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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2012.11.13IP中国:改正商標法草案採択 他


中国:改正商標法草案採択

中国は2012年10月31日付で改正商標法草案が審議され、採用された。

改正法は登録手続を簡易化し、商標権の保護を強化することで侵害及び悪意による出願を防ぎ、市場の秩序と不正競争を防ぐことを目的とする。

今後草案は全国人民代表大会常務委員会に提出され、実際に発効されるのは2013年度となる予定であるが、詳細が分かり次第、IP NEWSでお伝えする。


[出典:Rouse & Co.]


サウジアラビア:公告の公報掲載不要に

サウジアラビアでは、公告査定となった出願、更新、譲渡、使用許諾、行政及び裁判所の取消決定等について、公報「Umm Al Qura」への掲載を規定しているが、サウジアラビア商工業省は2012年10月16日付省令第1147号により、以後同省のウェブサイト又は同省の決定するその他の場所への掲載に代えると発表した。

これにより公報への掲載は義務ではなくなった。


[出典:SMAS]


オマーン:書類の提出遅延に関する通知

オマーン知的財産庁は、出願時における書類の提出遅延(late filing)に関する通知を送付した。

それによると、以前、出願時における書類の提出は出願日から3か月以内で、1ヶ月の延長が認められていた。しかし今回の通知により、今後は延長が認められず3か月以内に書類を提出しなければならないこととなる。


[出典:NJQ]


フィンランド:クラスヘディングによる商標出願の取り扱い

フィンランド特許庁はクラスヘディングによる商標出願について、2012年9月30日までに出願されたものについては、指定区分の全ての指定商品・役務を指定したものと見なすと発表した。

しかし2012年10月01日以降の出願についてクラスヘディングを使用する場合、出願人は出願時において、指定区分全ての指定商品等を保護したいのか記載しなければならない。

これが明示されていない場合、当該出願はクラスヘディングの個々の用語が示す指定商品そのものを保護するものと見なされる。


[出典:フィンランド特許庁]


中国:オンライン侵害に関する新ガイドライン

中国文化省はインターネット市場における法の施行に関するガイドラインを配布した。

ガイドラインは法の施行の管轄を以下のように明確にしている。

  • 不正なオンラインゲームやその他のオンライン上の娯楽は、不正な運営を行う団体の実際の営業地域又は登記住所の管轄に従って捜索・処罰される。
  • ネット上における情報の伝達を侵害する不正行為は、不正を行った者の居住地又は不正行為の発生した管轄に従って捜索・処罰される。

[出典:MLLC]


UAE:サイバー犯罪に関する省令

UAEは不正アクセス、サイバーテロその他のネット犯罪の増加に対応するため省令2012-3号を2012年08月13日付で公布した。

本省令は下記を目的とする:

  • ネットセキュリテイを確保するための十分な措置の施行
  • ネット上の安全を脅かす不正行為に対する国家計画の設定
  • データ保護に関する品質管理の提供
  • サイバー犯罪に関する苦情の受付及びその解決

[出典:SABA]


キルギス:三国関税同盟への加盟

キルギス外相は2012年10月08日のモスクワでのロシア外相との会談を経て、ロシア、カザフスタン、ベラルーシの三国で構成される関税同盟への加盟を発表した。

関税同盟は2010年の設立当初から、その他の東欧諸国の加盟を積極的に促していた。
2012年1月には同盟内で取引、商品、人の移動の自由を認めた共通経済スペースが公式に設置されている。

関税同盟は2015年までにEUとほぼ同様のユーラシア同盟の設立を目指している。


[出典:SD PETOSEVIC]


インドネシア:侵害対策のための税関差止及び最高裁規則

2012年09月25日号で知的財産権に関する仮法廷決定(Temporary Court Settlement)に関する最高裁判所規則5/2012号についてお伝えしたが、その概要が判明した。

インドネシアの商標法・著作権法では、権利人は侵害が疑われる輸入品に対し商事裁判所に差止命令を求めることができるとされ、関税法においても商事裁判所が税関に対し当該命令を出せると規定されている。
しかし実際には差止や申請方法についての規則が整備されておらず、税関における疑義品の差止が不可能だった。

インドネシア最高裁は2012年07月30日付で規則4/2012、5/2012号を発効したが、これにより著作権又は商標権を侵害する疑義品の税関での差止が可能になり、また市場に流通する知的財産権の侵害品についても一時的に差押が可能となる。

各規則の詳細は以下の通り:

差止命令に関する最高裁規則4/2012号
  • 提出書類
    1. 権利の証明書
    2. 侵害を証明する物
    3. 輸出入品の具体的な情報(船荷書類、貨物の種類や個数、出荷国等)
    4. 保証金
    5. 保管料
  • 管轄裁判所
    差止を行う税関を管轄する商事裁判所
  • 手続
    裁判所は申請から2日以内に決定を下し、同日中に税関へ通知する。
    税関は決定を受けた日から10日間疑義品を差止める。当該期間は申請により10日間延長できる。
    税関は決定を受けた翌日以内に貨物の所有者に差止めについて通知する。
    裁判所が侵害であると判断した場合、貨物は輸出入を禁じられる。
仮法廷決定に関する最高裁規則5/2012号
  • 提出書類
    1. 権利の証明書
    2. 侵害を証明する物
    3. 差押の対象となる物品/書類に関する情報
    4. 保証金
  • 管轄裁判所
    侵害が発生した地域を管轄する商事裁判所又は地方裁判所
  • 手続
    裁判所は申請から48時間以内に決定を下す。
    差押命令は24時間以内に被申請者に通知され、差押には申請者又は代理人、証人2名が立ち会う。
    裁判所は申請日から30日以内に仮処分を維持するかどうかの決定を行う。

これまで施行規則が不整備であったものが決定された点では大きな前進と言えるが、疑義品に関する詳細な情報提供や輸入品と同額の保証金の支払い等、まだまだ権利人にとっての負担は重いといえよう。


[出典:IP KOMODO、AFFA]


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