2017.05.30IP中国:商標評審委員会口頭審理導入 他
- 中国:商標評審委員会口頭審理導入
- 韓国:委任状に関する変更
- 中国:4都市で更なる知的財産法院設立
- 中国:第三回著作権法改正へ
- 中国:最高法院、共存契約書を認める初めての判決
- レソト:国際出願において使用意思宣誓書が必要になる
中国:商標評審委員会口頭審理導入
2017年05月04日、国家工商行政管理総局が「商標評審案件口頭審理弁法」を発布し、同日施行された。
口頭審理の内容は主に証拠に対する反論に焦点を当てている。反論を行う過程で、当事者は相手の提出した証拠を見ることができ、証拠の真実性、関連性と合法性及びその証明力の有無に関して質疑、説明、反論することができる。また、商標評審委員会(TRAB)の同意により、当事者は証人に証言も依頼できる。
従って、審査案件を処理している過程で、相手方の提出した証拠に不審な点を発見すれば、口頭審理の過程でそれを検証できる可能性がある。
『弁法』は口頭審理を行うかどうかについては、TRABに大きな自由裁量権を委ねている。『弁法』の第2条によれば、TRABは案件の状態又は当事者の請求に基づき口頭審理を行うかを決めることができる。
『弁法』はTRABが口頭審理を必ず行わなければならない、又は行ってはいけない具体的な状況を明示していない。しかし、口頭審理の導入は当事者の具体的な案件における地位を有利にさせるチャンスとなるものである。
『弁法』全文は以下で確認可能である。
http://www.saic.gov.cn/spw/gzdt/201705/t20170508_264330.html
[出典:LexField Law Offices]
韓国:委任状に関する変更
2017年05月01日、韓国特許庁は委任状に関し、出願人が法人の場合、必ず代表者が署名しなければならないと発表した。
代表権を持たない者が署名した場合、同人が委任状に署名することを認める代表者の証明書(要公証)を追加で提出しなければならない。
[出典:MARKKOREA]
中国:4都市で更なる知的財産法院設立
最高人民法院は南京、蘇州、武漢と成都の4つの市で専門的な裁判機関を設立し、一部の知財案件が各地方で管轄できるように承認したことを発表した。既に南京、蘇州と成都で知的財産法院は開所しており、それぞれ現地の地方裁判所内に設立されている。
2016年12月に、最高法院の主催で第2回知的財産法院工作座談会が上海で行なわれ、北京、上海、広州の3ヶ所にある知的財産法院のモデルケースが紹介され、専門法院の設立により大きな効果が得られたと発表した。最高法院はまた、改革を進め、案件管轄配置の更なる最適化を求めたいと発表した。
南京、蘇州、武漢、成都の4都市は知的財産権案件の数が比較的多く、専門機関の需要が切実であった。
現在、北京、上海、広州3ヶ所の知的財産法院と南京、蘇州、武漢、成都の専門法廷では主に技術系の一審案件を審理しているが、最高法院は今後知的財産案件の上院の設立も検討している。
[出典:上海専利商標事務所有限公司]
中国:第三回著作権法改正へ
国家版権局は《著作権工作“13・5”計画》を発行し《著作権法》の第三回改正を行い、公演、美術などの分野における著作権一括管理組織を適時に設立することを発表した。
計画において、現行の計画“12・5”で明らかとなった3つの問題と課題が挙げられている。
- 第一に著作権保護は現時点では矛盾と紛争が多発しており、全体的に依然として保護が不足している。このための保護環境の最適化が課題である。
- 第二に、中国社会の著作権に対する認識不足が挙げられ、これを全社会に浸透させる必要がある。
- 第三に法律制度、体制仕組みと人材育成などの面では、創造型国家及び著作権の強国を建設する目標を達成していない。
このため、具体的な目標として《著作権法》の第三回目改正を推進し、《著作権法》の改正状況に応じて《民間文学芸術作品著作権保護条例》の作成を検討し、《著作権実施条例》、《情報ネット伝播権保護条例》、《著作権一括管理条例》などの系列行政法規を改正し、著作権法律法規体系の最善化を追及する。
著作権社会管理の最適化に関して、計画では、国家関係部署からの許可を積極的に取得し、全国著作権登録のサービスプラットフォームを構築するとともに、全国で統一著作権登録、統計と調査システムを設立する予定である。
国家版権局によれば、中国の2016年度の著作権登録件数は2,007,698件で、そのうち作品登録が1,599,597件、コンピュータープログラム著作権登録が407,774件、著作権質権登録が327件である。これは2015年度の同期と比べて、22.33%の成長となる。
[出典:上海専利商標事務所有限公司]
中国:最高法院、共存契約書を認める初めての判決
最高法院はこの都度、2つの案件において類似商標が類似する指定商品について共存する契約書を認めた。これはいずれもGoogleが所有する商標出願に関するもので、先行商標の所有者は日本企業である。
Googleは第9類で“handheld computers laptop computers”を指定商品として2つの商標(第11709161/2号)を出願した。これについて先行商標として同じく9類で“computers for bicycles”を指定商品とする商標第1465863号が引用された。
商標評審委員会(TRAB)は類似性に基づき登録を認めなかった。Googleは不服審判を請求し、第一審において先行商標権から取得した共存契約書を提出した。
TRABは通常通り、消費者の混同を招く虞があることを理由に、これを認めなかった。Googleは更に最高法院まで争い、同法院は以下の理由により共存契約書を認めた。
- 共存契約書の付与は先行商標権者に認められた法的権利であり、これが国益、社会及び第三者の利益に反しない限り尊重されなければならない。
- 対象商標の使用と登録は、一般の消費者よりも先行商標権者に対してより直接的、且つ実際的な影響を与えるものである。
最高法院が上記の判断を下すにあたり、類似群ではなく、実際の商品の相違を考慮したことは明確である。
中国において、TRAB又は裁判所が当事者間で締結された共存契約書、或いは同意書をどのように取り扱わなければならないかを定めた法文は存在しない。しかしながら、従来TRABも裁判所も類似性に問題に関して共存契約書を重視しなかった。
今回の判決は、今後のTRABと各裁判所の判断の指針となるものである。ただし、上記の判決においても最高法院は消費者の混同の可能性が一番に考慮されることは主張されており、このような同意書・契約書が一律で認められるわけではなく、案件毎の判断となる。
[出典:DLA Piper LLP]
レソト:国際出願において使用意思宣誓書が必要になる
2017年03月17日、レソトはWIPOに対し、同国を指定国とする国際出願について、使用意思宣誓書の提出が必要であると通知した。2017年06月30日より同国を指定する国際出願について使用意思宣誓書が必要となる。
[出典:WIPO]
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