引の安全保障、消費者紛糾の調停、不良情報の処理などの制度の実行を促している。
[出典:天達法律事務所、上海市AIC]
モンテネグロ:改正商標法
モンテネグロでは2012年08月17日付で改正商標法が発効され、出願手続がより明確となった。
即ち、まず方式審査が行われるが、審査官の通知に対する応答期限は30日(延長不可)とされ、出願人が応答し出願の要件を満たした日が出願日とされる。
当該期間内に応答しなかった場合、出願は拒絶される。
またグレース期間内における更新について、通常額の100%にあたる遅延料が科されていたが、改正法では50%相当の金額となった。
国際登録商標に対する異議申立期限については、当該商標が国際公報に掲載された月の翌月第1日目から90日となった。
国際商標が異議申立に基づきモンテネグロ国内において登録を拒絶された場合、出願人はモンテネグロ特許庁が送付する通知を受領した日から4か月以内に同国における代理人を任命しなければならない。
[出典:Zivko Mijatovic & Partners]
ルーマニア:審査に関する新しいガイドライン
ルーマニア特許庁は商標と地理的表示の審査に関する新しいガイドラインを発し、2012年08月01日より発効された。
- 商標に関して、審査官は相対的理由に関する審査を行う。
- 商標の審査に関する規定はOHIMの審査マニュアルに従う。
- 特許庁は異議申立や情報提供があった場合、対象となる商標出願の審査費用が支払われていない場合でも、これらを分析・考慮する。
- 早期審査の申請及び支払は出願時に行わなければならない
[出典:SD PETOSEVIC]
ロシア:オフィシャルフィーの上昇
2011年12月13日号でもお伝えしたが、ロシアがWTOに加盟し知的財産権の取得費用について、内外国民の間で費用の格差が是正された。
これに伴い2012年08月22日より、ロシアにおいてオフィシャルフィーが変更され、出願関連の費用に関して約30%価格が上昇した。
[出典:SD PETOSEVIC]
ブラジル:共存契約書に関する新規則
ブラジルでは類似先行商標が引用され、当該商標権者から共存契約書を得た場合の取り扱いについて、不明瞭な点が多く1997年のガイドラインでは同一・類似指定商品等に登録された同一・類似商標の場合を除き受け入れられるとされているが、実際の慣例では拒絶されるなど、統一された見解がなかった。
ブラジル特許庁は2012年08月21日付で共存契約書に関する規範的見解(Normative legalopinion INPI/CPAPD 001/2012)を発表し、以下を定めた。
即ち、共存契約書は商標の登録可能性について更なる審査対象となる要素であり、これにより、市場において平和に共存できる可能性が高い場合は、出願商標の登録に有効であるが、特許庁がそれでも共存が不可能であると判断する場合、出願商標は拒絶される。
この見解は共存契約書がそれ自体では拒絶理由を克服できるものではなく、審査官は当該書類に拘束されない。
従って、引用商標に基づく拒絶理由にあたって、当事者は提出できる全ての判断材料を提出し、拒絶理由の解消に努めなければならない。
[出典:Kasznar Leonardos]
アルゼンチン:拒絶理由に関する新審査基準
アルゼンチン知的財産庁(INPI)は2012年05月11日付で審査官に対して指定商品・役務の区分に基づく拒絶理由に関する内部通知を発行した。
- 審査官が出願商標の全ての指定商品等の記述に対して拒絶理由を発し、出願人が当該拒絶理由を解決しなかった場合、当該出願全体が拒絶される。
- 審査官が指定商品等の一部について拒絶理由を発し、出願人がこれを解決できなかった場合、出願は維持されるが拒絶対象となった指定商品等は職権により削除される。
上記の通知以前は、指定商品等の一部についてのみ拒絶理由が発せられていた場合でも、出願全体が拒絶されていた。
[出典:INTA]
ボツワナ:新知的財産権法及び規則
ボツワナでは2012年09月01日付で知的財産権法に関する新規則が発効となった。
新法と規則の主な特徴は以下の通り:
新法においては団体商標、商号、著名商標の認定が行われる。
また、失効した商標に関しても“やむを得ない”理由がある場合は、罰金を支払い復活可能である。
マドプロ経由の出願が可能となる。
また、知的財産権の取得に関するオフィシャルフィーは約50%上昇した。
[出典:NJQ]
ナイジェリア:オンライン出願による問題
ナイジェリアでは先月、オンラインによる出願が義務付けられたばかりだが、これに対し、同国のある法律事務所が一方的な決定であるとし、特許庁長官とオンラインプログラムの責任者であるNovasys Ltd.に対して訴訟を提起し、結果、従来のマニュアル出願が2012年08月27日付で復活した。
これにより、同国では2つの出願方法が可能となるが、それぞれに以下の特徴がある。
オンライン出願:
- 申請すると同時に出願日と出願番号が決定する。
- 通常1ヶ月以内に出願の受理と不受理が判明する。
- ステータスの確認を比較的容易に行える。
- マニュアル出願に比べ費用がかかる。
- 出願から登録に至るまでのプロセス及びインフラに関する技術上の問題があり、未だ不安定部分が多い。
マニュアル出願:
- 現状ではオンライン出願よりコストがかからない。
- フローは明確であるが、全てマニュアル作業であるため登録まで非常に時間がかかる。
[出典:Jackson Etti & Edu]