IPニュース IPニュース

商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2015.07.28IPインド:商標権及び著作権侵害に関する管轄裁判所の決定 他


インド:商標権及び著作権侵害に関する管轄裁判所の決定

2015年07月01日、インド最高裁判所は商標及び著作権侵害に関する裁判所の管轄について有権的決定を下した。

インド民事訴訟法典第20条によれば、民事訴訟は

  1. 被告全てが実際居住又は事業或いは利益を得るために個人的に就業している場所
  2. 被告のいずれかが実際居住又は事業或いは利益を得るために個人的に就業している場所
  3. 事件が全体的又は部分的に発生した場所

のいずれかで提起できる。

しかしながら、商標権及び著作権に関する訴訟には例外があり、1999年商標法第134条及び1957年著作権法第62条においては原告のいずれかが実際に意図的に居住、又は事業或いは利益を得るために個人的に就業している場所においても提起できる。更に商標法第134条2項によれば、この場合の原告は登録商標の所有者又は登録された使用者(ライセンシー)を指す。

最高裁判所はこれらの条文に基づき、それぞれデリー高等裁判所へ提訴した2つの事件について以下のように決定した。
いずれの事件においても原告は本社がムンバイにあり、侵害及び訴因はムンバイにあると主張していたが、実際に訴訟が提起されたのは同人の支社があるデリーであった。この点について各被告より管轄裁判所について異議が申し立てられ、高等裁判所はいずれの事件においてもこれを認め、訴訟はムンバイの裁判所で提起されなければならないと決定した。原告は最高裁判所へ上訴し、同裁判所が高等裁判所の決定を維持したものである。
原告は商標法第134条及び著作権法第62条に基づき、著作権侵害又は商標権侵害を主張し訴訟を提起するものは、同人は事業を行ういずれの地を管轄する裁判所を選ぶことができると主張したが、最高裁判所はこれに対し、もし原告の解釈が受け入れられた場合、原告は被告に救済がなくなる意図をもって、距離が離れた居住又は事業を行う土地を選べることになる。このような解釈が受け入れられれば条文の濫用が発生することになると説明した。
最高裁判所はもちろん、原告が実際居住又は事業或いは利益を得るために個人的に就業している場所で訴訟を提起することを否定するものではないが、もし訴因がある場所に居住し、又は事業を行っている場合、又は本社がある場合はその地で提訴しなければならないと判断した。

インドでは知的財産権の侵害に関する経験が多い裁判所が好んで原告に選ばれる傾向があるが、今後は提訴する前に管轄裁判所について事業を行っている場所、訴因の発生地等を総合的に検討し、判断する必要がある。


[出典:S.S. Rana & Co, Lall Lahiri & Salhotra]


韓国:特許庁が日本にIP-DESK設置

韓国特許庁(KIPO)は大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と共同で2015年07月15日に韓国企業の知的財産保護を支援するための海外知的財産センター(IP DESK)を設置した。場所はKOTRAの東京支部がある東京貿易館(有楽町)となる。

IP-DESKは韓国企業による商標、意匠出願等の権利確保の援助、IP情報の提供や専門家によるアドバイス提供を通じ、韓国企業のIP保護と紛争回避、予防を行っていく予定である。韓国は東京の他、中国、タイ、ベトナム、アメリカ、ドイツ等6か国にIP-DESKを設置いており、韓国企業の海外展開を積極的に支援する予定である。


[出典:KIPO]


中国:音商標及びGIの保護状況

中国では改正法施行で音商標の出願が開始されて以来、235件の音商標出願を受理した。
商標局が受理した出願の第一号は中国国際放送局が放送開始時に流す開始音楽である。他に恒源祥や騰迅(テンセント)などの会社もそれぞれの商品、ソフトウェアに使用している音声の商標登録を出願している。一方、国内初の音商標の登録商標はまだ公表されていない。

また、地理的表示(GI)について、5月末の統計によると1900件を超える申請があり、うち外国からの登録は15件である。中国では商標法、地理的表示製品保護規定、農産品地理的表示管理規則に基づく3つの制度が存在し、いずれも日本より導入が早い。外国のGI保護では国家質検総局とEUが共同で実施した相互認定保護事業が行われており、現在、次の保護事業が実施されている。


[出典:工商総局、国家知識産権網]


アフリカ:26か国に渡る自由貿易地域設置へ

2015年06月10日、アフリカ26か国によって広大な自由貿易地域(FTA)を設置することが合意された。これが実現すれば、エジプト、南アフリカ等地域の大国とセーシェル、コモロ諸島、モーリシャス等の比較的小さな国を含んだ一大自由貿易地域が誕生することになる。
締結された合意(TFTA)は現在の3大貿易地域(COMESA、EAC、SADC)を統合し、アフリカ内部の取引を活発させることを決めたもので、知的財産権の分野においては商標、著作権、地理的表示等の法制度の調和を目指す。
TFTAは2017年中に各国の議会に付託され、検討される予定である。


[出典:INVENTA]


IPニュースの定期購読

IPニュースの定期購読(無料)も受け付けていますので是非ご利用ください。
購読をご希望の方は下のボタンからお申込みください。