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2021.05.25IPカナダ:審査遅延改善についての最新動向


カナダ:審査遅延改善についての最新動向

2019年の大幅な商標法及び商標規則の改正以降、審査のリードタイムは着実に伸びており、現在は出願から最初の審査通知書まで2年以上待つことが予想される。

2021年5月3日、カナダ知的財産局(CIPO)は審査のリードタイムを短縮することを目的とした2つの運用を公開した。

1つ目は、特定の状況において早期審査を行う運用を再構築した。
数年前からCIPOは商標出願順以外での審査を理由によらず認めていなかったが、本運用により、出願人は下記の状況下であれば早期審査を要求することができるようになった。

・出願商標に関連する訴訟がカナダで進行中か、または予想されているとき
・出願人がカナダ国境で偽造品について争っているとき
・出願人がAmazonなどのオンライン取引で「深刻な不利益を被る」ことを回避するために商標登録を必要としているとき
・出願人が所定の期限内に優先権主張を維持するため、また外国の知的財産庁からの要請に応じるために商標登録を必要としているとき

全ての場合において、上記いずれかの状況であることを立証するには宣誓供述書または法定の宣言が必要となる。

2つ目は、「審査の迅速化のための施策」と題され下記のいくつかの趣旨規程を含む。

・最初の審査通知書にて指定商品役務の記述が拒絶された場合、審査官は代替案または認められる商品役務の提案を提供しない
・指定商品役務がCIPOの商品・サービスマニュアル(GSM)からの用語のみで定義されている場合、その出願はより迅速に審査され、場合によってはGSMからの用語のみを使用していない先行出願よりも先に審査されることになる。
・おそらく最も重要なことは、CIPOが出願を拒絶する前に発行する審査通知書の数を少なくすることを目的にしていることである。
特に、審査官は、審査で提起された問題を一度だけ検討し、回答する。
出願人が二度目の回答で提出した追加の議論や証拠は、出願が拒絶される前に検討されない。

この運用通知は、ブランド所有者がカナダでの商標登録をより迅速に取得するために有効な方法をいくつか提供している。
GSMを用いて指定商品役務を明確にすることでより早い審査を導くことができる。
さらに、カナダで侵害や偽造品に対応しているブランド所有者にとって、迅速な審査は比較的早く登録を取得し、権利行使を進めるための素晴らしい選択肢となるだろう。

また、この運用通知は、商標出願人が審査においてできる限り早く最善の努力をするためのインセンティブとなる。
これまでのCIPOの実務のように、出願人は一つの問題について何度も主張する機会を期待することはできなくなる。


[出典:MOFFAT & CO.]


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