2021.06.22IPシンガポール:異議申立ての証拠提出期限徒過の理由としてCovid-19の影響が認められる
シンガポール:異議申立ての証拠提出期限徒過の理由としてCovid-19の影響が認められる
これは、「シンガポール知的財産局(IPOS)に出願された「BEABA」商標(出願第40201909817Y号、出願人:Biba(Zhejiang)NursingProductsCo.,Ltd.(以下「Biba社」)に対するBEABA社からの異議申立てにおいて、BEABA社(以下、「申立人」)からの証拠提出期限延長申請が遅れたことによる問題についてである。
異議申立てにおいて、当事者はCaseManagementConference(注:訴訟手続きの重要な段階であり、裁判前手続きの一部である)中、所定の期間内にそれぞれの証拠を提出するように指示された。その後申立人から証拠提出期限延長が申請されIPOSはこれを認めたが、延長した期限までに使用証拠を提出できず、さらに更なる延長申請も行わなかった。しかしながら、期限を徒過して8日後に証拠提出期限の延長が申請された。出願人は期限徒過を理由にこれを拒否した。
申立人は、期限前に証拠が提出できない理由、主に関連する異議申立て手続きとの混同により誤った期限を記録したことが原因であると述べた。
これは、「CircuitBreaker対策」(Covid-19の蔓延に対抗するためにシンガポール政府が実施した外出禁止令および関連する対策に採用された現地の表現を指す。)が実施されたCOVID-19の状況を背景にしたものである。
さらに、申立人はこの状況は代表者の移転、スタッフの変更、およびその後のスタッフのリモートでの監視が困難であったことから悪化したと述べた。
出願人はとりわけ、登録官が手続に関連する規則が遵守されていること、及び本件の適切な裁定を保証するする必要があるという理由で、申立人の期間延長の要求遅延について反対した。
CircuitBreaker対策は困難をもたらしたが、それによって期限を逃すような例外的な状況は発生しなかった。
出願人は、異議申立てが取り下げられたとみなされたにもかかわらず、その商標が登録に進むかどうかがわからないという不利益を被るとしている。
登録官は,決定を下す際に遅延の度合い、理由、申立人の総合的な厚意、手続の段階及び出願人への不利益の程度を考慮した。
延長が認められた場合には、関係する例外的な状況及び公共の利益の問題と、当事者間の正義の利益のために本案で問題を審理することの問題を考慮した。
登録官は、申立人の代理人が期限を記録する際に見落としによる事務的なミスがあったとし、シンガポールのCovid-19の状況を背景に同じことが起こったことを確認した。
今の異常な時代を考慮すると、このミスはある程度の同情心を持って見る必要がある。
相手はミスを認めたが、相手の意図は常に期限内に証拠を提出することであり、その意図を反映した行動であったとした。
結論として、登録官は、期限を徒過したのは8日間であり、これは異議申立人の代理人が適用される期限を見落としていたことによるものであるとした。
期間延長の請求は、異議申立人がその見落としを発見した直後に提出され、IPOSが異議申立てのみなし取り下げの通知を出す前に、申立人は証拠を提出した。
出願人が異議申立てを認識していたこと、手続きが進んでいたこと、当事者が関連する異議申立てにも関与していたことを考慮すると、出願人の不利益は費用で補うことができる。
また、Covid-19は、相手の代理人が期限を記録する際に事務的なミスを犯した一因でもある。
従って、登録官は異議申立人の期間延長請求を認め、異議申立人が本件で提出した証拠も受け入れられた。
しかし、異議申立人は出願人が被った不利益に対して、費用(適用される規則に従って認められる最大額)を支払うよう指示された。
[出典:MirandahAsia]