2021.06.22IPフィジー:知的財産法の改正
フィジー:知的財産法の改正
1889年から1936年に制定された現行法に付随する知的財産法を改正するため、フィジー議会は新しい商標、特許および意匠法案を提出した。
現在の状況
フィジーはパリ条約にも特許協力条約(PCT:PatentCooperationTreaty)にも加盟していない。そのため、優先権の主張ができない。
商標については、フィジーへの直接出願(商品のみ、役務は不可)か英国の権利を元にした再登録のみ、手続きが認められている。
フィジーは独自の区分を採用しており、単一区分出願のみが容認され、優先権の主張は認められていない。
特許については、個別出願、または英国登録を基とする出願(英国での登録発行日から3年以内)が容認されている。
個別出願はオーストラリアで審査され、優先権の主張はできない。直接出願は受理日から14年間有効。
意匠については、現在登録できないが、英国で登録された意匠は、フィジーにおいても英国と同様の権利を享受する。
新しい法案での変更内容
フィジー政府機関は、フィジーがパリ条約およびマドリッド協定に加盟する意思があることを表明した。
商標(新法案内容)
・ニース国際分類を採用し、役務の登録を可能にする
・多区分出願を可能にする
・証明標章の登録を可能にする
・パリ条約に基づく優先権の主張を認める
・マドリッド協定への加盟を目的とし、それに適合する規則にする
・英国登録を基礎とする再登録に関する条項を削除する
・更新期間を10年に設定する
特許(新法案内容)
・優先権主張を可能とする
・フィジー特許庁による審査の実施
・パリ条約を採択する
・特許期間を特許日から20年間に定める
・分割出願を有効にするなど
意匠(新法案内容)
・フィジー特許庁が審査し国内で意匠が登録できるようにする
・登録のための審査を必須とする
・6か月の猶予期間(グレースピリオド)を設ける
・最大10年間の期間を5年経過時点で更新するように設定するなど
フィジー政府は、パリ条約などの世界的な知的財産協定に未加盟である結果、機会損失やフィジーの知的財産権が第三者に取得されている事を確認している。
機会損失への対応を行い、これを機に、他の南太平洋諸国も法改正を行い、国際的な知的財産協定への加盟が期待される。
[出典:Spruson&Ferguson]