2021.05.11IP中国:商標権侵害「DUN & BRADSTREET」事件
中国:商標権侵害「DUN & BRADSTREET」事件
2020年12月14日、中国国家知識産権局(CNIPA)は知的財産法の執行基準の統一化、事件処理の一貫性向上、および知的財産権の行政執行機関を導くための指針となる5つの事件(guiding cases No. 1 to No. 5)を発表した。
最初の3つの事件は商標権侵害に関するものである。
事件No.1(商標権侵害「DUN & BRADSTREET」事件)の概要は以下の通り:
事件のハイライト: 他人の登録商標をキーワード広告で使用すること、また検索結果ページに表示することは商標の使用を構成する。
Shanghai Huaxia Dun & Bradstreet Business Information Consultation Company(以下「Shanghai Dun & Bradstreet」という)は米国Dun & Bradstreet社の子会社で、係争商標“邓⽩⽒”(ピンインは「Deng Shi Bai」、Dun & Bradstreetの中国語)の使用許諾を受けている。
Shanghai Zhangyuan Information Consultation Company(以下「Shanghai Zhangyuan」という。)はDun & Bradstreet社の元フランチャイジーで、フランチャイズ契約が終了した後も自社ビジネスを宣伝するためのキーワードとして「[Official] DUN & BRADSTREET Coding-internationally recognized-global common enterprisecoding system」を用いていた。
これにより8つの企業がShanghai Zhangyuanは米国Dun & Bradstreet社のフランチャイジーであると誤認し、事件の検証を終える迄に同社は約18万元のサービス料を得ていた。
商標法第57条(二)及び60条に基づき、市場監督管理局はShanghai Zhangyuanに侵害行為の停止、および罰金約54万元を支払うべきとした。
インターネット上での「使用」を定義するのは難しく、他社商標をキーワードとして使用した場合に商標権侵害を構成するかの論争は今も多くあるが、本事件によりキーワード検索に関する「使用」を定義するための基準が打ち立てられた。
それは、キーワードがインターネット利用者を第三者のウェブサイトに誘導し、関連する需要者にそのウェブサイトが商標権者と関係があると誤認させる可能性がある場合、キーワードの使用は商標法第48条に規定されている商標の「使用」に相当する、との基準である。
[出典:HFG Law & Intellectual Property]