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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2016.03.08IPタイ:商標法改正へ 他


タイ:商標法改正へ

タイでは2016年02月18日付で商標法の改正が採択され、公報に掲載された日から60日後に発効される予定である。改正法の施行は2016年06月か07月と予定されており、以下の改正が含まれる。

  1. 商標の定義拡大:新たに音商標が含まれる
  2. 識別性に関する条文の改正:立体商標と音商標の識別性特定を目的とする
  3. 使用による識別性の証明
  4. 一出願多区分制度の導入
  5. 出願中の商標の引用に関する条文の削除、連合商標の廃止
  6. 一部譲渡の導入
  7. 局指令対応、不服申立請求期限を現在の90日から60日へ短縮
  8. 登録費の支払期限を現在の30日から60日に拡大
  9. 異議申立期間を現在の90日から60日へ短縮
  10. 更新について6か月のグレース期間導入
  11. マドリットプロトコル経由の手続に関する条文の追加
  12. オフィシャルフィーの変更:現在、指定商品・役務1つについて固定のオフィシャルフィーがかかるが、改正後は1-5個まで個別にオフィシャルフィーがかかり、6個目以上は一律料金が設定される(出願・登録時)。

本件については詳細が判明次第、追ってご連絡する予定である。


[出典:Satyapon & Partners]


ラオス:多区分制度導入

ラオスでは2011年の改正法で一出願多区分制度が導入されていたが(2011年ラオス知的財産法第33条)、現在まで実施されていなかった。
科学技術省知的財産局は第57/MOST.DIP号通知を発し、2016年02月01日から多区分出願を受け入れると公布した。
尚、オフィシャルフィー等については未だ不明である。


[出典:Ageless IP]


インド:異議申立における調停・斡旋手続導入

インド特許意匠商標総局は2016年02月19日付通知を発し、デリー法律サービス庁(DELSA: Delhi State Legal Service Authority)と連携し、デリー商標局の紛争案件に調停・斡旋手続(Mediation and Conciliation)を導入すると公布した。

これは異議申立審判の遅延を解決するためのもので、試験的に500の案件が選択され、当事者に調停・斡旋手続の選択の有無が確認される。
調停・斡旋手続はDELSAにおいて1987年法律サービス庁法に基づく調停・斡旋規則に従って行われる。
試験プログラムに選択された案件は以下のページで確認できる。


[出典:Remfry & Sagar]


エジプト:商標の確認制度開始

エジプト生活用品及び国内取引省は急増する侵害行為の制限と商標の保護を目的とした新しい制度を開始した。
これはユーザーがアンドロイド又はSMSによって特定の商品が真正品であるか否かを確認できるもので、確認通知には商品名、その商品の有効期限等の情報が含まれる。
この制度において商標権者はエジプト特許庁に登録され、エジプト市場で販売されている全ての商品に特殊なステッカーを貼ることができる。
現在この制度は任意であるが、いずれは義務となることが想定されている。


[出典:Abu-Ghazaleh]


デンマーク:ファロー諸島がマドプロで保護可能に

2010年12月14日号でお伝えした通り、デンマーク政府は1995年11月10日付で国際登録商標に関するマドリット協定議定書への付託手続を行ったが、その際に「後に決定されるまで、ファロー諸島又はグリーンランドへは適用されない」と宣言していた。その後、2011年01月11日からグリーンランドへの適用除外部分を取下げられたが、当時ファロー諸島への適用は宣言されていなかった。

2016年01月13日、デンマーク政府はファロー諸島への適用除外の取下げを行った。これによりファロー諸島は2016年04月13日よりマドプロ経由でも保護されることになる。


[出典:WIPO]


インドネシア:IKEA商標不使用で取り消される

1943年にスウェーデンで創設された大型家具店IKEAは、インドネシア最高裁判所が地元の企業にその名称の所有権を認めたことによりインドネシアでの商標権を失った。

インドネシアの籐家具企業PT Ratania Khatulistiwaは、2013年12月に商標「Ikea」を登録した。これは籐家具産業を指す用語「Intan Khatulistiwa Esa Abadi」の頭文字を組み合わせたものであると主張している。

インドネシア最高裁判所はIKEAは2010年に商標を登録したものの、3年間継続して商業目的で商標を積極的に使用していなかったと判断し、インドネシア商標法において取消の対象となると決定した。この決定は昨年5月には下されていたが、裁判所によって今年ようやくインターネット上に公開されたものである。

IKEAはインドネシアのタンゲラン(Tangerang)に最初のアウトレットを設立したが、実際には2014年後半から運営開始されている。

最高裁判所のスポークスマンは、今回の決定は全員一致によるものでなく、3名の合議体からなる判事のうち1名は原告のインドネシア企業よりはるかに企業サイズが大きいIKEAにはこのような商標法は適用できないと主張したことを明らかにしている。

今回の判決については既に各界から非難が上がっているようだが、特に不使用の立証責任が請求人側にあり、不使用取消審判の成功率が低いと言われるインドネシアで決定されたということでも興味深い。
今後IKEAがどのように対応するか、同社は未だコメントしていないが、現在も同社のアウトレットにはまだIKEAの名称が使用されている。


[出典:The Guardian]


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