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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2013.08.27IPイギリス:早期(Fast-Track)異議申立制度導入 他


イギリス:早期(Fast-Track)異議申立制度導入

2013年10月、イギリス知的財産局は、異議申立にかかるコストや時間への対策また特に中小企業への援助として、低コストで迅速なファストトラック(Fast-Track)異議申立制度を導入する。

早期異議申立制度の詳細なガイドラインは追って発布されるが、列挙すべき主な点は以下である。

  • 同異議申立制度は1994年商標法5条1項及び2項に記載されている根拠に基づく場合のみ適用できる。
    即ち、先行する商標と同一且つ指定商品・役務も同一、先行する商標と同一且つ指定商品・役務が類似、もしくは先行する商標と類似且つ指定商品・役務も類似、等の場合である。

    同異議申立制度の根拠とできる先行商標の数は3つまでとなっている。

    更に早期異議申立をするか、従来通りの異議申立をするか費用がその判断要素とならないよう、早期異議申立制度のオフィシャルフィーと5条1項及び2項を根拠とする従来の異議申立のオフィシャルフィーは同一となる。
  • 異議対象商標の公告日時点で5年以上経過している商標に基づく早期異議申立の場合、異議申立書とともに、当該商標の使用証拠を提出しなければならない。
    提出可能な証拠量は制限される。
    当該要件を満たすことができないが、従来の異議申立請求の要件を満たしている場合、登録官は職権によりこれを従来の異議申立制度とすることができる。
  • 異議申立時に提出する使用証拠以外の資料提出には許可が必要である。
  • 当事者一方からヒアリングの要請があり審査官が妥当であると認めた場合、または審査官より開催を決めた場合には、ヒアリングが行われる。
    ヒアリングは対面式ではなく電話でも行われる。
  • 不服申立の費用は返還されないが、勝った側は請求可能である。

[出典:Dehns]


オーストリア:知的財産権に関する制度改正

オーストリアでは2014年01月01日より地方行政裁判所が導入されるが、これに伴い、知的財産権に関する不服申立制度が大きく変更される。

現行では、特許庁の決定に対しては不服申立部へ、また同部の決定に対しては最高特許商標委員会へ不服申立を請求するが、2014年01月01日からは特許庁の決定に対してはウィーン高等地方裁判所へ、また同裁判所の決定に対しては最高裁判所第三法廷へ上訴することになる。

商標では更に、商標権に関する全ての係争はウィーン商事裁判所が管轄となる。
また、商標に関する刑事事件に関してはウィーン地方刑事裁判所に提訴することになる。

また、異議申立に関しても後願商標の所有者は、先行商標の不使用について答弁書の提出までに主張しなければならない。
また、後願商標の所有者が期限内に答弁しなかった場合、当該商標は全体又は部分的に取り消されることになる。


[出典:Graf & Pitkowitz]


イエメン:オフィシャルフィー上昇

イエメンは通産省令2013年95号に沿い、2013年08月24日より知的財産権に関する公告のオフィシャルフィーが上昇する予定である。


[出典:Abu-Ghazaleh]


中国:有力サイトにおける日本企業の社外秘資料大量流出

文書・資料やデータをインターネット上で共有できる中国の有力サイト「百度文庫」に日本企業の社外秘資料や内部文書が1、2年前から大量流出し、誰でも見られる状態になっていることが8月7日に判明した。

大手メーカーの特許出願前の技術資料や、日本の広告会社の顧客向けプロジェクト提案資料なども流出したことがあるという。

時事通信の調査では、自動車、家電、電子部品製造業で日本を代表する大手企業に関する内部資料が軒並み百度文庫に流れていた。
日本の経済産業省は「産業界から被害の声が出てきていることを認識している。
問題意識を持って被害の実態を注視したい」と指摘、情報収集を進める意向を示した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)も本格調査を進めており、中国に進出した日本企業に情報管理の徹底を呼び掛けている。
「百度文庫」利用者は、自分の持つ文書や資料をアップロードすればポイントを獲得でき、そのポイントを使ってサイト内の文書・資料をダウンロードすることが可能。

また、ポイントに関係なく、閲覧はできる仕組みになっている。
日本企業の内部資料が大量にアップロードされており、「社外秘」「機密」と記された資料も多く、中国合弁会社の組織資料や苦情処理マニュアルのほか、本社の部署と役員名が書かれた組織図、契約書とみられる内部文書もサイト上で見つかった。


[出典:北京時事通信]


日本:二次創作の同人活動を認める意思を示す「同人マーク」のデザインが決定

特定非営利活動法人コモンスフィアは作家が一定範囲の二次創作活動を認める意思表示のマーク「同人マーク」の運用を今夏から開始することを発表した。

「同人マーク」は、著作権者が自身の作品の二次創作を認める場合にこのマークを作品に表示することで、二次創作を行う側がより安心して作品の販売を行うことが可能になるもの。
日本における二次創作文化を保護および促進するための試みとして作成された。
2013年7月16日~28日にかけて同マークのデザインの公募が行われ、8月16日、応募作品の中から図案が決定した。

このマークの創設の背景には、日本のTPP(環太平洋連携協定)への参加により、著作権侵害が非親告罪化される可能性が懸念を呼んでいることがある。

今後は2013年晩夏から連載開始される予定の赤松健氏による漫画作品(講談社「少年マガジン」掲載)から、「同人マーク」が順次採用される予定。

「同人マーク」のついた作品の利用条件については、8月末を目処にコモンスフィアのWebサイトで発表される。


[出典:マイナビニュース]


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